幕間
<>(^・.・^)<文字通りの幕間です
【とある探偵事務所所長の場合】
.........さて。
トロン君も帰ったことですし。
「ふう、疲れました」
そう零しながら、私はソファに思い切り体を預けました。
衆人監視の目が無い時は、私は大抵このように休みます。
特に、所員たちの前では、意識してだらけた所を見せないようにしています。
『トップに立つものは、いかなる点においても規範となれ』。
私の友人から教わった言葉です。
彼は今もきっと元気にやっているでしょう。
なにせ、ついこの間、『有望な新人が現れた』と連絡を寄越してきたくらいですから。
そう、新人と言えば。
「.........トロン君には悪いことをしてしまいました」
あの時にトロン君が倒れた事の原因は、恐らく私でしょう。
いえ、私と言うよりも『私の言葉』が原因ですかね。
私を《術使い》たらしめている物。
それは《気配感知》という存在です。
それは、『能力が発動している限り、一定範囲の気配を感知する』という物。
ただ単に気配だけを感知するならば半径数キロの範囲は大丈夫でしたが、トロン君に対しては、極小範囲で心の中を覗けるように設定しました。
そして見た結果が、アレです。
大抵の場合は、皆心の中に様々な感情を司る存在を抱えている筈ですが。
トロン君も例に漏れず、様々な感情を司る存在は、確かに見えました。
ですが、アレは特殊です。
「正直、見たことがありませんでした」
あれほどの物は中々見ない。
と言うより最早彼は正常な人間でないのかも知れません.........
ピンポーン
おっと、チャイムがなりましたね。
恐らくあの方でしょう。
私がソファから立ち上がると、ソファはかなり軋んだ音を立てます。
.........そろそろ買い替えましょうか。
ピンポーン、ピンポーン
「あ、はい只今!」
どうやらかなり急ぎの用らしいですね。
身なりを整え、コーヒーを準備し、部屋の中を綺麗にした後で、玄関にお客様用のスリッパを出します。
この間、およそ三分。
準備が整ったところで、ドアノブを捻り、扉を開けます。
「ようこそ、『ファースト探偵事務所』へ。私共は貴方の依頼を歓迎します─────」
[ * * * ]
【とある探偵事務所所員達の場合】
青髪の少女の足元から、棘のような氷が飛び出す。
それは勢いを増しながら、黒髪の少女へと迫り行く。
後数センチで命中すると、そう青髪の少女は踏んでいた。
事実、彼女の予想した通りに黒髪の少女は右へ左へ飛行していた。
一秒前までは。
黒髪の少女は思い切り体を倒し、落ちるように落下する。
床に着く直前、黒髪の少女の体を取り巻く風の流れが変化し、彼女を落下事故から救った。
戦いが始まってはや十分。
その間に、青髪の少女の周りには、完全に氷の壁が出来上がっていた。
厚けれど、高さはさほどでもない壁に遮られ、青髪の少女は黒髪の少女を死角へと見失った。
これこそ、黒髪の少女の作戦。
速度に秀でた自分が相手を撃破するためにはどうすれば良いか。
答えは、相手の攻撃を避け切りこちらの攻撃を決めるか、相手の隙を突いて一瞬で奇襲を成功させるかの二択である。
今は、前者で様子を見たあと、後者の作戦に切り替えた形だ。
黒髪の少女の方が速い以上、こちらから飛び出して素早さ対決にするのは愚策。
かと言ってできることも無い青髪の少女は、とりあえずは即席の氷柱を拵える。
形を整えようとしたその刹那、青髪の少女の後ろから黒い影を引いて相手が飛び出した。
咄嗟の出来事であり、青髪の少女には大した対策はない。
黒髪の少女にとっては、相手の懐に入り込んだらこっちのもの。
壁によって身を守っていた青髪の少女は、自らの壁に逃げ道を潰されることになる。
───この勝負、貰った!
───負けない!
そして、黒髪天狗の鋭き蹴りと青髪雪女の硬き氷柱が交差する。
「.........照れてんじゃ、ない!」
「アンタもご飯でポイント稼ごうとするな~!」
「「.........ハァ!? 別に私はトロ(弟子君)の事、好きでもなんでもないんだけど~!」」
[ * * * ]
【とあるのっぺら坊の場合】
「.........おせぇナ、アイツ.........」
この後彼は、一昼夜待ち続けることとなる。
<>(^・.・^)<たまにはこういう話があっても良いじゃないですか
<>(^・.・^)<ご感想お待ちしております!