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『最後の魔術師が消えた今、危機は免れた』
ユークレイは精霊王の前に跪き見上げた。
「畏れながら申し上げます。精霊王よ。経緯をお教え頂けますか?」
『んー、魔術師を消さないと精霊が引きずり出されて全て眠れないからねー。消してくれてありがとうね?』
精霊王は曰う。
『長年の戦争による影響と魔術師の精霊契約による精霊酷使のせいで、このままでは大地は荒廃し、井戸は枯れ、草木が立ち枯れ芽吹かずこの大陸は死滅する。
だから僕が異世界からわざわざ呼んだんだー。魔術封じの術が使える人間を。
この術はこの世界の人間じゃ扱えないからねー。
神に神託してもらったのに無視するから面倒なことになったんだよ?
精霊封じられて立ち向かうなんて勇者だねー。君達が最後の魔術師を消して大陸を救った英雄になったわけだ。おめでとー。
ここの大陸の人間は手を掛けてないよ?よかったね?』
精霊王は首を傾け瞳鋭く騎士達を見つめた。
ユークレイは驚愕して身を固めたまま精霊王を凝視していた。
シュロンは立ち上がり仮面の魔術師に近づくと膝をつき仮面を外し、頭に巻かれた布をスルリと外した。
ーー現れたのは幼さの残る娘の顔だった。
シュロンは跪いたまま瞑目し背を丸めるように項垂れた。
ユークレイもゆらりと立ち上がり近づくと横たわる姿に膝をついた。うずくまり身を縮め手で顔を覆った。
ガルはその姿を見つめ後ろで立ち尽くしていた。
「なぜ精霊王ともあろうお方がこのようなことを!!?」
ユークレイは弾けるように身を起こし、精霊王を鋭く睨み斬り殺さんばかりの勢いで食ってかかった。
「彼女は精霊王のために魔術封じを行なった!なぜ死ななければならない!!」
『だから言ったよね?魔術師全て居なくならないと精霊が眠れないって。
誰が最後の魔術師を封じれる?魔術封じは異界の者しか使えないのに?』
「だからと言って彼女を犠牲にするために異界から呼んだのですか!?」
『そうだよ?
精霊妃が眠りにつくほど精霊を追い詰めた人間に僕が味方になるわけないじゃない?自然と精霊の摂理の中で動くんだよ?』
彼女には最初で最後の召喚だって言ってあるのにねー、と精霊王は冷たく妖艶に笑っている。
『彼女のおかげでこの大陸の魔術師は誰も死んでないよ?よかったね?
この大陸から魔術師は消えた。これで大地が死滅から免れる。精霊妃と共に僕も安心して眠れる。感謝するよ騎士達ー』
精霊王は揺らめきながら消え、騎士達だけが残された。
仮面の魔術師もそのままに。




