第10話~次の依頼~
どうも、VOSEです。
まずはお知らせと言いますか…
次回より小説の文章量を少々少なめに投稿しようと思います。
ご了承ください。
では、本編どうぞ
…ログハウスの再建が着実に進んでいる日のこと…
「…傭兵業?」
俺とダーヌで今後の生活について話していた。
「あぁ。まぁ、最初は簡単な依頼のみで過ごすことになるが、この方がのんびりできそうだからな」
「飯はどうすんだよ」
「自給自足だな。幸い、アルフの商店で売れ残ったやつをこっちに回してくれるそうだからそれでも生きていけるっちゃいける。しばらく仕事ができるまでは無料でくれるらしいし」
「それならいいんだが…」
「まぁ、ちゃんと食えるように頑張るつもりさ」
と、休憩がてら話していると、ログハウスと小道を結ぶ小さいわき道から馬車が来る音が聞こえた。
その馬車の音が大きくになるにつれて、その姿が見えてきた。
ジリッカにいる国軍の馬車だ。
「…なんだ?」
俺はおもむろに立ち上がった。
馬車は坂の終わりである入り口付近で止まった。
そこから降りてきたのは…茶髪のロングヘアの女性だった。
「…おい、あんた誰だ!」
俺はその女性のもとへと歩いた。
それと同時に、木をこりに行っていたミミが帰ってきた。
ちなみにミミはなぜかかなりの力持ちになっていたので、木こりと運搬はミミにすべて任せている。
「あれ?お客さん?」
ミミも見慣れぬ客に戸惑っていた。
「初めまして。私はセリーヌと申します。マカノン隊長の補佐を務めています」
馬車から降りた女性は丁寧な口調で表情を変えずに挨拶した。
「マカノンの側近か…なら…」
「マカノン隊長です」
「…え?」
俺がいつものように言うと、セリーヌさんはかなり黒いオーラを出して俺に迫るように言った。
「ですから、マカノン『隊長』です」
「…お、おう…すまん…」
おそらくかなり忠実な部下なんだろう…
俺とミミ、ダーヌでそれぞれセリーヌさんに自己紹介した後、俺はセリーヌさんに来た理由について尋ねた。
「そ、それで、そのマカノン隊長の側近のセリーヌさんがなぜここに?」
「ここに住まわれると聞いたので、住民登録をさせてもらうべく、いろいろな書類をお持ちいたしました」
「え、それはお役所の役目じゃ?」
「マカノン隊長から、今後お世話になるかもしれないから挨拶しておけと、代わりに私が来ました」
「いやいやいや…そんなめんどくさいことするんだったらこっちから出向くって…」
「お優しいのですね」
手を横に振りながら言った俺に、セリーヌさんは少し驚いた様子を見せた後、クスッと笑って言った。
「そんなに優しいというわけではないがな…あ、あと質問なんだが、自営業はどこで申請すればいい?」
「自営業…ですか?」
続けて言った俺の言葉に、セリーヌさんはキョトンと目を丸くした。
流石にこの話に関しては予想外だろう…
「んまぁ…過ごすにしたって、自分なりのスローライフというか…ゆっくり過ごすにはやる時にやって、休む時に休めるといいかなって。それで自営業をやりたいんだが」
「それなら今度軍施設の隣にある役所へ行ってください。そこで色々手続きをしなくてはいけないので」
「わかりました。今回はそれだけですか?」
「いえ、後もう一つ、マカノン隊長からこれを託されました」
セリーヌさんはそう言うと、腰掛けのバッグから丸められた紙を取り出した。
紐で括り付けられていたので、俺はその紐を解いて中の内容を確認した。
『ダイス殿 先日の件、ご足労ありがとう。今回のダーヌ殿の件に関しては不問とすることを上層部に伝えたから安心してほしい。さて、突然で申し訳ないのだが、1つ依頼を頼みたい。実はジリッカの隣にある町で奇妙な出来事が起きているらしい。町人が石にされてしまうというのである。そこで、今回使いを送ったセリーヌと共に、その調査を行ってほしい。お願いする。 マカノン』
その内容を確認した俺は、チラッとセリーヌさんの方を見た。
「…何か?」
セリーヌさんは頭を傾げて俺を見た。
「…この手紙の内容は見たか?」
「いえ。個人の間の手紙を見るのは無粋なので、見ないようにしています」
「それじゃ、これを見てくれ。セリーヌさんにも関わることだから」
俺はそう言うとセリーヌさんに手紙を渡した。
セリーヌさんはその内容を確認し、うんとうなづいた。
「…なるほど。わかりました。帰還次第マカノン隊長に事情を聞き、支度を整えてからここに来ますので、よろしくお願いします」
「それじゃ、俺らも支度するから、俺らを回収した後すぐに出発ということで」
「お願いいたします」
セリーヌさんは手紙を俺に再び渡した後、踵を返して馬車に乗り込み、戻っていった。
「…なんだったにゃ?大輔」
「依頼だ。家の再建は後にして、出かける準備するぞ」
「お?なんの依頼だ?」
「とりあえずこの手紙を見てくれ。詳細はおそらく馬車の中で話す」
俺はそう言って2人に手紙を渡すと、準備をするため仮で建てていたテントの中に入ったのだった…
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
…セリーヌさんが迎えに来たのは、その日の夕方頃。
