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03 乙女座を頂く者

「どうしてこんなことに……」

 誰が見ても、誰が聞いても、そう思うだろう答えが口から何度もこぼれ出る。

きっとそう思う。

悠人の頭の中は、初めてフルスロットルで回転し脱兎の精神を見直していた。

 今までこういうことに発展しないように細心の注意を払っていたのに、どんなにフル回転で回っても脱水しきった中から現れるのは後悔ばかりだ

 午後を回った時間、ボクシング部へと向かう通路は天井までを一枚物の局面グラスで作った不思議な空間だ。

普通の学校が持つ廊下とは全く別物の作り、広くとられた通路の中程にあるベンチで悠人は対決の時を待っていた。

頭を抱えた姿で

「とにかく……静かに……」

「そうです、静かに迫ってサクッと撲殺ですよ」

 物騒なことを目を輝かせていうメイドに顔がしなびる。逆だろ、撲殺されるのは僕だと。

言いたい、そう怒鳴ってしまいたいが目の前で

この小さなメイドが来たことで明らかに自分の守ってきた規則が崩壊し始めている。

この学園で暮らすために自分にかしてきた戒律と言ってもいい縛を、数日前に現れたメイドがそっけなくちぎろうとしていることに苛立つ

「恋歌さん、今からいうことをよく聞いてほしい」

 こういうことははっきり言わないと通じない、ここで歯止めをしておきたい悠人は父からよこされたメイドに最初の教育をすることにした

「僕は好きでこの学園に来てるわけじゃない、理由は……父さんに聞いていると思うけど」

 家庭の事情だ、この学園に来ることは自分の意思ではないことを明確に告げた。

御影産業は今現在、父曰く尋常ならざる負債を背負い会社存続の危機に立たされている。

この負債に対する担保が悠人であった。

所謂「人質」、有数の企業が揃うこの新港区へと差し出された肩身の狭い身であることを説明した

「だからここでは目立たず静かにしていることが大事なんだ」

「良くわかりました、暗殺の方が好みということですね」

 できる限りゆっくりと、冷静さを保ち根気を込めて話した。

今自分が何を語ったのかぶっ飛ぶ発言で時が止まっていた

「良くわかって……暗殺? どうして?」

 聞くしかない、自分の身の上を語っていたのになぜ暗殺になったのか

「目立つことはしたくないとのことですので、闇にまぎれで狩りますか」

「何を?」

「憎っくき悪党佐伯氏を」

「……恋歌さん、いいかい。絶対にそういうことはしないでね」

「おや、暗殺を希望ではないと?」

 どんな希望だ、そんな物騒な。

素振りのように腕を振る恋歌を捕まえる

「とにかく、物騒禁止。そういうことは一切しない」

「ではボクシングで、正々堂々真正面からの勝負を」

 完全に手玉にとられている。

天井に浮かぶ時計は試合開始時間へと静かに迫っていた。



 悠人に起こった出来事は周りの誰から見ても理不尽なことで、奇天烈な出来事となっていた。

こういう衝突をさけるために今まで慎ましく生活してきたというのに、たった数日前に出会ったメイドに引っ掻き回され、あってはならない現実とぶつかっていた。

久しぶりの授業も担任の小言も耳に入らず、呆然としたまま試合の会場へと歩く悠人

「……でも試合形式になってよかったよね」

「はい?」

 どうやって試合結果をもって自体をうまく収束させるか、それを考えて歩いていた悠人の隣を白川彩奈が歩いていた

「グラブもあるわけだし、大怪我はしないから」

 勝手なことを。

自分の身を気遣っての発言だが、無責任な発言と大差ない。

 喧嘩という火花飛び散る事態が形を変えた試合になっただけ、それをもって平和解決という認識を良かったと言ってよいのかと。

 緊張を緩めた微笑みを見せる白川をとぼけた目で見る。

