プロローグ〜少年の成り立ち〜
どうも、VOSEです。
はい、また新しく小説を作って投稿いたします。
性懲りなく新しい小説を出しますが、お許しを…
さて、今回の設定は異世界へ飛ばされるというありきたりな設定でございますが、まだ異世界へ飛ばされません…
この次の話で出てきますので、お待ちいただけるとありがたいです。
また、あらすじやタグなどに関しましては、今後変更等ございますので、こちらも併せて周知のほど、よろしくお願いします。
長々と説明ばかりですみません。
では、本編へどうぞ。
…気がついた時には、いつものように頭から水をかけられていた…
狭く薄暗い部屋に閉じ込められ、外でケタケタと笑い声がいつも聴こえてくる…
その笑い声が聞こえなくなると、ようやく俺は外へ出られる…
そして、教室に入り、席に着くと、彫刻刀で『死ね』『消えろ』『ブス』なんて言葉が書いてあった。
周りの男子女子、俺の方を見て、1人は嘲笑うかのように、1人は汚物を見るように、1人はかわいそうと思ってるように、千差万別に俺の哀れな姿を見ていた。
それでも俺はどうでもよかった。
気にしないのが1番だと思っているからだ。
俺はいつも学校で植物や動物の世話をしていた。
そもそも自分がお世話するのが好きだし、みんなやりたがらないから俺がやってるようなものだ。
おかげで俺が手掛けた植物はしっかり育ち、飼育されているウサギにはよく懐かれるようになった。
その時の先生曰く、俺が世話をするまでは人間嫌いだった子ウサギが、俺にだけ近づいてくるようになったという。
おかげで何か動物を飼いたいと思っていた矢先だった…
俺がいつも通り道にしている神社で、子猫が大人の猫にいじめられているのに気がついた。
黒くて、どこか可愛らしいその子猫を、大人の猫がしゃあと鳴き声を立てて、研ぎ澄まされた爪で子猫を引っ掻いていたのだ。
俺はそれを見て子猫を助けた。
「やめろ!」
その一言が咄嗟に出た。
俺は子猫を覆うように庇い、猫のひっかきを何度も受けた。
しばらくして、引っ掻くことをやめたのを見計らった俺は、傷ついた子猫を家へ運んだ。
俺が傷つくのは慣れていたし、何より子猫を助けたかったという一心で走って家に帰り、その後すぐに近くの動物病院へ駆け込んだ。
子猫は幸いにも軽い怪我で済んだ。
俺は親を説得して子猫を家に連れて帰った。
子猫は俺のことをずっと怪訝そうな様子で見ていた。
「…大丈夫、俺はこういうのには慣れてるから。だから、他の人には同じ思いをしたくないんだ。たとえ君でもね」
俺は独り言のような、子猫に言い聞かせてるような声で呟いた。
それからは、俺は子猫のお世話をしっかりとやった。
ご飯を食べさせたり、毛並みを綺麗にさせたりした。
子猫も俺のお世話を受けて、なつくようになってきた。
「そうだ。君の名前つけてなかったね…うーん…なんとなくだけど…ミミ!いいかな?」
俺は子猫にミミという名前をつけた。
右耳に傷が付いていたから、という理由で付けたのだが、子猫はその名前に満足しているようだった。
それが、俺の小学生の頃の話である…
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…それから月日が経ったある日のこと…
「右、いるぞ!」
「了解!」
俺は仲間の言葉を受けて、右の方を見た。
右には通路の入り口があり、その近くには隠れられそうなドラム缶が置いてある。
俺はそのドラム缶の物陰に隠れ、じっと息を殺した。
そして、そこから人が現れた。
俺は手に持っていたエアガンのトリガーを引いた。
BB弾が勢いよく飛び出し、現れた人に当たった。
「ヒット!イテテ…」
当たった人は防具を付けていたが、痛そうにその場から離れた。
それを確認したのも束の間、俺は気配を察知して、すぐに後ろを振り返り、すぐにトリガーを引いた。
「ヒット!ったく…気づかれないと思ったんだけどなぁ…くそぉ…」
俺は背後から来ていた人に気づいてエアガンを撃ったのだ。
それと同時に…
「タイムアップー!しゅーりょー!」
そんな声が聞こえた。
俺はその声を聞いて、木々が生茂っている場所から離れた。
しばらく歩くと、俺と同じように防護服を着た人達がテントが張られた場所に集まっていた。
そこには車やテーブルなどがあり、もっぱらキャンプみたいだ。
「ただいまの試合、青チームが勝利!特に赤間さんが青チームの得点のほとんどを取りました!」
司会らしき人が、俺の名前を言って称えてくれた。