すでに準備をしていた俺らはすぐに馬車の中に入り、出発した。
「…しかし、驚きました。ヨーキリスの事件に参加していたとは」
セリーヌさんはふと、この前の事件の事を触れた。
「セリーヌさんは参加していなかったのですか?」
「ええ。マカノン隊長と私がともに作戦で共に立つ事は無いようにしていますので」
「どうしてなの?」
セリーヌさんの言葉に、ミミは不思議そうに言った。
「ジリッカの軍では、隊長が不在の時はその側近が、側近が不在の時は隊長が町に残るようにしているのです。万が一町に危害が及んでしまった時、どちらかがいる事で指揮出来るので町を守ることができるのでこのような形にしているのです」
セリーヌさんは淡々と軍の仕組みに関して話してくれた。
「というか、そんな情報話しても…」
「これは町のみならず、他の町の軍隊や国にも知られているので別に大丈夫です」
セリーヌさんはそう言うと、フフフと微笑みながら言った。
ついでに、俺は気になる事をふとセリーヌさんに話した。
「あと、軍の影響の範囲って、ジリッカだけでは?」
「えぇ、確かに駐在する町にある軍はその町でしか権限はないのですが、今回は救援なので、私たちも捜査権があるのです」
そして、話題は今回訪れる町について…
「今回行くのはカラノームという町です。町の規模としては少々大きい街で、歓楽街が有名です。今回被害にあわれた子はほぼ全員女の子で、カラノームにある軍が調査に乗り出しているのですが、なんかまずいことが発生したのか、ジリッカに使いをよこしたのです。その使いの人もかなり慌てていて、しかも憔悴しきった顔で駆け込んできましたから、かなりの危険が起きているかと…」
「それなのに軍のナンバーツーがうちに来ていいのか?」
「すでに派遣してあります。私はマカノン隊長にあなたのところへ向かうようにと言われて向かったので、用を済ませた後にすぐに向かう予定でしたが、今回はあなた方の同伴ということで、今急いで向かっているところです」
確かに、今乗っている馬車の速度は、前回乗った馬車の速度よりはるかに速い。
あの時は幻覚作用によるダイヤを運んでいて、それも相まって速度はかなり遅かったが、それでも今回の馬車の速度は急いでいる感じを醸し出していた。
「なるほどなぁ…とりあえず、どういう状況になっているのか見ないことには始まらないな…」
ふと、ダーヌがぼそりとつぶやくと、セリーヌさんは先ほどの笑顔とは打って変わって目つきが変わってにらむようにダーヌを見たのだ。
「ちょ…なんで俺をそんな目で見るんだ?」
「…犯罪者は嫌いなので」
「もう不問にされたよな!?」
「不問でも犯罪者は犯罪者です。隊長が許しても、私は許しませんので」
「…はぁ…」
ダーヌはぐっと我慢し、ため息をセリーヌさんに聞こえないように吐くと、寂しそうに荷台の端に身を寄せた。
俺はそれを見て、ダーヌとは反対の端に座り、笑顔で目を合わせた。
ダーヌは暗い顔をしていたが、俺の顔を見て引きつりながらも笑顔になった。
セリーヌさんはそんな俺とダーヌの様子を見て、セリーヌさんは今度は俺をにらむように見つめていた。
俺はそれを無視して、セリーヌさんに話しかけた。
「それで、目星というのはカラノーム軍から来ているのか?」
「調査した結果、メノールという女の子が怪しいという報告が来ているが…」
と、セリーヌさんが話していたその時だ。
セリーヌさんの鎧のポケットが急に光りだした。
「なんだ?」
セリーヌさんはそう言うと、ポケットからある機械を取り出した。
俺らの世界でいうトランシーバーに何やらクリスタルが付いているような物だ。
「…あれは通信用の魔法具、『クロスタル』だにゃ」
頭の中がハテナマーク一杯の俺に、ミミがこそっと教えてくれた。
セリーヌさんはクロスタルのスイッチを押すと、クリスタル部分が光って映像を映し出し始めた。
その映像には、頭から血を流している人が現れた。
「ランドル!?どうした!?」
セリーヌさんはその様子にひどく驚いていた。
「ふ、副隊長…今すぐ引き返してください!」
ランドルという男の人は、セリーヌさんに向かってようやく吐き出すように叫んだ。
「どういう事だ!?」
「今回の件…非常に危険です!我々の手には負えません!」
「詳しく説明しろ!」
「無理です!もう、彼女がそこに来てるんです!」
「だったら耐えてくれ!」
「なんとか耐えてますが、時間の問題です!」
「くっ…と、とにかく必死に耐えてくれ!」
「わかりました!」
その壮絶なやりとりに、俺らは顔を思わず見合った。
「…ダイス殿、事はかなり危機的にあるようです。馬車のスピードを早めてもよろしいでしょうか?」
「大丈夫だ。俺らはしっかり捕まっておくから」
俺の言葉に、ミミとダーヌはそれぞれ落とされないようにと柱を掴んでいた。
「ありがとうございます。では…お願いします」
セリーヌさんはそう言って、運転手に急ぐように伝え、馬車はさっきより激しく動き始めたのだった…
いかがでしたでしょうか。
今後もできる限り出していこうと思いますので、よろしくお願いします。
もしよろしければ、評価や感想等よろしくおねがいします。
では次回、お会いしましょう。




