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8.冒険者ギルド!

 転送先は最初の街、キノエネ。

 さっきよりは人の姿が少ない。というか、ガラガラ。


「シロは?」

「はいはい」


 カエデに促され、仮想ウインドウを開き……音声でも呼べるのか。


「召喚陣・起動・白狼っと。おいでシロ」


 そう発すると同時に私の前に小さな魔法陣が出現。

 そしてその中心にちょこんと座る白いワンコ。


「シロ!」


 すぐにカエデが飛びつき全身を撫で回す。


「行くよ」


 舌を出してされるがままのシロと、その毛並みをひとしきり堪能したであろうカエデに声をかけ歩き出す。

 目指すは冒険者ギルド。


 ◆


「ようこそ。冒険者ギルドへ」


 カウンターで受付嬢が元気な声を上げる。


「ご利用は初めてですね?

 ご説明は必要ですか?」

「お願いします」

「ここ、冒険者ギルドでは様々な依頼の斡旋を行っております。

 依頼をこなしていただき、貢献度を積み上げていただくことで、C、B、A、Sとギルドでのランクが上がっていく仕組みとなっております。

 依頼によってはランクの制限が存在し、当然高位の依頼ほど報酬が高く設定されています。

 なお、一度請けていただいた依頼は極力達成していただきたいのですが、どうしても無理、或いは設定された期日を過ぎてしまう、などの場合はペナルティとなり、貢献度からマイナスさせていただきます。

 ここまではよろしいでしょうか?」

「はい」

「今ある依頼は、ギルドにお越しいただきメニューを開いていただければ一覧でご覧いただけます。

 受領も達成報告もそちらから可能となっています。

 もちろん、私に報告いただいても構いません。

 簡単ではございますが、説明は以上となります。

 その他、不明点等ございましたらなんなりとおっしゃってください」


 パーフェクトビジネススマイルを浮かべながら機械のように受付嬢が頭を下げた。


 ◆


 冒険者ギルドの椅子に座り、仮想ウインドウに表示された依頼リストを眺めていく。

 内容は主に次の三つに分類される。

 納品、討伐、手伝い。

 納品は特定アイテムを一つないし複数個持ってくること。

 討伐は指定されたモンスターを退治すること。

 手伝いの内容は多岐にわたるが基本的にどれも特定のスキルが受託の条件になっている。

 報酬は大体5,000G前後。

 さっき手に入った『妖魔の歯』や、『妖魔の爪』は未鑑定アイテムなので納品出来ないそう。

 鑑定するにはスキルか、お店で一つ50G払う必要がある。


 むー。スキル、必須かな。こりゃ。

 スキルはお店で買えるらしい。後で見に行こう。


 とりあえず、手っ取り早いのは討伐かな。

 と言うか、それしか選択肢がない。


 キルドの壁には、リストと同じ内容の依頼書が貼られておりカエデはそれを眺めていた。


「これ、やらない?」


 その中から一つ剥がし持ってくる。


「何討伐?」


 サムライだから鬼退治かな。

 犬も居るし。

 雉は召喚出来ないから鷹かな。

 すると私が猿にならない?


「討伐じゃないよ」


 差し出された紙を受け取る。


「……人探し?」



 【夫を探して】ランクC

 鉱石採掘に行った夫が戻りません。

 どこかで怪我をしてないか心配です。

 どなたか探してきてください。

 報酬:5,000G




「蒸発?」

「発想が、ゲス!」


 なんでさ。

 居なくなった夫さんの方は探してほしくない事情があるかもしれないじゃん。

 まあ、ゲーム内でそんなドロドロの愛憎劇見たくないけども。


「良い?」

「良いよ」


 改めて問われ頷きながらオッケーの返事。

 反対する理由はないし。


「じゃ、受付に持ってくね」

「りょ」


 私の足元に座っていたワンコが動きだし、受付へ向かうカエデについていく。

 私は仮想ウインドウをもう一度確認してからそれに続く。


「これ、うけます」

「はい。

 参加者はパーティメンバーの二人でよろしいですか?」

「大丈夫です」

「では、ここへ行ってください。

 依頼者のお宅です」


 そう言って、彼女は一枚の地図をカエデに手渡す。


「最初に参加メンバーを決めておかないといけないんですか?」


 カエデの後ろから受付嬢へ問いかける。


「はい。達成時の報酬と貢献度の分配は最初に申告いただいた方のみとなりますので」


 成る程。

 例えば私一人が依頼を受け、それをカエデが親切心から手伝ったとしてもカエデに報酬は入らないのか。


「例えば最初に参加してない人が手伝ったら私が報酬を分けても良いのかな?」

「その場合、相手はGではなくポイントで受け取る事になります」

「ん? ポイント?」

「え? Gとポイントって何が違うの?」

「街のお店などで使う事が出来るのはどちらも同じです。

 違うのは、Gは換金所へ持ち込む事が出来ることと、ポイントは他者へ譲渡出来ない事ですね。

 お知り合いの方への譲渡も自動でGからポイントへと変換されます」


 ふーん。

 そう言う仕組みなのか。


「それと、この依頼、リストの方には無かったんですけど?」

「あら。そうですか?

 ごくたまに、街の人が勝手に依頼を貼っていく事があるのでそれかも知れませんね」

「勝手に?」

「大丈夫です。

 報酬はギルドが責任を持ってお支払いしますので」


 にこりと笑う受付嬢。

 リストに無い依頼。

 なんか、怪しくない?

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