エピソード第三幕 序幕 ~はじまりの地 終わりの地…編
エピソード第三幕 序幕 ~はじまりの地 終わりの地…編
「キレイ………何にも変わってないや…あの頃と…」
晴れ渡る真っ青な空、前髪を揺らす心地よいそよ風、白や黄色、赤に青、色とりどりの草花が咲き乱れる見晴らしのいい小高い丘。その頂上を目指し足を進めていたプロフィアは、そんな草花の絨毯の前で足を止め、そう呟く。
『わぁ~…お花がいっぱいだぁ~☆ すごい、すご~い』
『どうだ、スゴイだろ? パパとママからの誕生日プレゼントだぞ』
『ホント? これ全部もらっていいの?』
『ええ、そうよ。ここはね、パパとママが若い頃に見つけた秘密の場所なの。これからは、パパとママとプロフィアの秘密の場所だね』
『へへっ♪ やった、やった~☆ わ~~~い』
プロフィアを暖かな笑顔で見守る両親、そんな両親の愛情を一身に受け、無邪気な笑顔で草花の絨毯の上を駆け回る当時8歳のプロフィア…。
悲しげに視線を落とし、草花の絨毯へと足を踏み入れたプロフィアは、その中で大の字に寝転がり空を見つめる。
「ホントに変わってないや…悲しいくらいに………」
「すまない…私には、こんなことしかしてやれなくて…本当にすまない………」
火は鎮火し、あちらこちらから煙の上がる村の中央広場で涙を流しながらスコップで穴を掘っていたレンジャー。そんなレンジャーの腰に泣きながら抱きついたプロフィアの腕にギュッと力がこもる…。
「わかってるから…私わかってるから……あなたが悪くないってこと……だから…謝らないで下さい…謝られたら私…あなたのこと憎んでしまいそうだから…だから……」
「憎んでくれてかまわないさ…そんなことでキミの気が晴れることなどないことは分かっている。それでも…本当にすまない……」
「あやまらないで…ぐすっ…ひっく…うえっ……あなたが謝ってくれたって…パパとママは…村のみんなは帰ってこないんだ……ひっく……ぐすっ……あなたにお願いがあります…パパとママだけは違うところに埋めてほしいんだ…パパとママと私だけの秘密の場所に……」
プロフィアの目じりから落ちた一粒のしずく………瞳を閉じて…開いたプロフィアは、空に向かって笑顔を見せると立ち上がり足を進める。
丘の頂上に立つ二つの墓…その前に立ったプロフィア。
「ごめんね…ずっと会いにこれなくって…パパ、ママ…お父さん…」
丘から見渡せるナリア王宮と城下町、そして城の西側に見える二階建ての立派な宮殿…アイゼンシュルツェのギルド本部を視界に入れ、ギュッと拳を握ったプロフィアは、堅く瞳を閉じて何度も首を横に振り、歪んでしまいそうになる気持ちを振り払って笑顔を作る。
「ここは…辛くて悲し過ぎるんだもん…悲しい思い出と憎むべきものが一緒に見れちゃう場所…だから、ここにくるのがずっと怖かったんだ。だって、ここにきたら私の全部が憎しみになっちゃいそうだったから………でも、もう平気っ! だって、今の私には大切な仲間がいるもんっ! もうひとりぼっちじゃないんだもんっ! だから…私が戦うのは復讐のためなんかじゃないよね? もう…きっと大丈夫だよね? 憎しみなんかじゃない…私が、私として、私らしく、あの人のこと、あの闇から救ってみせる。それじゃ…行ってくるねっ! パパ、ママ、お父さん…もう会いにこれないかもだね…きっと、これが私の最後の戦いになると思うから…」
名残おしそうに墓を見つめたプロフィアは、振り返り歩き出す。ナリア王宮へ向かって…。
決戦はナリア王国へ…最後の幕が上がる
つづく