俺が今いるのはサバイバルゲーム、通称『サバゲー』のフィールドだ。
サバゲーは高校の時に出来た友人に誘われてやり始め、今では趣味の一つとしてやっている。
「しかし、ダイスはすげえなぁ…誘ってちょっと後悔してる…」
誘ってくれた友人がふと、呟くように言った。
「そんなこと言われてもなぁ…俺はついていくのに必死でしがみついていたんだからさ…」
「それにしてもだろ…」
と、各々休憩に入っていると…
「ニャー」
と、可愛らしい泣き声で颯爽と黒猫がやってきた。
「お、ミミ。ただいま」
かなり妖美になった、ミミが俺の肩に乗って顔にすりすりと擦りついてきた。
「ずっと車で待ってくれてたんだぞ、大輔」
「仕方ないだろ…ミミは連れていけないんだしさ…」
「でもいいなぁ…まるでカップルみたいだ」
「そう言ってくれるとなんか嬉しいな。俺はミミのこと、1番好きで信頼してるからさ」
いじめられていた時でも、ミミはこうやってずっと寄り添ってくれていた。だから、俺はいつでもミミを信じてきた。
「まぁ、お前はお世辞にもカッコいいとは言えない顔だからな…」
俺の友人は肩をすくめながら、冗談っぽく言った。
それに関しては俺もわかっている話だ。
ボサボサの髪の毛に手入れしていない顔、整ってるとはいえない顔立ち。
『ブス』と言われ続け、万年彼女なしなんだから仕方ない話だ。
「性格は良いのになぁ…おまけに料理、洗濯、掃除、あらゆる家事をこなす万能性はどこ探してもないぞ…」
「そんなわけないでしょ」
友人と雑談を交わした俺は、ようやくお昼ご飯を食べることにした。
自分で作ったローストビーフ丼だ。
俺が早速食べようとすると、ミミはこことぞばかりに割り込んできた。
こんな時は大抵俺のご飯を食べたいということだ。
「はい、ミミ。ローストビーフだ」
ローストビーフ丼はこれを見越して冷ましているので、ミミにローストビーフの中の赤い部分を食べさせた。
「あれ?猫に牛肉っていいのか?」
「あぁ。牛肉は猫にとっても菌とかないから食べられるんだ」
「そうなんだ…うちもあげてみようかな…」
「あげる時は生肉がいいだって。調理もしていいんだけど、その時は味付けしないように。エネルギーの過剰摂取で体調が壊れる時もあるから」
「ん?じゃあなんでローストビーフを?」
「まだ味付けしてない赤身を食べさせただけだよ?」
「あー、なるほど」
そんなたわいもない話を、友人やサバゲー仲間、ミミも含めて楽しくしていった。
そして、午後の試合を始めようとした時だった。
「…あれ?水が足りなくなっちまったなぁ…」
サバゲー仲間の1人が給水用のケースを見てボソリと言った。
「こんな天気だからねぇ…かんかん照りで水分補給もマメにやらないと持たないしな」
「んじゃ俺が買いに行ってくるよ」
「いいのか?ダイス」
「来る途中にコンビニあったからさ。そこで水買って
くるよ」
こうして俺は、仲間の水分補給用のドリンクを買うために、歩いてコンビニへ向かうことにした。
ミミも俺に付いていくと言ってるかのように服の中に入ってきたので、一緒に行くことにした。
「…それにしてもミミはよく長生きしてくれてるなぁ…ほんと、いつもそばにいてくれてありがとな」
俺は胸に収まっているミミに話しかけながら歩いていった。
そして、車通りの少ない交差点に差し掛かり、目の前の信号が青になったところで歩き始めた…次の瞬間だった。
チラッと車がブレーキを踏まずに突っ込んでくるのが見えた。
(っ!?危ない!)
俺は咄嗟にミミを庇うように背中を車の方に向けた。
そして…
空を飛んでいるように感じ、そして…一瞬で目の前が真っ暗になった。
そのすぐ後、俺はモヤモヤとした、雲に覆われた場所に飛ばされていた。
「…ここはどこだ…?」
俺は自分の身体の感覚がないことに今気がつき、ここで自分の人生が終わったことを知った。
「あぁ…結局俺は…」
と、思わずつぶやいた時だった。
俺の周りを覆っていた雲を吹き飛ばすほどの風と強い光が俺を襲った。
その光が収まると急に真っ暗になり、そして目を開けることができた。
「…ここは…どこだ?」
見知らぬ森で目を覚ました俺は、その場から立ち上がり、森をさまようことにしたのだった…
いかがでしたでしょうか?
今後は様子見しながら書いていけたらいいなと思っていますので、よろしくお願いします。
とりあえず2話分は1日ごとに出しますので、アドバイスや感想等ありましたらよろしくお願いします。
では、次回お会いしましょう。