日常(1)
どうもしろもふです。まずはこの場に足を運んで頂いたことに感謝します。
堅苦しい謝辞はこのくらいにして……。
この作品は一応ミステリアスな作品に仕上げていこうと目標に携えていますが……如何せん、僕はミステリアスな作品を作り上げるのはどうにも苦手らしく、拙い部分が出てくると思います。なるべく皆様が読みやすくなるようにしていくつもりですが、もしかすると「うわ……読みにくい」「文章が稚拙」などと思われる部分が浮き彫りになってくると思います。
その際は、どうか私のことを温かく見守って頂けると滅茶苦茶喜びます。
では、当作品をお楽しみくださいませ……。
私がこの夢を見るのはもう何度目か……。私の目の前には面相が黒く覆われていて、誰なのかすら判別不可能な存在が立ち憚る。そして私はいつもその人と話をしている。
こんな夢を見るのは高校1年生になってからだから1年間くらい経っているのだが、どうにもこの夢はもっと昔から見ているのではないのかと思うくらい馴染みがあった。
……私の目の前に居座る君は一体誰なの?
「んんん……」
カーテンの隙間から顔を見せる日差しが諳潤澄璃に当たり、朝だと知らせてくれる。私は、意識を覚醒させるべく立ち上がり大きく背伸びをし……カーテンを開けて、日差しを体で受け止めることで一日が始まった。私は学校へ行く支度をし、お母さんが作ってくれた朝ご飯を家族で取り囲んで団欒として食べ終えた。時計に目をやると、そろそろ学校へ行ってもいい時間だと思い私は荷物を持ち、家の外へ出る。家から学校は近く、玄関から外に出て辺りを見渡すと、ちらほらと自分が通う学校の学生服を身に纏っている人たちが見えたので私もその朝の風景に身を溶け込ませ、「学生」としての一日を始めさせる。
「澄璃、おはよー!」
「澄璃、おはよう」
私が学校の校門を抜けると、私は、その声に反応して後ろを振り返ると友達である一谷涼子と楠谷凍弥君が居た。彼女らは、小学生の頃からの幼馴染で、いつも仲良くしてもらっている。涼子ちゃんと凍弥君は互いに家が近くこうやって毎日、一緒に登校してきている。大体、二人が家を出る時間と私の家を出る時間が同じくらいなのでほぼ毎日と言っていいほど校門前で鉢合うことが多い。
「涼子ちゃんも凍弥君もおはよ!」
「今日から新学期だねー。春休みって微妙に長いからちょっと退屈だったなぁ」
「涼子ちゃん暇だったの?」
「課題もすぐ終わらせたからねー。意外とやることがなくて暇してたんだ。まぁ、凍弥と家が近いからちょいちょい遊びに出かけたんだけどね」
「へ、へぇー……そうなんだ」
「澄璃、もしかして妬いてるの?可愛いなぁー、心配しなくてもこいつとはそんな関係にはならないよ。私は澄璃の事が好きだからそれで充分充分!」
涼子ちゃんはニヤニヤしながら揶揄ってきた。私と凍弥君は友達以上の関係にあるから、そこから導き出される私の危惧を涼子ちゃんは察したらしい。
「べ、別に嫉妬とかじゃないよ!」
「それは妬いてる人が言う台詞だからね」
「そ、そうなの?」
「ほら、やっぱり妬いてるじゃん」
「カマかけたんだね涼子……」
ニシシと小悪魔みたいな笑みを浮かべ、涼子ちゃんは満足げな顔をした。
「僕はなんというか空気だね……」
凍弥君は私と涼子ちゃんの会話を見てそう言った。
「そ、そんなことないと思うよ?凍弥君」
「澄璃、彼氏だからって気を使わなくていいんだよ?凍弥完全に空気だったでしょ」
「ドストレートに言われると傷つくなぁ……」
ほんの少し涙目になるも、顔は笑っていた。そんなこんなで私たちは朝から他愛もない話を咲かせ、楽しく談笑した。
「じゃあ僕は職員室に用事があるから先に2人で教室に行ってて」
「あーい、分かった」
凍弥君は職員室に行くようだが私たちは特に用はないので教室に直接行くことにした。
「ねぇ澄璃、春休みって何してた?」
ふと、涼子ちゃんが私の春休みに何をしていたか聞いてきた。
「うーん、何してたかって急に言われると直ぐに出てこないけど課題を地道にやってたかな。基本的に外出とかしなかったし、家でゴロゴロしてたかな……?」
「そう……」
