3話◆テレビに出る中編
「こんにちわ〜高島あや子です♪今日は快晴!快晴!気分も晴れ晴れになりますねぇ♪♪
私は今『喫茶HML』に来ています!別名ヘビメタ喫茶な〜んて呼ばれてるお店♪ドクロさん達もこちらを見てますネ♪さっそく突撃〜〜♪」
カメラが回るとあや子は別人だった。さっきまでの愛想のないあや子はもう居ない。この笑顔はどこか引きつけられる魅力がある。あや子はスキップで階段を登っている…
「さぁ♪ドアを開けますよ〜♪今日はどんなお店かなぁ〜♪」あや子は笑顔で扉を開けた。そこには全身白塗り、顔中にピアスをつけトゲトゲスーツを着た化け物が立っていた。胸には『店長』と書かれた名札が付いている。
化け物は
「いらっしゃいませ」と言いテーブルを指さしている。女性のADの中には悲鳴を上げる者までいたがあや子は全く動じてない、これが高島あや子なのだ!!
「壁にはこれまたドクロがありますねぇ♪ギターもある♪フライングV見つけましたヨ♪BGMはやっぱりヘビメタ!!!ガンマレイだぁ♪♪」
あや子が持ちえる知識をフルに活用する。勉強の成果がでている。あや子がテーブルにつくとすでに料理が置かれていた。
「わぁオムライスだぁ♪私だ〜〜〜いすき!」
あや子が食べようとした瞬間オムライスの両端を素手で掴む男がいた。先程の化け物だ、あや子は何が起きたかわからない。
「キシャアアリュベエァ−−−−−!!!」
突然の奇声と共にオムライスに両端から圧力をかけていく……
ベチャ!
綺麗だったオムライスが真ん中から吹き飛んだ。あや子の顔には化け物の唾液とチキンライスがへばり付いている。
「本日のお勧め『悪魔のもおし子、オムライスの圧死』……でございます。ではお食べください」あや子は一瞬ハッとして平常心!平常心!と心の中でつぶやいた。オムライスをすくい一度カメラの前に向ける。
パクリ!
「わぁ〜おいし〜い!
フワフワ卵とチキンライスのバランス絶妙ですよぉ♪チキンライスは少しパサパサ系かな♪これが卵とよく絡んで口に入れた瞬間フワァて全体に広がります〜」
口からでまかせである。グルメのあや子にとっては中の下と言ったところだ。まずい料理を食べてどううまく見せるか……腕の見せどころだ。
「マスター♪この料理のポイントはズバリ?」
正直ポイントなどないと思っているどこにでもある普通のオムライスだ。化け物はニタァと笑った
「この料理のポイントはオムライスを均等な圧力で潰すことです。」
「本当おいしいですヨ」あや子が遮るように言った。こういうバカはもう質問しないことに限る。ふと横を見るとプロデューサーがカンペを持っているのが見えた。
後編に続く