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召喚してみたようだ

う…おおおおお…


リンリンと…リンリンと空を飛んでいる…!(というか落ちてる)

ああ…ずっと夢見てきたことが、ついに現実に…!妖精と空中デートなんて、ファンタジーの夢だよな!な!

え?子供かよって?っふっふっふ、諸君、小説家というものはだな、こういう夢を持つからこそ、ファンタジーというものを書いていけるのだよ。…え、違う?…まあ、そういうことにしといてよ。


とにかく、俺は正常だ。うん。




目の前には、自分より随分小さい、まるで人形みたいな妖精がいる。

こちらを不思議そう?に見つめていて、俺が落ちるのにあわせて背中からはえている透き通った細い二枚の羽を震わせて、俺と一緒に頭を下に向けて俺の顔をじっと見つめている。

手を伸ばせば触れる距離にいるので、実は触れたいという思いを抑えるのにかなり必死だったりする。


まあそんな様子を見ているだけでも、俺の顔は嬉しくてニマニマしてしまうのだが、リンリンの表情はなぜかずっと変わらない。あれ?おかしいな。リンリンって、無表情キャラじゃないはずなんだけど…。


俺の小説に出てくるリンリンは、むしろ凄く感情豊かで、よく笑っていた。

もしかして、このリンリンは姿がそっくりなだけで、全くの別人なのだろうか。


「え、と、初めまして。俺、信之っていいます。」


とりあえず話しかけてみる。第一印象は大事にしないと。幸い、そこまでまずい行動はしてないと思うし。


「………。」


結果。何も反応してくれませんでした。

…ちょっと悲しくなってきた。動いてるリンリンに会えたのは嬉しいけど、これじゃあなんか、ダメージの方がでかいかも…うう…。






「………。」


相変わらず、リンリンは喋らないし笑わない。

なんか、もうどうでもよくなってきた。うん、ドラゴンさん(母)みたいに消して、このまま地面に叩きつけられるまでぼーっとしてよう。


「リターン・キャラクター」


ポポポポン。音がして、また一人になる。相変わらず謎だ。なんで出てくるときよりも音が長いんだろう。








「あーあ、どーしよー。」


まだまだ地面は見えません。いったいどんだけ高いところにあったんだ、あの城。

正直、落とされるまで全然浮いてるなんて気づかなかったよ。だって寒くないし、空気薄くないし。地面は普通浮いてないし。

本当、どうなってたんだろうあの城。あーあ、落ちるだけってのも退屈だなあ。

ちっくしょー、俺も空飛べたらいいのに。そしたらリンリンと空中デートで二人きりの時間を優雅に過ごせるのになあ。あーあ、妖精のとか、鳥類のとか、ドラゴンのとか、なんでもいいから羽生えないかなあ。


…あれ?ドラゴン?

…あ、そうじゃん。ドラゴンさん達がいるんじゃん。てか俺一番最初に召喚?してんじゃん。

そうだよ、ドラゴンさん達召喚すれば、背中に乗って空飛ぶことも出来んじゃん!


もしかしたらこの状況から抜け出せるかもしれないと、俺ははやる心を抑えつつイメージしながらあの言葉を言う。

イメージするのは容易かった。だって一回召喚して、目の前で動いてるの見たし。

目をつぶり、もう結構前のことのようにも思えるけれど、さっきの戦いを思い出す。


「サモン・キャラクター」


ポンッ


リンリンを召喚したときと同じで、俺の前にさん(母)が現れる。

距離的にはリンリンのときと同じで、腕を伸ばせば触れる距離にいる。…つまり、でかすぎて怖い。いまさらだけどドラゴンってでかいんだな。


そんなドラゴンさん(母)だが、やっぱり何も喋らない。動いてはいるんだけどなー、どこかロボットみたいだ。人型になれるんだから、人間の言葉だって喋れるはずなのに。リンリンのときと全く同じだ。


むむむ…でも、プレネリさんが召喚したリンリンは動き回ってたし、声だって出せてたはず…。俺が最初に召喚したドラゴンさん(母)だって、動いてたし…。


うーん、いったい何が…。

…あ、もしかして、明確にイメージしなくちゃいけないのか?

それか、サモナーらしく命令とかしなきゃいけないとか?うーん。


…とりあえず、命令してみる。


「回れー、右!」


体育かよという突っ込みもいれず、クルッとドラゴンは回れ右をする。

えええええ、命令しなきゃいけない感じですか…。うーん、さっきは命令しなくても動いてたのに、なんだったんだ?

まあいい。とりあえず俺は手を伸ばして、ドラゴンさん(母)の翼のふちを掴む。

足でドラゴンさん(母)の背中にあるトゲ?にがっちりと捕まりつつ、俺は上を見あげて言った。


「上昇しろ!」


途端に上に上っていくドラゴンさん(母)と俺。さっきまでの落下とは全然違う負荷がかかって、なんだか気持ち悪

くなったが我慢。

俺、なんでこれを考え付かなかったんだろう。

さあ、大地に向かってれっつごーだ!

いや、地面目指すなら下に行くべきなんですけどね。






最初はしがみつくだけで精一杯だった俺ですが。人はやっぱり慣れる生き物で。

今は手を離して、足を引っ掛けてぶら下がってる状態です、はい。

何やってんだこいつ的な目で見ないで!ちょっと手を滑らせたらこんな状態になっちゃったんです。


やばい、俺今ドラゴンに乗ってるわ。ちょ、これ凄くね?

テンションあげあげです、はい。

やっぱりドラゴンといえば、あれでしょう。


「火を吹け!」


ドラゴンのブレスとか、ロマンですよね。


「………。」

「…あれえ?」


おかしいな、ドラゴンさん(母)が火を吹かない。

もしかしてこのドラゴンさん(母)、吹けない種類なのだろうか。

そういえばドラゴンさん(娘)は、火、吹けない設定だったような…。


うむ、いろいろと検証が必要みたいです。

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