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さよならヘビメタ喫茶〜〜事故〜〜

9話『老いる』の続きです。

アンナは強烈な光に目が眩む…


永遠とも思える時間…


人は死ぬ瞬間、人生を走馬灯のように垣間見るという…………

この時、アンナは自分の人生を見ていたのかもしれない……


18年を一瞬で…


アンナの人生はヘビメタに彩られていた…………物事がついた時からヘビメタを聞かされた…

そして今はヘビメタ好きな彼氏までいる。

決して裕福でない家庭、端から見たら化け物にしか見えない白塗りの両親………

でもアンナは両親が好きだった、白塗りが好きだった、ヘビメタが好きだった……


トラックとの距離1M切ったかな?どうでもいいかそんな事…


アンナは覚悟を決めまぶたを閉じた。


『私は死ぬ…もうすぐトラックにぶつかる…』


『短い人生だったけど楽しかったよ、みんなありがとう』


『パパ、ママ今までありがとう、そしてゴメンネ………』


『ヘビメタ…ありがとう………………』







『え?』


アンナが死を覚悟した瞬間、横から強烈な力で押された………



ガシャァン!







「………」


「………」


「………」


「……パ」


「パパァァァァーーーーーーーー!!!!!!」


トラックの横にはアンナの父が頭から血を流し仰向けに倒れていた。


「パパァァァァーー!!嫌よ…起きてよ……嘘でしょう……………………嘘って言ってよォォォォォォーーーーーーー!」


「嘘って言ってよォォォォォォパパァァァァーーーーーー!!!!!!」


「………」


「ウワアアアァァァァァーーーーーーー!!!」


救急車のサイレンの音が耳に入る……救急隊員が白塗りのパパを担架に乗せる…


そこから記憶はない………………………







ピーピー……ピーピー…


機械の音である、アンナとママはパパの手を強く握っていた。

いつものパパではない全身に管を通し、白塗りの顔は泥で黒く汚れている……

何を言っても…………………反応はない…………


「パパ………ごめんね…私がいけないの………………グスン………」


「アンナのせいじゃないわ…今は祈りましょう…絶対パパは大丈夫よ…」


ママはアンナの肩を叩いた。すると後ろから大柄な男性が近ずいてきた。

「主治医の布袋です、お父さんは非常に危険な状態です」


アンナとママは布袋に詰め寄った……


「主人は助かるんでしょうか?」


「先生!パパを殺さないで!お願い!パパを助けてあげてェェェ!!!」


2人は涙ながらに訴えた布袋は

「最善を尽くします」と一言、言ってその場を後にする。その時、後ろからくる人影に気ずいた


「マスターが事故にあったってホントかーー!」


キングである。キングは汗をダラダラながし、息が上がっている…全身の血管が浮き出ているのがわかる………

アンナがキングに詰め寄った………


「パパが……パパが……パパが………………」


キングの目に全身を管に通した白塗りが見える。キングは更に息を荒立てるゆっくり、ゆっくりとパパの元へ歩を進める。


「うっそだろぉ……マスター目ェ開けろよ………おい…俺とギター弾こうぜ………またヘビメタ語ろうぜーー………………マスターーーー!!!」


キングがマスターの手を握った。後ろではアンナが声を出して泣いている


「キング……私がいけないの…パパは私をかばうために自分からトラックに突っ込んだの…」


キングはアンナの話を無言できいている


「私がいけないの………グスン…」


「………」


「グスン…私が…私が………グスン…う…う…」


「………」


キングは立ち上がりアンナの肩を持ち、強引に後ろに向けた。

アンナは涙を流し、下を向いている……


「アンナちゃん……顔を上げて見ろ!」


アンナはゆっくり顔を上げる、そこには何十人という人がICUの外にいた……みんなヘビメタ喫茶の客である


「マスター!」

「絶対俺たちが助けるからな!」

「大丈夫!心配するなぁー」

「マスターのギター聞きたいよー!」

「オススメCD教えてくれよ」

「頑張れよ!」

「マスター愛してるぜ!」

「ヘビメタは永遠に不滅だ!」



アンナは呆然と見ているキングは優しく言った。


「これだけじゃないぜ…外には何百という数の人間がいるんたぜ…………アンナちゃん、それだけの人にマスターは愛されていたんだ!ヘビメタ喫茶は愛されていたんだ!これだけの人がマスターを信じてるんだ!だから絶対に大丈夫だ!」


「キング……う…う…うウワアアアァァァァ!」


アンナはさらに強く涙した。辺りはすでに日は落ち病院内にも静寂の時間が訪れる。アンナとママは食事も取らず、ずっとパパの手を握った。ずっと、ずっと握ったのだった……………



翌朝


ヘビメタ喫茶の前には女が立っている、いかにもキャリアウーマンといった雰囲気を醸し出している。全身をブランドで固めた衣類はいったい幾らするのだろうか?

女はドクロをチラッと見て階段を登る…

ドアの取っ手に手をかけた…しかし…


『?』


開かない…当然だ中には誰もいないのだから。女は怪訝そうな表情をする


「おい、マスターならいないぜ!」


女は後ろを振り返る、そこにはキングが立っていた。キングは階段を登り女に近ずいた。


「マスターに何か用か?


キングは女の顔をじっと見た。


「あんた…ひょっとして高島…あや子か?」


「それが何か?」


「別にただ、女子アナの帝王とまで呼ばれてる人がなんでこんな所に…」


「そんな事はどうでもいいわ、何故マスターがいないのか聞かせてもらおうかしら?」


キングはあや子に昨日の事をしゃべった。マスターが事故にあったこと、病院で全身を管で繋がれていたこと、そしてマスターの命が危ないこと。キングは全てを話した。そして全てを聞き終えたあや子は

「そう」と一言呟きその場を後にした。


あや子はその夜布団の中で眠れずにいた…

ヘビメタ喫茶、最初は仕事で仕方なく行った。でも何か引っかかる物があったのか、あや子はその後も数回足を運んだ。

あや子は行けば行くほどヘビメタ喫茶が好きになっていった。もうあや子にとってヘビメタ喫茶は大切な場所であった。

そのヘビメタ喫茶マスターが生死の境をさまよっている…


あや子は涙が止まらず、布団の中で声を出して泣いたのだった。


続く…

さよならヘビメタ喫茶は4部構成でいく予定です

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