後日談・3
今回も傍でユークレイは目を細め人の作業を眺めてる。うーむ。やりづらい。
薬草を天日干しに並べ、うーん、と背伸びして陽を仰ぐと、視界が翳った。
背伸びして上げた両手をユークレイに掴まれた。
はい???
驚いて見上げると、
目の前に青い瞳が見つめていた。
唇から伝わる柔らかい感触にキスをされていることに気がつき、停止していた思考が火を噴いた。
顔近い!口がついてる!なんでキスされてるのー!
白い腕に捕らえられ、いつの間にか、腰に手を回され、もう片方の手は後頭部を掬い固定され動かせない。抗議の言葉を発する前にさらに深く塞がれた。
ユークレイの胸元を押し抵抗していた手も与えられる感覚に支配され力が抜けた。
抵抗をやめたわたしに満足したのかユークレイはゆっくりと唇を離した。
「こうでもしないと貴女は私の気持ちに気が付いてくれないでしょ?」
妖艶に微笑するユークレイの熱の篭った瞳に抗えなかった。
ーー貴女を名前で呼んで良いですか?
低く艶のある蕩けるような声で耳に囁かれ、抵抗は根こそぎ取られた今、頷くしかなかった。
「サアヤ。やっと貴女の名前を呼べる」
再び唇を重ねてきたユークレイに貪られるようにキスをされた。
「愛していますサアヤ。私とこの世界で生きてくれませんか」
(今までの、懺悔ではなく、告白だった、の?…………)
今更ながらに彼の気持ちに気が付き、戸惑い狼狽える。
わたしは彼のことをどう思っていた?
吊り橋効果のドキ?
でも当たり前のように会いに来てくれて、気楽に話せる彼に安心していたのも確かで……。
わたしは彼のこと……、好き?
勘違いしないように。
吊り橋効果だと自分に言い聞かせてた。
自分の気持ちに気がつく前にこんなことされて、どうしていいか分からない。
視線が彷徨い羞恥に顔が熱くなっていくのが分かる。ああ、頬が熱い。
「……なぜ、わたしを?」
ーー罪滅ぼしの同情?
一瞬で頬の熱が引く。
脳裏によぎる否定的な考えを割くことができない。
平凡な顔立ちの平凡な自分にどう惹かれたのか分からない。やはりわたしを刺した罪悪感からとしか思えない。
周りの魅力的な西洋美人に敵うとは到底思えないから。
「最初は後悔でいっぱいでした。精霊王から真実を聞かされ貴女を討ったことを……。そして儚い貴女を護りたいと思い、会うに連れ貴女に惹かれた」
「罪悪感ならやめて……」
後悔も懺悔もいらない。
罪悪感と憐憫もいらない。
「罪悪感ではないですよ。貴女の魅力に惹かれたのです」
わたしの頬を撫で優しく包むように見つめる瞳と視線が交わる。
緊張と動揺と動悸で上手く言葉が出てこない。ユークレイを伺うように見つめ掠れ声で呟いた。
「…………わたしで、いいの?」
「サアヤが、いいのです」
即答と共に蕩けるような瞳でわたしを見つめ手を取り甲に唇を落とす。
ああ、刺されました。
心臓にグッサリです。
物理的にも心理的にも射止められました。
お手上げです。
ユークレイを見上げ微笑むと、わたしの答えは再び口付けで塞がれた。
ゴーーーン!……ゴーーーン!……
教会の鐘が、祝福の音を響かせている。
「とても素敵ですよ。サアヤ」
白いドレスを身に纏い教会で誓うは婚姻の儀式。
ユークレイの白い騎士の礼服は鎧と違い服が身体のラインに添い、煌びやかな装いは王子様さながらの様子だ。
腕を組み見つめ合う二人。
「この先、永遠に貴女と」
「……離さないでね。ユーク」
もちろん、とユークレイは花嫁に口付けた。
駆け足で終わらせてしまった。
本当はユークレイエンドじゃなかったのに、挫折してユークレイになっちゃた(^_^;)




