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第22話〜どこにいる?〜

…その日の夜…

俺らはアカギちゃんと共に、怪しいと睨んだ3つの倉庫へ足を運んでいた。


「…でも、本当にわかるのか?」

「はい。私の家系は魔力を大量に持っているのです。そして、その魔力を互いに感じ取ることで位置を把握することも可能なのです」


つまり、ウンゼンちゃんの持っている魔力をアカギちゃんは感じ取ることができ、その魔力の干渉が強ければ強いほど近くにいるということである。

普段は使うことはないが、こういう時のために習得するように言われていたという。


「というか…魔力って感知できるものなのか?」

「私もやろうと思えばできるよ。ただ、魔力を感知するにはその人の魔力の流れを知らないと出来ないから、難しいにゃ」

「そうなのか…」


この世界の事があまりわからないので、ミミがいるだけでよかったと思える…

最初の倉庫の近くに着いた俺らは、アカギちゃんの魔力感知の為、静かにアカギちゃんの様子を見た。

アカギちゃんは集中するために、その場に座り、目をつぶってじっとし始めた。


「…そういえば、ダーヌやメノールは魔力の検知なんて出来るのか?」


俺はアカギちゃんの邪魔にならないよう、ダーヌとメノールにも魔力の感知について聞いてみた。


「俺は無理だな。そもそも魔力が高い人じゃないとできない芸だし」

「申し訳ありませんが私もそのようなことは出来ません。お役に立てず申し訳ありません…」

「謝らなくていいよ。むしろ難しいということがわかっただけで十分だ」


俺は平謝りするメノールを宥め、アカギちゃんの報告を待った。

結果はすぐに出た。


「…ダメです…この倉庫からは全く感じられません…」

「可能性もない?」

「はい…ここにはいたという事もなく…」

「そうか…」


妹がいなかった事で、アカギちゃんはさらに落ち込んでしまった。


「大丈夫だ。ウンゼンちゃんは俺らがなんとしても助ける」


俺はそう言うと、アカギちゃんの頭を撫でた。


「あ、ありがとうございます…」


アカギちゃんは一瞬驚いた表情を見せたあと、惚けた顔になり、お礼を言った。


「むぅ…私頭撫でてもらった事ないのにぃ…」


と、ミミは後ろでそう言いながらヤキモチをやいていた。


「帰ったらやるからさ…そんなとこで妬かないでくれ…」

「ふーんだ!」


ミミはまるで子供みたいにベロを出して意地を張っていた。

なんなんだよ…全く…

俺は仕方なく、ミミにも頭を撫でた。


「にぇへへ…ダイスの手を最高だにゃぁ…」

「たかが撫でるだけだろ…」

「ミミって、実は子供なのか…?」


そんなやりとりを見ていたダーヌが、俺と同じ気持ちを代弁してくれた…

こんな呑気なやりとりをしているが、あと2つ倉庫を調べないといけない…早く助けに行かないと…

そう思って次へ行こうとしたその時だ。


「…っ!ウンゼン!?」


アカギちゃんが急にはっとなって、そう叫んだのだ。


「アカギちゃん?」

「いました!ウンゼンが!」


アカギちゃんはかなり興奮していた。


「場所はわかるか?」

「なんとなくですけど…わかります…こっちです!」


ウンゼンちゃんはそう言うと、指を差しながら走り出した。


「ミミ、ダーヌ、メノール、行くぞ!」


俺の掛け声に合わせ、俺らはアカギちゃんの後を追った…


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


…着いたのは、俺らが調査しようとした倉庫の一つ。

地理的にもカラノーム中心街から遠く、調べるのを最後にしようと考えていた場所である。

そこから十分離れた所で俺らは身を隠していた。


「…本当にここか?」

「はい!ここで間違いないです!」


アカギちゃんが、妹がいると踏んだ倉庫を見てみると、傭兵2人が入り口で見張っているのが見えた。


「おそらくここだな…気配はどこからするんだ?」

「倉庫の奥側…そこにウンゼンがいる…」


昨日の今日で、色んな人の協力があって見つけるのに時間をかけずに見つけたが、さてここからが問題だ…


「どうやって中に入るか…」


ダーヌがボソリとみんなの考えを代弁してくれた。


「そうですね…今外にいるのは2人とはいえ、中に人がいないとも限らないですし…果たして何人いるのか…」


と、メノールが悩むように言うと…


「それに関しては大丈夫にゃ」


ミミが何故か自慢げに言った。


「なんで大丈夫なんだ?」

「この子達が見てくれたにゃ」


