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第9話〜新たな仲間〜

どうも、VOSEです。

亀更新ですがようやく目処が立ったので投稿いたします。

今回は前回から出てきたキャラの仲間入り回です。

では、本編へどうぞ

…日が昇った頃…

俺とミミ、そして無理やり付いて来させたダーヌで教会の中に入った。

ダーヌはラメルから追放宣言を言われて放心状態だったが、マリアが用意してくれた朝ごはんに目を輝かせてすぐに食べ始めた。

ミミはそんなダーヌと共に食事を取り、俺は教会から再び出て、今度はジリッカのアトラス連合国軍の官舎に赴いた。

アトラス解放軍の通達はすでに届いていたらしく、マカノンからは安堵と怒りの声が飛んできた。


「全く…君はなんて男なんだ…」

「勝手に出向いてすみません」

「無事であっただけでもいいさ。それで、あそこの道は解放軍は見放したということでいいのか?」

「おそらくそのようです。あと、ログハウスも解放されるようなので…」

「あぁ、あそこか…」

「はい。それで相談なんですが…」

「ログハウスを譲ってほしいのか?」


俺の相談に、マカノンは不敵な笑みを浮かべて、見透かしたかのように言った。


「ダメでしょうか?」

「本来ならあそこは我々の管理下だから、ノーであると言いたいが、君にはお世話になっているからな…いいだろう。譲ってあげる」

「ありがとうございます」

「ただし、条件がある」


マカノンはそう言って、引き出しから無地の紙を取り出し、条件を言いながら書き記していった。

条件は次の通り。

『家賃を毎月1万ルーン支払うこと』

『アトラス解放軍との接触は極力減らし、接触した場合逐次マカノンに報告すること』

『仕事などに関する制限はなし』

『追加する項目、および削除する項目が発生した場合はマカノンの許可を得なければならない』

前の世界とお金の価値がほぼ変わらないと考えると、家賃はかなり破格だ。あとに関しては特に変な縛りも無いため、俺はこの条件に納得した。


「どうだ?これで」

「お願いします」


俺はマカノンの言葉に速攻で返事した。

そして、話題は『アトラス解放軍』にいたダーヌについて…


「そういえば、お前が連れてきたゴブリン。あいつは『アトラス解放軍』のメンバーだろ?」

「あぁ。ただ、今は『元アトラス解放軍』だがな」

「それでも前科がある。一度こちらに身柄を渡してもらいたい」

「んまぁ、別にいいが、この国では拷問はないよな?」

「今回は私が聞く。そこまで荒くしないから安心しろ」

「わかった。俺からもちゃんと伝えておく」


俺はそう言ってマカノンに礼を言った後、教会へと戻った。


「あ!お帰り!大輔!」

「ただいま、ミミ」


帰ってきた俺に、ミミはすぐに抱き着いた。

その後ろで食事を未だに取っているダーヌは俺とミミのやり取りをみて怪訝な顔を見せた。


「…そういや、ダーヌって言ったか?まだ飯食ってたのか」

「あぁ。俺らはいわゆるならず者だからな…お前が事情を説明しなきゃ教会はおろか、町にすら入れない。町に入れなければ食料すら手には入れないからな。ここ最近はぼったくり行商が来ないもんだからあの道に来た奴らを片っ端から襲っていたというわけだ」

