表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/20

2話◆彼氏がくる後編

扉の向こうには全身白塗り、トゲトゲスーツ、鼻輪をつけ真っ赤な髪を逆立てた化け物がこちらを凝視している。アンナの母である。

「いらっしゃいませ……お二人様ですね………キシャオァアア!!!!」突然、奇声を上げた化け物の唾液が太郎の顔に降り注ぐ。

太郎は震えながらもテーブルについた。

「い、今のがアンナのお母さんじゃないよね 」

「ち、ち、ち、違うよ!あの人は近所でも変わり者でうちでも困ってるの……」アンナはとっさに嘘をついた。店内には低音リフが響いているメタリカであったが。太郎は知るよしもない。長い沈黙が続く………耐えられなくなった太郎は

「何か食べよう」と言いメニュー表を開いた。


「………」


絶句である。そこには今まで太郎が見たことないようなおぞましい言葉が並んでいる………

その時………


「キシャアアアア!!」今度は後ろから男の奇声が聞こえた。男は何かに取り付かれたようにハンバーグを切り刻んでいるその間ずっと奇声を上げている。刻みが終わると男は

「四肢解体ハンバーグです……ごゆっくり」と言った。太郎はその様子を黙って見ていた。

「い、い、今のがアンナのお父さんじゃないよね?」

「ち、ち、ち、違うよ!あの人は近所でも変わり者でうちでも困ってるの!!!」

アンナはとっさに嘘をついた。太郎はホットした表情をしている。すると先程の男がこちらに近ずいてきた。

「いつも娘がお世話になってます。娘の父です」もうアンナは泣き出しそうな顔をしている……太郎はパニックで言葉がでない………

「何になさいますか…」太郎はハッとして

「はじめまして太郎です!え〜〜う〜何かお勧めメニューありあすか?」

「今日のお勧めですね。かしこまりました」

男はそう言うと去っていった。アンナは下を向いて涙を浮かべている、太郎は我に返り

「個性的で楽しいお父さんだね!」といいアンナの手を握った。アンナは嬉しかった。本当に嬉しかった……


10分程たち先程の男(アンナの父)が料理を持って来た…

「今日のお勧め『メタリカのアワビ、ウインナー添えFOCK YOU!』でございます。少々お待ちを………」

太郎の前にアワビを置いた、次の瞬間…


「キベリャイアアァ!!FOCK YOU!FOCK YOU!FOCK YOU!FOCK YOU!」

男の奇声と共にウインナーはグチャグチャに潰れアワビは真ん中から裂けた。息を切らした男が

「ごゆっくり」と言うとその場を去った。


「………」


「………」


「………」

太郎はあまりの衝撃で味がわからない、アンナにいたっては涙を浮かべて黙々と食べた。2人には重い空気が流れ会話もない。

「………」


「……あの…帰ろうか………」

太郎が言うとアンナは無言で頷き席を立った。


店から出てからもアンナは下をむき黙っている、今にも泣き出しそうだ…すると太郎はすっとアンナを抱きしめた……

「僕はアンナが好きなんだ……お父さんがどんな人でもいい……」

アンナが声を上げて泣いた。

「グスン…ごめんね…いつもは優しいお父さんなんだけど……グスン……仕事になると人が変わるの……」

太郎はアンナにキスをしてさらに強く抱きしめた。ヘビメタ喫茶の窓からは全身白塗りの化け物が2人を優しく見ていた…

太郎とアンナの恋はまだ始まったばかりである。優しく見守っていきたいと思う………

『完』

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