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最後の魔術師  作者: たちばな樹
最後の魔術師のその最後
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1・ユークレイside


ーー魔術封じ


精霊契約を強制解除させる術を大陸にかけるその魔術師を耳にしてから私の最大の敵となった。



東のシーガは魔術封じを受けた。次は我が国に入る。魔術封じの魔術師の出現ポイントが図れた今、万全な態勢でヤツを倒す。

失敗すれば精霊契約を失い魔術が扱えなくなるが恐れていたら何も出来ない。私にできることをするまでだ。




前線に自軍の魔術師を置いたが逃げ腰でいるのが情け無い。


『魔術封じの威力の凄さの意味を理解していない。あれだけの広範囲かける術者はあり得ない』


と口を揃えているが倒さなければならない敵である以上全力でやるのが仕事だろう。



予測した所に魔術師が現れた。


魔術師達が張る捕縛陣では足止めにならなかった。魔術封じの魔術師が立つ屋根を氷矢で崩し落ちたのは計画通りだ。


捕縛できたかと思ったが、結界に阻まれている。初めて魔術封じの魔術師のフードが外れた。だが黒い布に巻かれ黒い仮面で素顔も分からない。


魔力を込め結界を叩くと大きくひび割れた。いける!と思ったが転移で逃げられた。


魔術封じの魔術師は転移した先で水魔術を使っている。水を使うなら好都合。足元から凍らせていく。


だがそれを気にしないかのようにヤツは水魔術で広範囲を水浸した。

胸元まで凍らせたが次の瞬間、視界が白く弾けていた。


気がつき起きれば魔術が使えなくなっているのが分かった。



精霊契約を強制解除された衝撃は筆舌に尽くしがたい。この憤怒は魔術封じの魔術師を打って晴らすと誓った。




幾度となく、魔術封じの魔術師と合間見え剣を振るうが及ばない。魔石を使い魔力を繰り出すが難なく躱される。


各国でも同じようで誰一人も傷一つ付けることは叶わなかった。



一年はあっという間に過ぎたこの頃に魔術封じの魔術師は、仮面の魔術師と呼ばれるようになった。



大陸半分を過ぎたころ、各国の魔術師達が集まり仮面の魔術師に向かったが遅い。もっと早く団結し、各国協力態勢が敷かれていればと悔やまれる。せめて一矢報いれたのだろうか。



転移で消える仮面の魔術師は要として知れず封じる先にしか現れ無い。

各国は諦め仮面の魔術師の追撃は無くなっていった。



だが、諦められないのだ。

騎士の誇りにかけ最後まで仮面の魔術師に立ち向かいたかった。



そんな同じ思いのヤツが他にもいた。


ザサウ国赤騎士国王騎士団長ガル・ブリック。

ウーノス国黒騎士近衛師団長シュロン・デリュージュ。


三人で仮面の魔術師を待った。




仮面の魔術師は現れると我々が近づく前に突風で出鼻を挫く。お決まりのパターンだが術に争うのは難しい。



再度攻め込むも土柱を出現させられ足場を乱される。

再び吹き飛ばされ力の差に言葉を無くし、身体を打ち付け動けなかった。



ーー仮面の魔術師に大陸が封じられた。



力の差はあれど、矜持として負けたくなかった私や二人は剣を再び向けた、その時。



光が現れ、空中に半透明な人物が姿を見せた。



仮面の魔術師はそれを精霊王、と呟いた。


初めて聞いた仮面の魔術師の声。


覆面と仮面でくぐもった声だが年若いのは分かった。

仮面の魔術師が喋ったことも衝撃だが、目の前の存在は無視出来ない。膝をつき敬意を表したが、仮面の魔術師は無礼にも精霊王に近づく。



「約束を」



そう仮面の魔術師はいったが、精霊王の答えを聞いた仮面の魔術師は一拍のち激昂した。




「精霊王!騙したなーーーー!!」



仮面の魔術師は精霊王を攻撃した。

精霊王に歯向うなどあり得ないこと。

仮面の魔術師から精霊王を庇い立ち向かった。

爆煙で見えなくとも気配で分かる。当たりをつけたが躱されシュロンが足止めた。その死角からガルが結界を破壊した。


風に吹かれ煙が晴れ仮面の魔術師の姿が現れる。


仮面の魔術師は結界張り直しに片手を上げ、その隙に私は剣を渾身の力で繰り出した。仮面の魔術師は私にもう片方の手を向け魔術を出した。


だが仮面の魔術師は魔術を止めた。



それは一瞬だった。


魔術を止めたのと、仮面の魔術師を貫くのは。



ーーそして仮面の奥にその瞳を見てしまった。



血溜まりに沈んだ仮面の魔術師を茫然と見つめた。




信じられない思いで精霊王に尋ねた。




精霊王は曰う。


『精霊酷使のせいで大陸は死滅する。異世界から呼んだ魔術封じの術が使える人間。その最後の魔術師を消して大陸を救った』



仮面の魔術師を殺し、大陸を救った、と。



精霊王の言葉に信じられなかった。



シュロンが仮面の魔術師の仮面を外し晒した。



ーー現れたのは幼さの残る娘の顔だった。



シュロンは跪き項垂れていた。



ああ、あの一瞬。

見てしまったあの瞳。


あの瞳にはなにも無かった。

恨みも憎しみもなにも。


悲しみの涙で揺れていたあの瞳。


脳裏から離れず、うずくまり身を縮め手で顔を覆った。





「なぜ精霊王ともあろうお方がこのようなことを!!?」



異界から呼び魔術封じをさせ、最後には消す運命だったと。



「彼女は精霊王のために魔術封じを行なった!なぜ死ななければならない!!」



精霊王は残酷に告げた。


犠牲にするために呼んだ、と。

この世界の人間では無いから、誰も殺していない、と。




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