「なるほどなぁ…」


俺は思わず同情したが、迷惑であることには変わりない。


「でも、その荷物を待っている人たちがいるんだ。今はもう、お前は『アトラス解放軍』のメンバーではないから何とも言えないけどさ」

「まぁ、これからはうまい飯が食えるだけでもいいんだけどさ」


ダーヌはそういうと用意した食事をバキュームのごとく口に流し込んでいった。


「まったく…大輔はこんなやつ一緒にいていいの?」


ミミは明らかに不機嫌な顔を見せながら俺の方を見た。


「別に構わないさ。おそらく俺らの見張り役で一緒にいろということだろうし」


俺ははぁとため息を吐きながら椅子に座った。

そんな反応を見たダーヌはご飯を食べることをやめた。


「さぁな。俺は見限られた身だからお前らを張ってても意味はねぇ。ただ…」


ダーヌは俺の方をチラッと見ながらこう言った。


「…これ以上飯に困らなくて済むと思えば、気が楽になる」


そんなダーヌの言葉に、俺は違和感を覚えた。


「…飯に困らなくて済むって…迫害でも受けてたのか?」


その俺の言葉に、ダーヌは驚いたような、怒りが満ち溢れるような目で俺の方を、今度はギロリと睨んだ。


「…てめぇ、何のつもりだ?」

「そんな深い意味はない。本当に俺は疑問に思ってるだけだ。いかんせん、この世界のことなんざ知らんし」

「世界?」

「私とダイスは元々別の世界から来たのよ。私に関しては、あなたに同情することは出来るけど、ダイスはまだわからないから許して」


ミミの言葉に、ダーヌは警戒を解いたかのようにふぅと椅子の背もたれに寄り掛かった。


「…なるほどな…この国の腐った部分を知らねえっつうことだな」


ダーヌはそう言うと、天井を見上げながら自分のことやアトラス連合国について話してくれた。


「…アトラス連合国は昔起きた人間界と魔界の戦争において、対魔界戦線の先頭に立っていた小国が集まってできた国だ。そして戦争終結後は他の小国も吸収して、今ではこの大陸の半分ほどを支配しちまったんだ。んで、アトラス連合国の中心部は人間中心主義を取っていて、他の種族に関しては排除すべきという過激な思想を持っている。そこで、アトラス連合国の中枢は支配した国を人間主導の国に仕立て上げ、その国を治めていた種族を根絶やしにしようとしていた。俺がいた国も、アトラス連合国の奴らにやられ、俺の親は目の前で殺された」


ダーヌは遠い目で淡々と過去の話をした。


「…んで、その国への復讐として、アトラス解放軍に参加したと…」

「命からがら逃げてきてな。今となっては多様性を重んじるようになって色んな種族が生きやすくなってきているが、俺はまだアトラス連合国のことを許さないからな…ただまぁ、飯がさほど食えないことに変わりなかった時はどうしようもなかったな」


