Episode of ??? ~???の話~《God side Ⅱ》
<>(^・.・^)<神視点パートツーですー
私、イザナミは、今、謎の空間に居ます。
先程までは、兄や従者さんと一緒に、凄く広い空間に居たのですが。
兄と、従者さんを置いて、ここへ来てしまいました。
置いてきてしまった人は置いておくとしても、ここは、本当に謎です。
黒い穴の先に進むと、こんな空間があったとは。
『こんな空間』と言いますか、それとも『何という空間』と言うべきでしょうか。
「ようこそ~! ここがボクの天国! 理想郷! 楽園だよ~!」
そういうことを言ってしまうと、『天国』担当の人に怒られてしまいそうな気もしますが。
さて、私を攫い、今手を大きく開いて大声を上げている少女は、『神聖帝』と呼ばれし神中の神。
その名も、『開神 オープ』様です。
オープ様は、通常なら莫大な時間と手間が必要な空間接続術式を、一瞬で、片手間で行ってしまったり。
客人が居るのに、片手間で布団を取り出し、長時間眠ったり。
『気に入った』という理由だけで、初対面の人を勝手に自分の空間に引きずり込んだり。
なんと言いますか.........規格外な方です。
「えっと、オープ様?」
「いやいやー、オープンでいいよー。友達みんなそう呼ぶしー」
「オープン様?」
「そこじゃないんだけどな~」
オープン様は、ダボダボの服装の袖から伸びる右手で後ろ頭をかき、困ったような声を上げる。
「いや、様とか要らないからー。本当にー」
「.........オープン姫殿下?」
「グレードアップしちゃったよー......」
そう言われましても。
頭では、『この神にあんまり敬意を払う必要は無さそうだ』とは思ってはいます。
しかし、既に頭の深くに根付いた、『オープ様はえらい』という意識が、条件反射的に敬称を付けてしまうのです。
悪意はありません。
ほんとうですよ?
「ま、いいやー。そんなことは、その内何とかなるしー」
「はぁ」
諦めたようだ。
「今はここでしか出来ないこと、しなくちゃねー」
「と、仰いますと」
「.........」
「どうなさいましたか?」
「いやね、ザミザミがさ、凄く純粋な目でへりくだってくるもんだからさー。ちょっとばかしこそばゆくてねー」
「.........これでいかがですか?」
「目の方を変えろとは言ってないよぉー。しかもゴミを見る目だよぉ.........」
オープ様が何やら少し俯いていらっしゃいますが、それはさておきます。
オープ様の行動があんまりにもあんまりだったもので、ちょっと頭が働いて来ました。
今私が居る部屋は、地球人基準での広さおよそ二十平方メートルほど。
かなり広いです。
私が強制的に連れてこられたこの部屋には、魔法陣や伝説の杖等の変わり種はありません。
意外といえば意外ですが.........それ以上にインパクトのある物が、その部屋にはありました。
ガラス製のフィギュア棚です。
その中には、なんと言いますか.........アレなフィギュア達が.........
「あ、ザミザミこれ気になる? 気になっちゃうー? やっぱ見る目あんねー! さすがはあのザギザギの妹さんだー!」
嬉々として、透明度の高いその棚に擦り寄るオープ様。
最近の人間達の流行にあった言葉で表すとしたらですが─────少々ウザイです。
「どこが良いと思うー? あ、その前にー、どの子が一番の好みかなー? やっぱり、ネコミミスク水JKの桜ちゃん? それとも、ツンデレゴスロリのみずっきー? あー、やっぱり家庭的お姉様キャラの綾奈様ー? どの子も捨て難いけど、ボクはやっぱり─────」
それからでした。
「─────ボクが思うに、スク水とビキニの最大の違いとは─────」
オープ様の愛が、
「─────それでも、シチュエーションでキャラの好み変わっちゃうこともあるよね─────」
溢れ出したのは。
「─────いやー、やっぱりツンデレは最高だよねー! クーデレは至高! ヤンデレは天恵! 妹はやはり正義─────」
.........結局、どれが一番好きなんですか.........?
