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Devil’s patchwork ~其の妖狐が神を討ち滅ぼすまで~  作者: 國色匹
第二章 成長と願いと
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其の三一 TPO

<>(^・.・^)<昨日も更新してるのでまだの方はそちらから!

「あ、ごめ、五月蠅かった………?」

「す、すまん」

「ごめん、ね? 二人、と、も、ちょっと、動揺、して、て」

「それは構わないんだが………さっき()、って」

「「あ」」


 シンミとトルフェの二人も、先程のドメと同じように手で口を覆いながら、ひっそりとギリギリ聞こえるくらいの声量で会話を続け、俺の指摘に二人とも両手で口を隠す。

 奏はややぴくり、と動いた気がしたが、再びゆっくりと上下に運動し始めた。

 ………よっぽど気を張っていたんだろうか。

 気持ちは分かるし、もう少し安心させられるようにならないとな。

 そして、気になることがもう一つ。




「おー、オマエら来てたんか、全然気づかなかったわ! すまん!」

「え、まさか()、って」

「応、アタシだぜぇー」


 にい、と歯を見せながら笑い、サムズアップして親指で自分の顔を指すサミハ。

 思わず唖然とするが、周りのみんなはそうでもないようで。


「あれー、シンミちゃん言ってなかったんか? それにトルル、トイ。オマエらもコイツのこと知ってんの? ってーかトイは久しぶりだなぁ、最後に()ったの何時だったか?」

「久、しぶり。んーと、二か月、前、く、らい?」

「………トロン君にはあんまり言いたくなかったんだよぉ~………サミハ、いやお姉ちゃん絶対からかうんだもんー」

「え? 二人はガチで姉妹なのか?」

「そー。にしても、はっはー、さっすが我が妹。よくわかってんじゃーん」

「そーゆーとこなんだよなー」


 見るからに辟易とした感じでシンミが呟く。

 ………言われてみれば、この二人、語尾の癖が似ているし、種類は違えど少年漫画的雰囲気を纏っているところも共通している。

 サミハが熱血スポーツ漫画だとすれば、シンミの方はダウナー系主人公に憧れる言動をしている感じ。

 それならそうと、訓練の時にサミハが訪れたタイミングで教えてくれればよかったのに。

 部屋に大人数が入ってきたことを気にし、ビズが片手を挙げて言った。


「ジャ、オレらはもう行くワ。まだまだしんどいだろうに、騒がしくして悪かッたゼ」

「あー、それもそでっすね。じゃドメちゃん、帰りますよ」

「あぁ、またな」

「あ、ま、待ってよぉ!」


 三人連れ立って去っていった。

 ………最初に三人部屋にいて、一人出て行って、四人入ってきて、三人入ってきて、三人出ていった。

 算数の問題みたいだ。

 俺もビズに向けて手を振る。

 ビズは対象の感情を操れることに由来するのか、こういうところの気遣いが出来る男だ。

 西園寺さんと並び、実は言動を見て盗み取るべき相手なのかもしれない。


「さて。んで? トルルはどうしたよ?」

「いや、その。実は姐さんに伝えなきゃいけないことがあって………」

「んんー?」


 それからトルフェは、先日俺と試合を行ったことをサミハに話した。

 ことの起こり、経緯と顛末をそれはもう詳らかに。

 一通り話を聞いた後、サミハは合点がいったというふうに腕を組んで唸った。

 ………あれ?

 試合中と胸の大きさが違うのか?

