使い魔Rの懺悔録
イラストがあります。
こちゃこちゃしますのでoffにしても構いませんが、一番目と三番目のイラストは(特に一番目)すごく上手いので是非是非見てくださいな♪
友人H、Tありがとう!!
うわぁ・・・・・・。
わたし? の出身・・・地の第666世界、Ficlistic・・・なの・・・か?
空に・・・車・・・服が・・・ぴたぴた?
体の線が・・・見える・・・? 細い・・・?
あっ・・・・・・
・・・そうじき・・・・・・欲しい。
・・・な・・・い?
「・・・あっ、あのっ・・・!」
「…………。」
「・・・・・・あー。」
無視・・・・・・
「うー・・・」
・・・視線・・・痛い・・・
「えーっと・・・・・・存在消去・・・」
視線が・・・消えた・・・・・・
「・・・ふぅ・・・・・・」
“ロン”
「はい、なんでしょうか?」
目の前には、身長わずか130センチぐらいしかないメガネの女の子がいた。
やっと外に出してもらえた!
ご主人様の声だけじゃよくわからないからな。
「・・・ロン、・・・よろしく・・・ね?」
ご主人様に頼られちゃ、なんにもできないぜ!
「グルルルルッ♪」
ポムッ♪
現世に質量を持った自分が現れた。
「お久しぶりです、ご主人様。」
「久し・・・ぶり・・・。」
「これから、どうします?」
今、自分が変身しているのは、保護者のようなスーツにメガネの七三分け。
年は30近く……という設定。
「・・・・・・。・・・発動具と・・・箒・・・?」
「ああ、かしこまりました。どのようなものがよいでしょうか。」
発動具とは、魔法、魔術、魔導を発動するための道具だ。
ちなみに学生のときは、一括して、同じ杖が配られていた。
「発動具・・・バーン・・・? そうじき・・・?」
「えっと、これですね?」
ご主人様の魔力で出した形だけの拳銃と掃除機。
「・・・・・・♪♪♪」
すごく嬉しそうにばふんっと掃除機にまたがった……が、しゅわっと虚空に消えてしまった。
またがった勢いでそのまま後ろに一回転。
「あ・・・。」
情けないという気持ちが頭に流れ込んでくる。
「大丈夫です、ご主人様。」
わきに手をあてて立たせる。
「さあ、買いに行きましょうか!」
「・・・ぅん!」
◇◆◇◆◇◆
「あれ、掃除機も拳銃もないみたいですねぇ。」
「ん・・・」
まず、家電屋さんに行ってみたが、そこには大分古い機種として丸い円盤が。掃除機として店員さんに勧められたのはドラム缶ロボット(二ツ足機動可)な普通の掃除機らしくない掃除機だった。
……これ、乗れないでしょ。
「箒は・・・ヤッ・・・・・・」
あくまでも丸くて管の付いた掃除機がいいそう。箒はお股が痛いそうで。
「じゃあ、他の電気屋も回ってみます?」
「・・・うん。」
街中を歩いていると、奇異の視線が突き刺さってくる。
いやいや、自分、恥ずかしがり屋ですから。そもそも、人見知りだから洞穴にいたと言うのに。でも、ご主人様が……エヘッ、・・・大好きって言うから……
「・・・ロン・・・」
「はっ、はい! なんでしょう!?」
「・・・にやけて・・・る・・・?」
「あっは、はい、すみません!」
「・・・ありがとう。」
ご主人様は言葉足らずだ。でも、ご主人様の足らない部分を自分で補えればそれでいい。
そう、思っていた。
◇◆◇◆◇◆
結局、掃除機も拳銃も見つからず、お腹が空いたので近くのチェーン店のファミレスらしき店に入った。
この世界は、かなり科学が進んでいるようだ。
自分の世界はもっと自然あふれるいい景色だったからなにもかもが目新しく感じる。。まあ、引きこもってたけれども。
「イラッシャイマセ。ゴ注文ヲドウゾ。」
「えーっと、何があるのかな?」
「・・・おいしいもの・・・。」
「オイシイモノデナニカ……ハイ。“ブルーアルメリア”ヤ、“グランドディオン”ナンテドウデショウカ?」
「ななな、何ですかそれは?」
「摂リマスカ、摂リマセンカ?」
「……ご主人様、どうするか? お金は……あるんだが……」
「お腹・・・・・・」
示し合わせたようにグゥーギュルリと鳴った。
ご主人様は自分の全て。それゆえ。
「あっ、じゃあブルーなんちゃらをお願いします。」
