5話◆好きだから!◆
2話の続編です。
この作品は太郎が好きな子のためにヘビメタを勉強しギターまで買ってますがほぼ実話です(笑)
男はCDを入れた。そこから流れるのは不可解なノイズ、ボーカルの奇声、耳障りな低音リフのオンパレードである。男にとっては不快極まりない……
「これもアンナのためだ!!!」男は呟く……
男はもともとかぐや姫のようなフォークソングが好きなのだ、頭が痛くなってくる……
男は壁に目をやる、そこにはポスターがびっしりだ。キッス、イングウェイ、メガデス、レーサーX…みな白目を向き男を凝視しているようだ。
男にとっては不快極まりない………
「これもアンナのためだ!!!」男は呟く…
男はもともと麻木久仁子や伊藤かずこのような熟女が好きなのだ。頭が痛くなってくる…
男は窓際に目をやった。そこにはエレキギターが置いてある。Ibanez マーティフリードマンモデル……である。買ったのだ。楽器屋に行って
「ヘビメタぽいギターください」っと言ったら買わされた、アンプ、ケーブル、エフェクター、チューナー、音叉、布袋フィギア、ピックアップ、ミキサー、イコライザ−、研磨剤も買わされた。だって店員があった方がいいって言うから……
(わからない人ゴメンナサイ。エレキは基本ギター、アンプ、ケーブルで音はでます。他は必要ないものです、でもエフェクターはあった方がいいかな)
男の名は太郎、そうアンナの彼氏である。太郎はヘビメタ喫茶にいってから変わった。アンナの父に自分を受け入れてもらうために、ヘビメタを勉強する。
太郎とては苦痛でしかないがアンナのためだ…
太郎はギターを手に取った。
「え〜とまずG#…と」
モコッモッモコッ
「難しいなぁ…」
ギター初心者の太郎は弦がしっかり押さえてないのでmute(消音)してしまう。(ちなみに練習してるのはKISS/ BLACK DIAMOND初心者おすすめ♪)その時、もの凄い勢いで扉が開いた。
「太郎! うるさーーい!!耳障りな音出すな」
「ママ〜……」
「何ロック聞いてんの!いつから不良になったの!こんな子うちの子じゃありません」
「ママ〜……」
太郎はしゅんとなりギターを置いた。僕だって好きでやってるんじゃない。と呟いた。
(いつの時代もエレキは嫌われ者…ですね。)
翌日……
キーンコーンカーンコーンキーン……
「あー今日も1日お〜わった!ん?アンナまだ勉強してんの?」
「うん♪今日の授業ノートに一度まとめようと思って♪加奈ちゃんもうお帰り?」
「帰るよ、でも真面目だなぁ〜。さっすが生徒会長!」
アンナは少し恥ずかしそうにテヘヘと笑った。加奈とアンナは談笑していると太郎がやってきた。
「ヒューヒュー!!アンナの彼氏がやってきた♪やってきた♪」
アンナが太郎に気ずく
「太郎君、ちょっとまってねぇ〜♪」
アンナが嬉しそうに言った、すると太郎が得意げに言う。
「イングウェイ・マルスティーンっていいよね!あの早弾き最高だよね!とくにネバーダイがいいよね!!!ヘビメタ最高!!」
突然である。なんの前触れもなく太郎は言った。しかもなんの感情もこもってない棒読みである。その場が凍りついたのは言うまでもない。
「たっろう!何訳の分からないこと言ってんの?ヘビメタ?だっさださだよ!!イングなんとか?わかんねーよ!アンナも言ったて!太郎頭おかしくなっちゃったから。」
するとアンナは立ち上がった、目がキラキラ輝いている。
「イングウェイ・マルスティーン、スウェーデン出身。78年『ライジングフォース』でデビュー。クラシックを基盤とした超早弾きで人気をはくす。なお98年には初のフルオーケストラ『変ホ単調新世界』を発表しネオクラシカルの新たな可能性を教えてくれた…
代表曲は『ウェンジェンヌ』、『トリロジー』……など」
その場がさらに凍りついた。加奈は口をあんぐり開けて固まっている……太郎とアンナは見つめあっている。加奈はようやく冷静になり口を開けた
「ア、アンナ詳しいね………」
「だってウェイ様は私にとって王子様だもん♪」アンナが恥ずかしそうにエヘヘと笑った。
「そ、そ、そうなの?人は見た目によらないね………私帰るわ…」
加奈は頭をポリポリさせ帰っていった。
アンナは嬉しそうに私達も帰ろといい手を繋いだ………
帰り道もヘビメタ談義で盛り上がった。と言ってもアンナの話はマニアックなので太郎は理解できない、時々うんうん、と頷いている。
最後にアンナは言った
「今日、すっごく嬉しかった。太郎君とヘビメタ語れるなんて………夢見たい……」
太郎は軽く頷きそっと抱きしめた。強く抱きしめたのだった……
『白塗りの太郎』…に続く
今回よりメタルとエレキの小ネタ話を入れていくつもりです。
これを読んで少しでもメタルに興味を持ってくれたら光栄です。