そも申し込んだ決闘は悠人が申し込んだのではなく恋歌が勝手に決めてしまったものだが形式を変えて「試合」という形になり成立していた。

 喧嘩が大っぴらに許される事は絶対にない。

仮にも大企業御用達の学園なのだから、表向きに喧嘩を粗野と罵り文明的な人間のすることではないと教えている、が。

この馬鹿騒ぎが成立したのは「試合」という形式に変換する事が公然と行われていたからだ。

 新都学園は喧嘩が法度ではないのだ、むしろ戦うことを奨励さえしている。

大企業子息子女は、ただそこに立っていればNo.1というわけではない。

下々から見たらわかり難い世界だが、企業同士の戦いや社内紛争という荒波を乗り切るためには心身ともに強さを必要とされている。

故に武道からスポーツは大いに推奨されており、それにともない私闘が形を変えて試合となることも自然な流れだった。

 戦いに備え削りあえ、それこそが社会に出ていくために必要な闘争心。

このことを前面に出した学園訓示に則り、佐伯と悠人は試合をする事になったのだ。

当然担任は試合を望む佐伯の発言を止められるわけもなく、発言権の弱い悠人の意見など顧みられることなく、午後授業が終わり次第試合開催となっていた。



「首洗ってきたか」

「風呂の時間はまだですが……」

 変わらぬ上から目線、手には12オンスのグラブ。

狂気を目の前にして思わず変な言葉を返してしまう。

それが投資に油を注ぐのか大口の笑みを見せて言う。

「そうだよな、まあ気にせずダウンしいいぜ、電気風呂(リラクゼーション・プール)には俺が連れて行ってやる、でもって頭から沈めておいてやるからよ」

 ありがたいです。プロにお任せします。

背けた顔で本心からの願いをつぶやく。

 尖ったキツネ目、毛色も明るめを設定している佐伯は、普段の態度だけを見ていれば暴力上等な危険人物にも見えるが実際はそれなりの肩書きを持っていた。

アマチュアボクシングの新生、新都学園の高等科からは飛び級で試合に出て欲しいと頼まれるほどの実力者。

本物相手に、本物の土俵で試合という理不尽の時は来ていた。

 本校舎一階の南向き角部屋にあるボクシング部部室は、アマチュアスポーツの部室とはいえプロ顔負けの設備を並べてある。

攻撃的にして汗臭いスポーツの部屋とはおも見えないほど清潔感を匂わす白い壁、出入り口付近には寄贈者一覧の黒いプレートが入る豪華仕様。

相手を殴打する場所、ギャラリーである生徒が窓越しに並ぶそこに悠人は恋歌に引っ張られる形で連れ込まれていた。

締まらない腰砕け体勢で。

「そうビビるなよ。お前8オンスを使ってもいいぜ、俺を殴りたいだろ」

 饒舌にしてよく回る口を前に、悠人の精神状態は奈落へと続く下降線の中にいた。

まるで見世物だと、内心を苦い思いで満たしつつも卑屈に俯いたままで。

「あの……、今からでもやめません……だいたい僕は佐伯くんがボクシングの特待生なんてしらなかったし」

「おいおい、メイドは知っていたじゃねーか。スパーリングできるって」

 まったくだ。どうして自分の知らないことを恋歌が知っているという苦悩。

二の句も出ない返事、悠人はそもそも学園のことを深く知ろうとしていなかった。

自分の身を守る為にならば相手のことも深く知る必要もあるが、関わりに深化を必要としない場合はむしろ知らない方がいいと考えていたからだ。

佐伯のことは老舗医療機器メーカーの息子ぐらいは知っていたが、まさかボクシングで特待を持つ身とは知らなかった。

「いやあ、ボクシングのプロだなんて全然しらなかったし」

「そりゃそうだ、俺はまだアマチュアだし。プロを名乗った覚えはねーよ」

 嬉々として語る佐伯、それを煽る恋歌

「そうですよ、部活プロレベルってだけのことですよ」

「何言ってるの!!」

 二人の間に立ち胃痛が聞こえるような時にいる悠人は、どうしても一言物申さずにはいられない。

