表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/20

7話◆ミキティと鎖 後編

2月『世界選手権』

前方の評判通り藤原美姫がショート、フリー共に圧倒的強さで優勝した。


2月12日、エキシビション当日……

美姫の提案『ヘビメタ生演奏で演技』……この提案をもっとも嫌ったのが何を隠そう『日本スケート協会』である。

すでに会場は満員の観客で埋め尽くされている、メダリスト達の華麗な演技で会場のボルテージは最高潮に達する。


選手控え室ーーーーーーーーーーーー

「気は確かかね藤原君……君のやろうとしている事はスケート界の冒涜に他ならない!!!」


「そうだ!そうだ!」


選手控え室にはスケート協会会長と美姫のコーチが凄い見幕で美姫を凝視している。

美姫の衣装は昨日までの可憐なレオタードではない、全身白塗り、トゲトゲヘビメタスーツに身を着飾っている。となりにはヘビメタ喫茶マスターが陣取っている……


「藤原君……君はスケートを何だと思ってるんだ……ヘビメタ生演奏?…ふざけるな!君はスケート界の未来を背負っていくんだぞ!!!」


「そうだ!そうだ!」


美姫は会長を睨みつけた……

「エキシビションでヘビメタは別に禁止されてる訳じゃないですよね?」


会長は顔を真っ赤にさせてマスターの方に近ずいた。

「貴様だな!藤原君をそそのかしたのは!!!!おい化け物!何とか言えよ!!!」


マスターは黙って会長の顔を見下ろしている……


「私はねぇ〜貴様のような化け物がダッッッイキライなんだよ!!!!!ヘビメタなんて人間のクズが聞くものだ!貴様のようになぁ」


「………」


「速い、汚い、うざい、3拍子揃ったヘビメタなんて消えてなくなれ!!おい、何とかいえよ!」

「………」


「だいたい、貴様と藤原君はすむ場所が違うんだよ!!!だいたい…」


ガッ!


マスターはいきなり会長の胸ぐらを掴んだ、会長は恐怖に震える………


「け、警察呼ぶぞ…」


「呼べよ!ジジィてめぇーにヘビメタがわかってたまるか!!!ヘビメタを侮辱するやつはゆるせねぇぇぇ!!!

キシャアアア!!!!」


ドカン!


会長はゴロゴロと床を転がる。恐怖で背中が震えているのがわかる………コーチはオロオロ動き回る。美姫は立ち上がりマスターに言った。


「マスターそろそろ時間だよ、行きましょ……………それと…コーチ今までありがとうございました…ごめんなさい…」


2人は眩い光のまつステージへと向かった……背中越しに声が聞こえてくる…


「藤原君!このままだとスケート界から除名だ!考え直せ!ヘビメタ如きで選手生命をうしなうのか!だいたい君は伝統と言う…………」

会長の言葉は美姫には届いていなかった………



観客はざわついている、次は藤原美姫の演技なのだが妙な物があるのだ………アンプとギターである………………

ステージの中央にはアンプとギターが置かれているのだ。すると突然、会場の照明が落とされた…


「………」



数秒の静寂………




暗闇の中、観客は次に起こることが予想できず期待と恐怖に襲われる……



「………」


カッ!


照明が照らされた、観客は自分の目を疑った……ステージ中央、ギターを持った白塗りの化け物が立っているのだ!さらに中央に向かって歩いてくる者がいる、全身白塗り、トゲトゲヘビメタスーツである。


「………」


「………」


「……え?ミキティ?」


「え?嘘だろ?まさか………」


「あっ!ミキティだ!!ミキティが全身白塗りの化け物で登場した!」


「え〜〜〜〜〜!!!」


観客が驚くのも無理はない昨日まで氷上の妖精として可憐な衣装をまとっていたのだから…

美姫はマイクを手に取った。

「皆さん驚かせてごめんなさい……

でもこれが本当の私なんです………

もし私がヘビメタに出会わなければ今ここに居ません、スケートもやっていないでしょう…………今日は本当の藤原美姫を見てください!!!!」


美姫はマスターに目をやる、マスターがうなずいた……………観客もかたずを飲んで見守る…


「………」


『ギュワーン!!!!!ジャシャジャシャーー』美姫はマスターのバッキングのリズムに合わせて首を振るう!!!

『ジャ!ジャ!ジャ』

リフを全身で表現する!『キューン……』

泣きのギターの時は表現力豊かに体をくねらしている!

『ダリャリャーーー!』早弾きに移れば得意のジャンプを見せる!


観客も最初は戸惑いを見せたが徐々に演技に引き込まれていく!!


「ミキティ!」


『ギュワーン!』


「ミキティ!」


『ブリャアン!」


「ミキティ!ミキティ!ミキティ!ミキティ!ミキティ!ミキティ!ミキティ!ミキティ!ミキティ!ミキティ!」


「ワアアアアァァァァァァァァ!!!!!!!」

観客の興奮が最高潮に達した時だった美姫の体が自然と動いた…



ズシャッ………カッ………ザシャ!



「ワアアアア!!!!」


4回転である!見事に成功した、ほとばしる汗!体がギシギシいっている!やめたくない!楽しい!ずっと演技を続けたい!美姫は涙をながしながら演技をした!



ジャン!



一瞬の静寂………………全てを込めた3分40秒………終わった。


「ブラボーミキティ!

感動した!

ありがとう!

最高だったぜ!

ありがとうミキティ!

ありがとうヘビメタ!

ヘビメタ!ミキティ!ヘビメタ!ミキティ!ヘビメタ!ミキティ!ヘビメタ!ミキティ!ヘビメタ!ミキティ!ヘビメタ!ミキティ!」



ステージの裏にはコーチと会長がこっそり見ていた。

「会長これは……」


「認めるしかあるまい……ヘビメタと藤原君が会場を1つにしたのだよ…私は食わず嫌いだったかもな……」


「会長……?」


「ヘビメタ……いいものだなぁ……」


会長はだれにも聞こえないこえで呟いたのだった………




ヘビーメタルはいつの時代も嫌われ者だ…


でもヘビメタを知って自分を取り戻した人間もいることを知ってほしい


会場を1つにした事実知ってほしい


ヘビーメタルは本能の音楽である…………



翌日の新聞の見出しにはこう書いてあった

『ヘビメタクイーン藤原美姫4回転決める!ありがとうミキティ!ありがとうヘビメタ!』…と


『完』

長文よんでいただきありがとうございました!どうだったでしょうか?


作者としてはイメージ通りいけました。

まぁ演技を文字だけで表現するのは苦労しましたが、見せ場ですからね。

ミキティがんばれ!

オリンピックリベンジだ!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