ダーヌはようやく笑顔を見せ、飯を再び食べ始めた。


「あ、そうそう、ダーヌ。明日はここにあるアトラス連合国軍に出向くことになった。もしもの時のために俺も付いていくが、マカノンていう人にお願いしてあるから安心しろ」


俺は今日の話をダーヌに言うと、ダーヌは驚いて、そして絶望の顔になって俺を見た。


「ま、マカノンって…ここにいる国軍の隊長じゃねぇか!?」

「まぁ、ちょい前に一緒に仕事してからの仲だからな。それに、お前は元とはいえど、軍が目の敵にしている反抗グループのメンバーだ。そこら辺は正直に答えておけよ」

「マジかよ…」


そんな喜怒哀楽が激しいダーヌとの食事は楽しく過ごすことが出来たのだった…


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


次の日、俺とミミは軍の官舎にいた。

取調室ではまさに、ダーヌとマカノンの取り調べが行われている最中だ。


「…ミミ、あいつと仲良くできそうか?」


俺はふと、ミミにボソリと呟くように聞いた。


「…わからないけど、私はあんなやつと一緒にいたくないなぁ…なんか汚いし」


ミミはほっぺたを膨らませながら顔を手にのっけながら不満そうに言い、続けて俺に聞いてきた。


「そういうダイスはどうなの?仲良く出来るの?」

「俺は寄り添ってやるさ。居場所がなくてずっと彷徨って、復讐の心を持ってあのグループにいたんだから」

「えぇ〜、どうしてあいつの肩を持つの?」


ミミは明らかに俺に対して不満をぶちまけながら言い放った。

俺はそんなミミをスルーするかのように、ダーヌを引き入れた理由を言った。


「…居場所を潰されて、ただ何も感じることなく生きるというのがどれだけ辛いか…そして、それを誰にも言えないことがどれだけ苦しいか知ってるからな」

「…あ…」


俺の、冷たいその言葉に、ミミは小さく声を出した後、しゅんと丸くなった。

ミミもわかっているはずなのである。俺が小さい頃どれだけいじめられてきているかを…

だからこそ、いじめにもつながるような今のミミの言葉は、俺にとってはスルーすべきものでもあるし、同時に地雷にもなりかねない発言だったのである。


「…だけどあいつは、自分の居場所を見つけた。だから、離脱を宣告されたときは相当ショックだったと思う。だったら、今度は俺があいつの居場所を作らなきゃいけない」

「…ごめん…大輔…私…つい…」

「いいって。誰にもそういう感情はあるさ。でも、居場所のない奴にそういう言葉はやめろよ?」

「うん…気をつける…」


しゅんとなったミミに、俺は頭をそっと撫でた。

しばらくして、ようやくダーヌとマカノンが取調室から出てきた。


「…今回は反省しているようだし、今まで犯した罪は、君と一緒にいるなかで解消すれば良いと判断した。気をつけるようにな」

「ありがとうございます、マカノンさん」


入ったときは緊張と恐怖に苛まれていたダーヌが、取調室から出た後はかなり清々しい顔をしていた。

そして、官舎から出た俺ら3人は、続いてその足で軍から譲り受けたログハウスへと向かった。

もちろん、そこへ行く為にアルフにお願いをして俺らを運んでいってもらった。


「…しかし、魔法が使えるエルフが商人やってるなんて珍しいな」


馬車で移動しているとき、ダーヌはふと、アルフに質問をするように話しかけた。


「僕は魔力は高いけど、こうやって商売する方が性に合ってるからね。まぁ、そのせいで親に勘当されてしまったけど」

「勘当?」

「僕のいた家は先祖代々魔法を使って人々を助ける仕事を生業としていたからね。僕はその家の出身だけど、そのときは魔法が使えなかったから両親から見限られてね。それで生きる為に勉強したらそっちに行っちゃって、結局魔法を覚えないのに何しているんだと追い出されたんだ」

「そうなのか…」

「でも、君より随分楽に放り出されたと思うよ。ダイスやマカノン隊長から聞いたよ。両親を殺されて流れながら生きてきたって」

「…まぁ…そうだな…」

「僕は君と仲良くしていきたいと思ってる。なんかあったら連絡して。こっちも色々と対応するから」

「ありがとう…アルフ」


そして、そのログハウスに着いた俺らは、早速ログハウスの建設に動いた。

ちなみに、前にログハウスの建設をしてくれる人がいないか尋ね、その人に会って色々話したが、かなりのお値段がしたので今回は自分達でなんとかする事にした。

設計図はその人がこれだけでもと用意してくれたし、前回来たときの木材が残っているので、それを使って壁と屋根を建設する事にした。

とはいえ、今回は来るタイミングが遅かったこともあって、この日は仮の屋根を作って終わることになった。


「…今日はここで寝泊まりしたいんだが、アルフ、外で寝られるための寝袋なんてあるか?」

「あるよ。ちょうど在庫過多で安く売っちゃってるやつが」

「えぇー!?ダイスここで寝るのにゃ!?」

「屋根は建ててあるから、寝られないことはないだろ。ダーヌは大丈夫か?」

「何回外で寝泊まりしたと思ってる」

「なら決まりだな。アルフ、頼む」

「えぇー!いやだにゃあ!」

「…というか、ミミって、そういう喋り方だっけか?」

「…こういう喋り方は仲が良い人の前でじゃないとできないにゃ…恥ずかしいし…」

「…なるほどな」


ダーヌは納得した様子で少しホッとしていた。


「さてと…これからしばらくはここで作業しながら寝泊まりするぞ!」

『おぉー!』


こうして、新たな仲間が増えた俺の異世界生活が、ようやく始まっていったのだった…


いかがでしたでしょうか?

次回はようやくタイトル通りの筋書きに進めるかな…と思っています。

もしよろしければ評価、感想等よろしくお願いします。

では次回、お会いしましょう。

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