「恋歌さんんんん僕が死んだらどうするの、学園での出来事が会社の不都合につながっていたりしたら……」

「死ぬのは三日前に決済しました、そのうえで(たま)は私が拾ってますよ。今生死はこれっぽっちも関係ありませんし、(たま)獲られない戦いにビビるのはやめましょう」

 下手にして弱腰、今まで作り上げてきた弱者スタイルで詫びを入れようとする悠人を恋歌が蹴飛ばす。

「さあさあここまできて何を言っているのですかご主人様」

「勝手に決闘を決めておいて……なんでこんなことを」

 目の前には制服姿だが上は脱ぎTシャツの佐伯、悠人は上着を引っ張られむしりとられている最中。

周りは試合の開始を待つ野次馬で溢れている。

「恋歌さん、僕は何がなくてもこういう事には絶対に巻き込まれたくないんだよ。こんな事をすれば明日から学園に来るのだって大変な事になってしまうだろう」

「こんな事にならなくたってご主人様は痛い思いしましたよ。だったら殴られっぱなしはやめましょうよ」

「やり返したら……それこそ僕の立場は」

「やり返してみないと、何も変わりませんよ。今更なんですか、むしろ今日からはどんどん前に出てやりましょうぜ」

「ぜ?」

 お祭り騒ぎの中にあって恋歌のテンションは程よく上がってきていた。

八の字眉で考え事をしている普段の顔より蒸気し、血の気まで良くなっている。

同じように周りを囲む野次馬のテンションは引き返しの効かないところに来ていた。

試合はこの学園にとって少なくないイベントだ、だけど当人同士が真っ向切って戦うというのは珍しい。

御曹司たちは自分たちでぶつかり合う事は滅多ない、やるのは使用人同士だったりまたは使用人をサンドバックに引き合わせるという出来レースだったりする。

 社会の荒波に立ち向かえ、戦う事で自立しろ。

綺麗なお題目で試合制度は今日に至るが、実際はこんなものだ。

「御影くん……代わりに恋歌さんに出てもらうってわけにもいかないものね。他に使用人はいないの?」

 リングに入る前、白川は入り口ギリギリまでを付き添って歩いてきた。

身代わりが簡単に口に登るあたりが大財閥の子女といったところだが、だからといって実際に恋歌に代わってもらうなどとは口が裂けても言えない。

「出ましょうか代わりに」

 嬉々として笑う悪い顔の恋歌を見れば、身代わりなんて絶対に頼めない。

他者から見たら恋歌は小さなメイドにしか見えないが、悠人は知っている。

悪党をものともしない凶悪な体術を持つ者だと

「変わって佐伯氏の首をへし折ってやりましょうぜ」

「ぜ……は、いいから。おとなしくしていてよ」

 目を輝かせる彼女を押して、お節介焼きの白川に弱気な自分をしっかりと見せておく

「ははははは、大丈夫すぐに倒れるから……」

 情けない言葉は自分を守る為のもの。

迷いに迷ってここまで連れてこられた真ん前では恋歌がルールを確認、一回転して説明の笑み。

「さあ、はじめましょうご主人様。向こうはアマチュアとはいえボクシング歴長いですからこっちの要求はそこそこのんでくれましたし」

「いいぜ御影。チョイとシャレた異種格闘戦と行こうじゃねーか、手でも足でも好きに使えよ」

 グラブを合わせ自信満々の佐伯に黄色の声援が飛ぶ。

キツネ目も極めれば切れ長で涼しげに見えるのか、女子の応援にご機嫌の顔を晒し手招きする。

同時に景気のいいゴングの音が鳴り響く。

「どんだけ殴られたら許されるのか……」

 軽めのステップを踏む佐伯の前で戦う意思など欠片もない悠人の、思うところ私的な受難は長く続くように感じられていた。



「何か楽しい事でもあったの、真珠」

 日当たりの良いテラスから一歩入った場所は、オープンテラスの控え室になっている。

白石を綺麗に貼った庭にベージュのキャンバスシェード、一段上がったウッドデッキ部分に置かれた横長の椅子の端に座る彼女の隣に、この家の主北条愛守姫(ほうじょう・あすか)が両手にグラスを持って歩いていた。