それから、人間時間にしておよそ二十時間が過ぎました。
私達神からしたら、一時間弱程ですが。
それでも、一時間弱の間、自分の全く知らない、興味のなかった話題について話されると、若干の拒否反応が出ます。
簡単な話、私はぼうっとしていました。
「で、最終的に落ち着くのが.........あれ、大丈夫ー?」
「.........え、あ、はい、大丈夫です」
「なんか困った事とかあったらー、言ってよー? 友達でしょー?」
「..................」
そうだったのですか。
全く知りませんでした。
「いや、だってー、ボクの話、最後まで聞いてくれたじゃん? 逃げ出さずにさー」
「それは......オープン様だったからで.........」
「いやいやー、普通なら、逃げるよー? ボクが誰だろうとー。それでも逃げなかったってことはー、ある程度はボクの事、気にかけてるんじゃ無いのー?」
「オープンさんが、話を止めないから.........」
「ボクだって、『そういうのむりー!』とか、『キモイー!』とか思ってる奴に、大好きな事、語らないもーん」
「オープン、ちゃん.........」
不思議と、敬称は取れていきました。
何故でしょう。
きっと、オープ様の中にある、人を惹きつける何かが、私の心に響いたのでしょう。
「さー、さー、ザミザミもボクのことちゃん付けで呼んでくれたし!」
「.........今後も、なるべく意識します」
意識表明をすると、オープ様は明後日の方を向いてしまいました。
「.........ホントは敬語も要らないんだけどなー。でもそれなくさせるとあいつら怒るからなー」
「? 何か仰い......言いましたか?」
危ない。
今、普通に敬語が出かけました。
丁寧語位ならともかく、きっとそれ以上は、オープ様は望まないでしょう。
「ううん、何でもー。.........さあ、折角お友達になった所だし! ここは『アレ』、行っちゃいますか!」
「.........アレ?」
少しだけ嫌な予感がしたので、オウム返しをしてみます。
「そー、アレアレ。一人じゃ出来なくて、しかも親しい友達としか許されない、『アレ』だよ!」
「と、言うと?」
「そう、圧倒的青春力を誇る、魔法のワード─────『恋バナ』!」
必殺技みたいなネーミングセンスですね。
私達、青春なんて歳でも無いでしょう。
と言うか、引っ張った割にはしょうもないですね。
私、別にそれに参加するつもりは無いですよ?
等々、言いたいことは沢山ありました。
その中でも、私にとって最も重要だった事が.........
「もしかして、今までの友情云々のくだりは、全て『恋バナ』とやらがしたかった為の前フリだったんですか!?」
信じられない。
割と本気で友情を感じて来ていたというのに。
怒りもあらわにしながら、私が叫ぶと、オープ様はフォローを入れました。
「いや、そんな訳じゃないよ? 純粋に、ザミザミの事が気に入ってるのもあるよー」
「..................『も』?」
「あ、やばっ」
「~~~~~ッ!」
本当、信じられない!
乙女の純情を弄ぶなんて!
「そんな、ボクの事を極悪非道の女たらしみたいに言わないでよー」
オープ様が何か言っていますが、私は気にしません。
「あの、ゴメンってー。悪かったよー」
何も耳に入れません。
「ホント、そんなつもりじゃなかったんだよー」
絶対に反応もしてやりません。
「.........はぁ、こりゃ許してくれそうに無いなー.........」
そう、決心しました。
「じゃあさ、話変えるけど.........ザミザミって、今、好きな人、居るよね?」
「! !? ? !!? !!??? ~~~~~~~~~~!!!!!?????」
私は思わず、オープ様に顔を向け、声にならない声を上げてしまいました。
.........決心した、筈だったんですがね.........
<>(^・.・^)<乙女()の純情()
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