そう言ってミミが足元に目線を送ると、そこには猫が数匹座っていた。


「私、猫と会話することが出来るから、この子達にお願いして見てもらったんだにゃ」

「結果は?」

「中に数人見張りがいるにゃ。そいつらをやればなんとか出来ると思うけど…」

「それでも十分だ」


俺はそう言うと、ペンダントを取り出して銃を顕現させた。


「ん?なんだそれは…」


俺が取り出した銃を見て、ミミ以外…特に銃を見たことがないアカギちゃんはかなり驚いていた。


「こいつはスナイパーライフルだ。ここからでも銃撃が可能なやつで、遠距離専門の武器ってとこだ。こいつにサイレンサーを取り付けて…」


俺はミリタリーベストからマズルを取り出して、ライフルの銃口に取り付けた。


「そ、そいつは…?」

「サイレンサーと呼ばれるやつだ。こいつを使うことで銃声を聞こえにくくする物だ。まぁ、こんだけ静かだったらバレるかもしれんから、その時は援護頼む」


俺はそう言うと、ライフルを構えた。


「…なんか、カッコいい…」


と、アカギちゃんやメノールは何故かうっとりし始めたが、俺は気にすることなく、狙いを護衛の傭兵に定めた。

タンッ!

俺が撃った弾は護衛の1人に当たり、男は気絶した。

ちなみに今の銃のパワーは低めにしてあり、あったら気絶で済む程度にしてある。


「…ヒット…」


俺は小さく声を上げ、味方が突然倒れたことで戸惑っているもう1人の護衛にすかさず狙いを定めた。

タンッ!

もう1人の護衛もすぐに倒れた。


「…ヒット。これで入り口まではいける」

「す、すごい…」

「ご主人様の武器ってそんなものもあるのですね」

「こいつは使い慣れてる奴だからな。とりあえず行くか」


俺らは慎重に倉庫の入り口にたどり着いた。

気絶している傭兵はミミの力を使って縛り上げ、動けないようにした。

そして、俺らは入り口の両脇にそれぞれ配置した。


「…俺が3つ合図するから、そのタイミングで中に入るぞ」

「わかった」

「3…2…1…ゴー!」


俺の合図で、俺らは入り口を開けて中に入った。


「っ!?何者だ!」


中でトランプをしていた男達が、突然の来客に声を荒げた。

が、俺はその言葉に耳を貸さなかった。

俺はハンドガンで男1人を撃った。

パンッ!

銃声が聞こえると同時に、撃たれた男はその場で気絶した。


「んなッ!?」


男の仲間はその光景に驚きを隠せなかった。

その隙に…


「こっちもいるよー!」

「よそ見は厳禁です」

「てめぇらまとめてお縄につきやがれ!」


ミミは巨大爪(ビックサイス)を、メノールは足蹴りを、ダーヌは短剣を使って男達を仕留めた。

結果、中にいたのは4人で、全員ミミによって縛り上げた。


「さてと…」


俺らは倉庫の中をぐるりと見渡すと、老若男女問わず色んな人たちが檻に捕まっていた。

みんな、俺らを見て怯えている。


「安心してくれ!俺らは君らの仲間だ!すぐに助ける!」


俺はそう言うと、ハンドガンで南京錠に向かって発砲した。

南京錠はすぐにバラバラに砕け、檻の入り口が空いた。


「大丈夫か?」

「あ、はい…」


最初に助けたのは小さい男の子だ。

おそらくペルとペネと同じくらいの子だろう。


「…怖かっただろ?もう大丈夫だ。安心して」

「…う、うん…う…うわぁぁ!」


男の子は俺に抱きつくや否や、嬉しさのあまり泣き出した。

俺はその子の背中をさすって宥めた。

その後、俺らは手分けして捕まった人達の解放、犯人の身柄の受け渡しなどを、ブロッサムさん主体で軍と連携して行った。

ついでにアカギちゃんの妹のウンゼンちゃんの捜索も行った。


「…あれ?」


捕まった人達の解放をしている最中、俺はアカギちゃんに似ている女の子を見つけた。

アカギちゃんは金髪に赤いメッシュの髪であるのに対し、その女の子は同じような金髪でありながら、メッシュは青かった。


「…大丈夫か?」


俺は鍵を壊して檻の入り口を開けた。


「…え?」


女の子はかなり困惑した表情を見せた。


「もう、大丈夫だ。ほら、こっちへおいで」


俺は手を差し出して、救出しようとしたが…


「…いやだ…」


その女の子はすぐに拒否した。


「なんでだ?」


と、俺が尋ねた後、女の子はとんでもないことを言い出した。


「…だって…あなた…かっこよくないもん…」


いかがでしたでしょうか?

もしよろしければ、評価や感想などよろしくお願いします。

では次回、お会いしましょう。

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