涼子ちゃんは何かを真剣に考え込む様子を見せた。その表情には緊迫した様子が籠っていて、それと同時に焦っている様子も見て取れた。
「涼子ちゃん、どうかしたの?」
「うーん、ちょっとだけ考え事」
「そっか……」
暫くして、考えるのを止めたのか涼子ちゃんの顔の曇りは段々と晴れていく。この様子だと心配するだけで杞憂になりそう……。
「春休み、ゴロゴロしてたって言ってるけど凍弥とは出かけなかったの?一応交際はしてるんでしょ?」
「1回だけ一緒に出掛けたよ?」
「1回って……。春休み結構長かったけど本当に1回なの……?」
「う、うん……」
涼子ちゃんは深く溜め息をつき、私に鋭い眼光を向けてきた。どうやら何か不満があるらしい。
「澄璃、凍弥が全然遊びに誘ってくれないって嘆いてたよ。もっと積極的になったほうがいいんじゃない?」
「そ、そうしたいのは山山なんだけど……そ、その……誘うのに勇気がいるから中々誘えなくて……」
「……初心か!可愛いよ澄璃!」
涼子ちゃんは、手を不気味に動かし少し興奮気味に私の方へ擦り寄ってきた。
「ちょ、ちょっと止めてよ涼子ちゃん!」
「ふふ、止めなーい!」
気づいたら、教室の前まで来ていた。さっきから私たちの絡みに向けられる視線が痛い……。涼子ちゃんは気にしてないようだけど、私は少し耐えがたい気持ちになった。だから私は少し急ぐように教室の中に入った。
「おはよー。涼子と澄璃」
既に登校しているクラスメイトが私たちに声を掛けてくる。始業式まで時間があるのでクラスメイトと仲良く話していると、時間も経って周りの人達が体育館に行っていたので私たちも行くことにした。
長ったるい校長先生の話を聞いて、始業式後の流れの説明を受けてから式を終え各自自分の教室に戻り、それから新学年としての新しいクラスが発表された。私は涼子ちゃんと凍弥君と一緒のクラスになれること祈りつつ、私掲示板に貼られたのクラスの発表紙を眺める。
「澄璃、何組だった?」
「私は2組だったよ。涼子ちゃんは?」
「私も一緒だ!本当に良かった~。あ、あと凍弥も2組って言ってたよ」
「じゃあ、幼馴染組は今年もクラス一緒なんだね!なんだかんだ腐れ縁だね私たち」
「そうだねー。でも腐れ縁に越したことないでしょ?」
「それもそうだね!」
私たちは、荷物を片手に2年2組へと向かう。教室内に入ると、顔見知りな人もいたがそうでない人の方が多い。一緒に来ていた涼子ちゃんは、既にクラスメイトとなった人の所へ向かい談笑して、相変わらず顔が広い……という事を再認識させられた。
「澄璃、今年も一緒のクラスだったね。よろしく」
「凍弥君、一緒のクラスになれて良かった!今年もよろしくお願いします!」
「敬礼なんてしなくていいよ澄璃……」
「あはは、ごめんね凍弥君。少しテンションが上がってたんだ」
「ねぇ凍弥君、今日、放課後時間があったら私と一緒にゲームセンターに行かない?」
私は少しだけ間を置いて凍弥君に質問を投げかける
「え……?ゲームセンター?」
「う、うん。春休み全然遊べなかったし、なんか申し訳ないって思ったから……。一緒に遊びたいなって……」
「……涼子、何か入れ知恵したね……」
凍弥君は何かボソッと言ったけれど私には聞こえなかった。
「じゃあ今日の放課後、時間あるから一緒に行こうかゲームセンター」
「う、うん!」
満面の笑みで私が返事をすると、凍弥君は私から顔を逸らし、明後日の方向を向いた。
「ど、どうしたの?凍弥君……」
「な、何でもないよ。久しぶりに澄璃に遊びに誘われて嬉しいなって思っただけ」
……やっぱり涼子ちゃんの言った通りだった。私が奥手なだけに、凍弥君に遠慮をさせてしまっていたらしい。
「そうなんだ……。なんか色々無理させてごめんね?」
「ううん、そんなことないよ。まぁ、もうすぐ先生来るから……。とりあえず放課後」
「わかった!」
そうして、凍弥君との会話を終え、指定の席に座ると少ししてから始業式に発表された担任の教師が教室内へと入ってきた。確か名前は白波常葉先生だった。新しいクラスという事もあり、教室内は騒々しかったが瞬く間に静かになった。HRが始まり、新学期に当たっての諸連絡が行われ、始業式という今日のメインイベントが終わったのでこれからは大掃除をしてから放課となる。