 部屋に入ってきたときは、試合中には見えなかった顔に注目していて目が行かなかったが、組んだ腕の上に胸が乗っているように見える。


「はっはー、そんであんときやたら思い切りが良かったワケかー。水に飛び込んで氷漬け、とか成功する見込みがねーとやんねーよな、って思ってたわ」

「それに関しては本当にトルフェの御陰だよ。あの経験がなければ、あの土壇場でああする自信は出なかったと俺も思う」

「うんうん、それもまたオレには効かなかった。こうやって学びを得ていけ少年ー」


 此方を指さしてサミハが助言をくれた。

 そうだ、トルフェ相手に通じた手もサミハ相手には通じなかった。

 これは単純に力量の差があったというのもあるが、それに加えて二人の妖怪としての特徴の違いもあるだろう。

 その辺りを考察しながら戦うのは、これからの課題の一つになりそうだ。


「あの、それで………本当に申し訳ありません。姐さんのことで勝手に熱くなって暴走しちまって………」

「あぁー? んだよ、んなことかよ」

「え」

「コトの始まりはオレ絡みだったかもしんねーけど、結果オマエらが戦って白黒ついた。それだけの話だろ」

「あ、俺も最初は驚いたけど、いい練習試合になって寧ろ有難かった」

「トロン少年もこー言ってるし、それでいーだろ、な?」

「は、はいぃ………」

「あーあー、泣ぁーくなって」


 サミハの優しさ、というか男気に触れ、トルフェが感涙を流す。

 そんな彼女と、彼女の背中を撫でるサミハを横目に、トイとシンミをちょいちょい、と手招きした。

 近くに寄ってきた彼女らに耳打ちする。


「なぁ、トルフェとサミハってどういう関係なんだ?」

「それ、は、わたし、より、シンミちゃん、のほう、が、詳し、い」

「んー、なんてゆーかー、お姉ちゃんは前にワルやってたことがあってさー。そん時の舎弟なんだって」

「なるほど、そういう」


 二人にそういう関係があったとは。

 本人の意思は兎も角、熱血という言葉の似合うサミハなら、不良共を纏めている姿は想像がつく。

 トルフェはそんな彼女の姿に惹きつけられた、といったところだろう。

 姐と姉呼びの謎が解けたところで、サミハが顔を此方に向けた。


「お、そーだ。なぁ少年、今のトルルの話だと、師匠を探してるって?」

「あ、はい。今は炎を鍛えてくれる師匠を探してるところです」

「うーんうん、そーゆーことなら、このアタシがオマエの師匠になってやる」

「本当ですか!」

「アタシは今までウソついたことねーよ」


 シンミの方を見ると、保証するように頷いていた。

 どうやら気の迷いではなく、本気で申し出てくれているらしい。


「ありがとうございます、ぜひお願いします」

「応。ルーキーにあそこまでやられちゃ認めねーわけにゃいかねーよ」


 再び握手を交わした。

 よかった、風と氷の使い方に関してはそれなりに習熟してきた自負があるが、炎の方面はまだまだ発展途上で、なんならまともに炎を出すことすらままならない。

 あそこまでの熱量を持った妖怪が師匠にいてくれれば、心強いことこの上ない。


「よかった、ね、弟子君。彼女、すっごく、強、い、から」

「わ、私も! 罪滅ぼしじゃないが、少しでも役に立たせてくれ!」

「炎の師匠もできてよかったねー」

「ん? 弟子君、それに炎()ってことは………オマエらもコイツ鍛えてやってんのか?」


 全く変なところで勘がいい。

 いや、考えてみれば〈妖技場〉でトップツーのうち一方を張っている以上、そういう鋭さはなくてはならないのかもしれないな。

 とはいえ、別に隠す必要もない、察せられたとて問題ないだろう。


「あぁ、シンミとトイの二人にはいつも俺の妖術とか実戦の稽古をつけて貰ってるんだ」

「ほーん、こんなルーキー先に見つけるなんざ、あのおっさんもやるじゃねーの………それにしても二人とも水くせぇ、もっと早く言ってくれりゃぁ………」

「私、は、シンミちゃん、に、止め、られ、て」

「だってお姉ちゃん、私に弟子が出来たとか言ったら、絶対会わせろ会わせろー、って五月蠅いじゃん。今だってそー言ってるしー」

「まー確かになー」

「おい天狗! 姐さんに向かって失礼だぞ!」

「うっさい河童、アンタとは付き合いが違うのー!」

「なんだと! 大体テメェはいつもそうだ、姐さんへのリスペクトが感じらねぇ!」

「そーやって祭り上げてりゃいーってもんじゃないでしょ! そんなんじゃこの馬鹿の為になんないでしょーが!」

「なんだオマエら仲良しじゃねーか」

「「違う!」」

「──────」


 一瞬にして騒がしくなってしまった。

 傍らのトイに聞くと、彼女らは仲が良くないらしい。

 シンミの方はサミハとは、普段は仲が悪くないが言いたいことがあったり意見の違いが合ったりと、喧嘩する時はする、そしてトルフェはそんな二人の親密さとシンミの態度が気に食わない。

 故に二人が一堂に会すると、頻繁にこういうことが起きるのだとか。


「ん、むぅ───」

「あ、奏起きたか」

「ん、おはよう、トロ」

「あぁ、おはよう。心配かけてごめんな」

「ううん。わたしが勝手にどきどきしちゃってただけだし」


 ずっと頭を撫でまわしていた奏が、むくりと起き上がった。

 流石に騒がしすぎたか。

 その様子を見ても、トイはまだしも、他三人は喧しいままだ。

 暫く止む気配はないし、少しお手洗いに行ってこよう。


「すまん奏、ちょっとトイレに行ってくる。トイ、奏を頼む」

「ん。任せ、て」

「いってらっしゃい」


 ベッドから抜け、用意されていたスリッパ的な簡単な靴に足を通す。

 疲れの残る脚で立ち上がり、通路へと出ていった。

 背後に、奏とトイが互いに自己紹介を交わしている声が聞こえた。

 そうか、考えてみれば奏は妖怪のみんなとは初対面だった、付き合いが長くなってきたものだからすっかり失念していた。

 兎に角、この機にみんなが仲良くなってくれるのを祈るばかりだ。




 さて、表示を頼りに道を進み御手洗いに辿り着いた。

 入り口で曲がり、男子用のトイレに入る。

 見学の時には入らなかったこの場所、入り口や通路同様に中は異様に広く、多様な妖怪も利用できる作りになっているようだ。


『───トロン。聞こえますか、トロン』

「!」


 何処からともなく声が響いた。

 変声機で加工してあるのかつかみどころがなく、声の主が推定できない。


「………何者ですか?」

『私はアメジスト。貴方に一つ頼みがあります』

「はぁ、嫌ですけど」

『えっ』


 そもそも今日は疲れたから帰るか奏の手伝いに向かいたいし、そうでなくても今日中は安静にしろ、と医師から告げられている。

 既に決まっていたことはともかく、新たに予定を増やしてはならないだろう。


「大体それ答えになってないでしょう。何者ですか?」

『───それはお教えできません。我々の頼みを聞いてくれたら、全てをお伝えします』

「怪しすぎるでしょう。それに、まず一つ言いたいことがあるんですけど」

『何でしょう』

「あなた、もしかして女性ですか?」

『………えぇ、まぁ。そのくらいならお答えしましょう。お察しの通り私は女です』

「ここ、男子トイレですよ?」

『突っ込むところそこなんですね?』

<>(^・.・^)<トロン君もそのくらいの常識はあります(酷い)


<>(^・.・^)<ご感想や評価下さると舞って喜びます〜!

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