「すいません、姫にグラスなど」

「気にしないで、なんでも人任せにすると体緩んじゃうし。それよりも……学園の映像?」

 ガラステーブルの上に映し出される3Dビジョンに愛守姫は少しばかり眉を顰めてみせる。

屋上階に作られた庭付きのこの部屋は家族などいない愛守姫だけのプライベートラウンジでもある。

地ベタを走る暑苦しい風とは縁遠い高層階を流す涼しい風に吹かれて、映し出されている情景から顔を背けた。

「退屈な学園に何かいいことでも」と。

 五大華族の中でも古い歴史をつ名家・北条家の三女愛守姫は新都学園の生徒ではあったが積極的に登校したことはなかった。

むしろ新学期に入学して以来一度も学園に顔を出さず、このマンションに高等科過程教育ネットモニターを敷きネット教育ですべての単位を修得している。

国内でいくら体裁の整った新進有名校とはいえ海外で通用するようなものはあまりない、そういう見地からの学園を見限ってきた彼女にとって、ビジョンに映る学園の風景など楽しいものでもないと決まっていたからだ。

 そんな彼女の隣に座る女は長身のロングドレス、背筋も綺麗な姿をしていた。

栗色の髪を肩で整えた優しげな目、指先は興味を見せない愛守姫の髪を撫でながら答えた。

「たいした事でもありませんが、88星座最後の一人が見つかりました。今このモニターにて」

「本当に!! 真珠!!」

 思わず飛び出し指差す。

「どれ!! 誰!!」

 真珠と呼ばれた彼女の膝にダイブ、浮かぶビジョンに顔ごと飛び込む勢いで聞く

「リングサイドにいるメイド、それです」

「この小さいの?」

「そうです」

 ビジョンに映る学友たちの姿、囃し立てる男子と、後ろから成り行きを見守る女子たち、音は切られており聞こえないが珍しく大きな盛り上がりを見せているのはよくわかる。

騒ぎの中心であるリングに目を向ける殴られ続ける青年と、後ろでボクササイズでもやるように振りを懸命に見せている小さなメイド。

「なんか変な子、こんなのが88星座の一人なの?」

「こんなものですよ。そもそも黄道十二宮の星座以外後は不必要なクズ星です、私たちの成長を助ける為の「感情経験値貯蓄タンク」にすぎませんから。言えばみんなおまけみたいなものです」

 くつろぎの空間で小さな笑い声、愛守姫は転げていた頭を起こした。

「そうなんだ。で、この子は何座なの?」

羅針盤座(ブルフラ)ですね、ここではピクシスと言いましょうか」

「聞いたことないわ」

「普通は聞くことのない星座ですからね。羅針盤座というのは元々はアルゴ座の一部分にすぎないものですし、大きかったアルゴ座を分割しその中でもひときわ輝きのない星の集合体にして作られた貧相な星座。さらにいえばもっとも後発に制定された星座」

