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最後の魔術師  作者: たちばな樹
最後の魔術師のその最後
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後日談・1



世界は回復の兆しを見せ、大神殿では連日仮面の巫女への参拝者が列をなしている。精霊の加護の元、遣わされた巫女。






ーー精霊王の遣い、仮面の巫女。







いやいや!精霊王の生贄だから!

精霊王、詐欺師だから!



「結局死んで元の世界に帰れないってことじゃんか!!」




ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリ………………。


薬草をあたり鉢で当て煎じて薬を作る。

不満を八つ当たりするように鉢をゴリゴリと当てる。




『あの大陸から全ての魔術師が消えたら帰れる契約になるんだけど、いい?』




「あの大嘘つきーーー!!!」


……深く考えれば良かった。

あの詐欺精霊王め!!

異世界トリップに浮かれ深く追求しなかったのも悪いが、精霊王に騙し討ちされるってどうよ!!?




精霊王からもらった知識で薬を作り民に渡し、祈りを捧げる。



この知識は精霊王の置き土産としてはまあまあか?

騙し討ち詐欺精霊王には恨み言が山ほどだが、言語能力と知識でチャラにしてやろう。

……うーん。帰れないうえ、死ぬ代償にコレは等価か??悩むな。



神殿での生活に不自由はない。

慣れるまでは大変だったけど今は日の出と共に起きて仕事をする。


そんなわたしの生活の合間合間に顔を出すのが一人。






「まだご立腹ですか?」



背後からくつくつと含み笑いを噛み殺しながら話すその声に一瞬ゾワリとする。



振り返ればドアに肘をつき佇むイケメン。

眉目秀麗、プラチナブロンドで青い瞳、白い鎧いがよく似合う、白騎士近衛騎士団長ユークレイ・フロストが立っていた。



青、赤、白、黒の四騎士長達は人気らしい。

イケメンランキングには興味が無いが、憧れる女子から騎士団に毎日貢物が届くらしい。



うん。興味ないわ。



三年間、騎士に追われ、戦い、刺され、殺された末路を持つわたしに、どうトキメけと?

日々刷り込まれた恐怖しか湧かんわ!

未だに騎士や兵を見るとドキっとするし。

ドキって、好意のドキっじゃない、心臓に悪いドキっだし。最悪の吊り橋効果だわ!分かっているから好意には繋がらないのよねー。



「お相手する暇はありませんよ?薬の注文終わらないので」


とっとと帰れ!オーラを放つも軽くすり抜けユークレイは隣の席に座ってる。



「北の国に生えた薬草を届けに来たんです」

「倉庫に置いておいてくださいね」


素っ気なく答えるもユークレイは楽しげにこちらを眺めている。

机に肘をつき頬杖をつきながら、机に向かいゴリゴリ擂り粉木を当てる私の髪を弄るユークレイは優美に微笑み目を細めている。



「貴女が元気になって良かったです」



わたしの長い髪を一房すくい髪に口付けをおとす。穏やかな瞳で。でも心配気に眉を寄せるユークレイの顔はズルい、これだからイケメンは!

心配してくれているのは分かるけどさ。でも髪を勝手に弄るな。


目覚めた時、三騎士に囲まれ、謝罪と感謝と心配を沢山してもらった。

知らなかったとはいえ、わたしを刺したことを、未だユークレイは罪悪感に苛まれるようで、懺悔の如く謝罪を聞かされるのはウンザリです。


北のウーノス、首都フィルドから馬で数日かかるのに、わざわざ来るのは薬草を届けるだけじゃなく、懺悔しに来ているようで、ハッキリ言えば重い。爽やかイケメンなぶん、重さが際立つ。



「体調も大丈夫です。生活も仕事も慣れました。もうご心配して頂かなくても大丈夫ですから、ユークレイ様もお仕事忙しいでしょうし、薬草運びは他の方にしては?」


案に、もう来なくて大丈夫と言ってるんだが、来るんだわ、この人。



「様も敬語も要りません。どうぞユークとお呼びください」



にっこりと微笑むその表情は無駄に妖艶だ。

無理。年上にタメ口なんて無理。せめてユークレイさん、が限度です。



というか、騎士見ると心臓に悪いのよ。とも言えない。追われて刺されたトラウマを話したらまた懺悔が増える。うん。言えない。

懺悔ウザいし、邪魔だし。早く帰って欲しい。切実に。







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