「以上が今日の連絡です。これからは大掃除に入ります。前の黒板に掃除の担当割の紙を貼っておくので各自確認して、掃除に向かってください」
白波先生がそう言って、HRが終わると黒板には群れが形成された。私もその群れに紛れ、掃除割りを確認して掃除場所へ向かって掃除をひとまず終わらせた。
「はぁ……。意外と疲れたぁ……」
「本当にねー。始業式と大掃除だけだったのに意外と疲れたよね」
放課後になって、私と涼子は集まった春休みの宿題を凍弥君が職員室に提出しに行ったのでそれを今待っている。3分前に出て行ったのでもうすぐ帰ってくるはず。
「あ、凍弥帰ってきたみたい!私たちも帰りの準備そろそろしよ!」
「そうだね。あ、涼子ちゃん……。この後、凍弥君と遊びに行くんだけど凍弥君借りてもいいかな?」
「借りるも何も澄璃のでしょ?それに私が朝言ったこと気にしてるの?」
「うっ……わ、私、凍弥君を悲しませたくないから少しでも積極的にならなきゃって思ったの……」
「澄璃は本当に可愛いねぇ」
「何そのおばあちゃんみたいな口調……」
「それに、凍弥を遊びに誘えるようになるなんて成長したねぇ……」
「だ、だからなんなの!その口調!」
「ふふふ、あまりに澄璃が可愛いから揶揄ってみたくなった。ごめんね?」
涼子ちゃんは、ウィンクをして舌をペロっと少しだけ見せてきた。
「涼子ちゃん……。そんな可愛くても限度ってものがあるよ?」
「ごめんなさい。もうこのことでは弄ったりしません!……多分」
涼子ちゃんの私弄りに振り回され、疲れていると、帰りの準備を終えた凍弥君がこちらへと近づいてきた。凍弥君が近づいてきたことで私たちは帰りの準備を全くしていないことに気がつき、凍弥君を待っていた側だったはずがいつの間にか待たせる側に回ってしまい……慌てて帰りの準備をする羽目になった。
「じゃあ私はこっちだから、楽しんできてね!……後で色々聞かせてね?」
校門について帰路が別方向の涼子ちゃんは別れを告げる。
「う、うん……。涼子ちゃん、帰りには気を付けてね?今日は凍弥君がいないから」
「う~私のことを心配してくれる澄璃が可愛すぎる!」
「よ、余計なことは言わなくていいの!」
「はいはい。わかりましたよ~。じゃあ邪魔者は帰るんで楽しんできなさいな!後で連絡頂戴ね?」
「う、うん」
涼子ちゃんは手を振り、私たちとは別方向を向いて帰る。
「じゃあ、僕たちもそろそろ行こうか……」
「う、うん」
私たちも、ゲームセンターに行くために歩き始める。
「ねぇ澄璃……。急だけど、その……手を繋いでもいい?」
ちょっとだけ進んだところで凍弥君がとんでもない質問をしてきた。
「え、えーと……。大丈夫だよ?」
と私は慌てながらも手を凍弥君に差し伸べる。私は手が重なると私は恥ずかしさのあまりに、ふと顔を俯けてしまった。凍弥君も少し緊張しているのか……。私と同様に顔を俯けて、さらにほんのりと耳が赤くなっている。
「あ、あの……凍弥君?少し恥ずかしいから一旦手を放してもいい?」
「う、うん。ここじゃ学校の生徒からの目も多いし、僕も少し先走り過ぎたみたいだね。澄璃からこんな風に誘われたの初めてだし……嬉しくなってつい……」
「……」
私は凍弥君の発言に顔を赤らめて明後日の方向を向いた。少しの恥ずかしさが無限に溢れ出てきて、こんな気持ちになれるならもっと早くから勇気を出して凍弥君を遊びに誘えば良かったという悔しさが滲み出てくる。
「で、でももうちょっと人がいなくなったら繋がない?」
「澄璃がいいなら僕も繋ぎたい……」
気恥ずかしさに耐え兼ねた私たちは暫く無言でいたが、離れてしまった手はいつの間にか重なっていた……。
次回の投稿は1週間後の3/9です。
基本的には週1投稿にしていくつもりですが、たまーに1日おき投稿(ストックが溜まれば)になるかもしれません!
ご愛読ありがとうございました。誤字脱字などがあればメッセージなどを送って頂けると助かります。