 真珠の説明に愛守姫は顔を合わせて笑った。

後発の残り物、おまけのような存在。

互いの知っていることが合致したことで、残り物の星座と学園の笑い者にされている少年が引っ付いたチームを哀れに思って冷たく笑ったのだ。

「つまり数合わせのための半端者ってことよね」

「そういうことです、私のように黄道十二宮の名と共に十二星座の1つを頂く者とは持って生まれたレベルが違います」


乙女座(ビルゴ)を頂く者、春山真珠(はるやま・しんじゅ)の敵にあらずだね」


 主人の威勢に答える笑顔は、小さく会釈する形で傅いて見せた。

「愛守姫、私はきっと貴女様を支え「終わりの国」であるここより遥かな高みへとお連れしましょう」

「ううん、もちろん信じてる。そして愛しているわよ真珠」

 息の合った二人はビジョンの中で行われる平民の諍いに冷めた目線を戻した。

「それにしてもやっと見つかったお仲間さんだね」

「あんなものは仲間ではありません」

「レベルは違っても星座の仲間が見つかったという事で、真珠はご機嫌だと思ったけど?」

 膝上で寝転ぶ愛守姫は涼して目の下に隠した喜びをみせる相手に心を躍らせていたが、質問の返事は正反対のものだった。

「いいえ、どちらかというと不機嫌を感じています。星の子もそうですが、この子の所有者の無様にして体たらくは特に」

「男の子? 弱いから?」

「本当に弱いのならば仕方のないことでしょう。でも彼は決して弱くないのです、むしろそれなりの強さを持っているのに、わざと負けようとしている事が」

 愛守姫は出席もしていないクラスの中身など知るはずもなかったが、ガラステーブルのディスプレイから一部を抜き出し手早くデータベースを漁り照会して見せた。

「……御影悠人、えーと関西の田舎町の会社から出てきた子だ」

 午後のひとときを楽しむ愛守姫の目は、男子生徒の怒号を浴びてながらも不敵な戦いを見せる悠人の姿にいたずらな光りを見せていた

「ねぇ真珠、私は学園なんてお遊戯場は大嫌いなのだけど、このバカバカしい騒ぎをそれほど嫌いでもないのよ」

 学園に行かない愛守姫。理由は上記のごとくでもあるが、もっと大きな理由もある

「私は支配者成る者、そうでしょう」

「もちろんですとも姫、貴女は他の生徒とは違います。支配者として生まれた方、平民と同じ学園に通うなどあって良い事ではありません」

 傅く者として主人の心を読み取る真珠

木漏れ日の下で片膝をつき頭を垂れる彼女の前で愛守姫は艶やかな唇を細い指先でなぞって見せた

「ならばわかるよね、私の今の感情。ねぇ感じてくれている? 真珠?」

「もちろんです、気高き貴女の感情を強く感じております」

 ボクシングの試合を見る瞳、それに合わせて冷たく時を刻む鼓動。

冷徹で尊大で孤高、なのに大衆の心をいとも簡単に動かし、不平等の正義を施しては世界を幸福に見せる姿。

喜びを見せる口が上向きの顔に表れ、支配者の目線は傅く者を上から見下ろす

「まるでコロッセオ、二人はグラディエーターね。試合の出来に一喜一憂する観衆、快楽を与えろと闘技者を罵る愚民たち。彼らにとってこの試合の結末は満足いくものとなるかしら、煽り高ぶる愚か者たちに……私の支配力を見せたいわ。願いを叶えてくれる真珠?」

「貴女の支配という感情が私に人を超える力を顕現させる」

 その言葉に呼応するように、真珠の両腕に現れる光の輪。

青白い閃光を手首を巻くように回るそれこそが、蓄積された感情の力

 アルゲルス・ニンブス。

天使の輪であり、神の力である羽根を意味する輪。

主人の持つ最も強い感情を、彼女は超常の力に変える

「姫よ、高貴なる支配者としての感情、それを持って愚民の望む結末を与えて見せましょう」

 佐伯と悠人の戦いは続いている。

防戦する悠人ーを攻めあぐねる佐伯、高等戦術が絡み合う戦いは第三者から見て楽しいとは言い切れないものだった。

戦う二人の熱さとかけ離れた熱量が観衆の中に渦巻き始めていたが、時を同じくして人の戦いを超える力がその場に介入しようとしているなど誰も考えてはいなかった。





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