3話◆テレビに出る前編
作品中では実在するテレビ局、女子アナに似た固有名詞が出てきますが。まったく関係ありません。フィクションです。
「現場の高島からのレポートでした〜〜〜バイバーイ〜♪」
……
「ハーイOKです」プロデューサーがあや子にタバコを渡す。
「いやー今日もあやちゃん実に素晴らしい!あや子マジック炸裂だね!」高島は軽く頷き苦笑いをした。
彼女の名は高島あや子、藤一番TVの人気アナウンサーだ。今日のロケは『あや子の現場からこんにちわ』視聴者からよせられた投稿でロケ先が決まる生放送番組だ。あや子の人気と生放送のハプニングで高視聴率を獲ている。ロケが終わるとあや子とプロデューサーが明日の打ち合わせをする
「明日ちょっと変わった喫茶店に行ってほしいんだけど…大丈夫?」
「プロデューサー…私はプロよ!仕事は選ばないって知ってるでしょ?」あや子が軽く舌打ちする…………
「あっそうだったね!あやちゃんごめん!ヘビメタ喫茶ってとこなんだけど、打ち合わせ無しでいってほしいんだ。」
あや子が顔をしかめる、普通リハーサルをして本番に望むのだが…
「なんかそこのマスターがリハーサルなんてリアルじゃない!純粋なメタルを見に来てくれ…って訳の分からないこと言ってて……」
タバコの火を消しあや子が言った。
「自信満々の素人さんね、まぁ〜いいわ…私の技術で優しくリードしてあげるわ。」
あや子とプロデューサーはロケバスに乗り込んだ……
ロケ当日、この日は雲一つない素晴らしい天気だった。本番10分前まであや子はADに肩をもませている。手には資料がある。あや子が独自に調べたヘビーメタルの資料だ。あや子はいつも完璧な仕事にこだわる。努力を惜しまない。女子アナ界の頂点に登りつめても初心を忘れない。
プロデューサーがあや子の元に走ってきた。
「あやちゃんそろそろ本番始まるからお願いね」あや子は
「ふぅ」っとため息をして立ち上がった。もう一度資料に目を通す。
「よし!完璧ね!」
現場が静寂に包まれた…
中編に続く