「カシコマリマシタ。」
「ちなみに、お値段の方は……?」
「2000Gデス。」
「……高過ぎでもないか。じゃあそれ、お願いします。」
「カシコマリマシタ。オ席ノ方、御案内イタシマス。」
スススススと滑らかにロボットが床を滑っていく。
「ドウゾ」と冷たい声を掛けられ、ある部屋の中へ入った。
「コチラニ寝テオ待チクダサイ。」
通されたのは、なんと二つのベッドのある部屋。それ以外に何もない。……いやいや、ご主人様に手を出すのはちょっとね。
それぞれに、ベッドに寝っ転がる。
パフッと枕に頭を乗せると途端に頭がボンヤリと重くなる。
ロン、ロン、と言う可愛らしい声をBGMにしながら、自分は暗い闇の底へと意識を落とした。
◇◆◇◆◇◆
「・・・ロン!」
「……あっはい、なんでしょう、ご主人様。」
「・・・帰る。帰るの・・・・・・!」
ご主人様の断片的な言っていることを聞きとると、ごはんが液体でしかも血管からの摂取だったということで、もう帰る。に陥ったらしい。
「えっでも、ここはご主人様の故郷じゃないですか。」
反論すると、ここは故郷なんかじゃないというようなお言葉を賜った。
「・・・違う星・・・・・・行く。」
「や、それはダメですって! 発動具は自分の生まれた星で手にいれるが決まりですので。」
「・・・ここで、生まれて・・・ない・・・・・・以上。」
「や、以上って言われても……」
困りますよ、と言おうとしたが口をつぐまざることを得なければなくなった。
「・・・あなたに夢が有るならば、私は叶えてせんじよう。絶対叶わぬ夢なれど、必ず私は叶えます。但し唯一、一つだけ、あなたの思いをいただきます。」
ヤバイ。
多分転移魔法使われる。
置いてきぼりは嫌だし、ご主人様の元へ戻るのも少し難しくなる。
ご主人様の小さな腰をガシッとつかみ、ひょいっと持ち上げる。
それでもご主人様の表情は変わらず、
「どんなに重い思いでも、私はしっかり受けとめて。その思いを世界に捧げ、あなたの願いを叶えます。但しあなたの重き思い、決して手元に戻りません・・・。」
ふっと風を感じたのもつかの間、自分たちはさっきとは違う場所に来ていた。
ザワザワと多くの人が通り過ぎていく。
プープァーと何かが鳴る音とともにブロロロロと内燃機関が動いていく。
幸い、服装や髪の色は周りの人とさほど違っていなかった。
「ここは何処ですか、ご主人様。」
「第・・・5341世界・・・・・・|地・・・球《あまりにも・・・・愚かな世界》」
「第、5341世界かぁ……。だいぶ遠くに来ちゃったな。掃除機とか、拳銃とかあるか?」
「・・・ある・・・」
「じゃ、探してみようか。」
「ん・・・」
◇◆◇◆◇◆
「・・・・・・。」
「言葉が通じませんね、ご主人様。もしかしたら、ここは鎖国中の国なのかも。」
「・・・・・・すまない。」
「いいですよ、別に。どうします?他の星に行きますか?」
「・・・・・・あなたに夢が有るならば、私は叶えてせんじよう。絶対叶わぬ夢なれど、必ず私は叶えます。但し唯一、一つだけ、あなたの思いをいただきます。どんなに重い思いでも、私はしっかり受けとめて。その思いを世界に捧げ、あなたの願いを叶えます。但しあなたの重き思い、決して手元に戻りません。」
指先をわざと光らせて自分の方に向ける。
「・・・これで・・・・・・解決・・・。」
「えっ、はい。あっ、他の人の声が聞こえる……?」
ザワザワとしていた声の意味が伝わってくる、気がした。
「掃除機・・・拳銃・・・」
「わ、わかりました……けど、お金は……ありますか?」
ご主人様はショックそうな顔をして、うつむいた。
「わかりました。では、ご主人様の故郷のお金は持っていますか?」
コクリとうなずき、がま口の財布をポシェットから取り出した。ちなみに、ウサギの刺繍がついている。
「これを胡散臭い人に売りましょう。」
「・・・・・・犯罪・・・めっ。」
「じゃ、じゃあ、どうするんですか!?」
「神様・・・」
自分の愛すべきご主人様は自らの言霊を唱え、消えた。
自分もなんとか頑張ってご主人様の腰を掴んでついていった。
◇◆◇◆◇◆
あれ、天界にしては少しぼろいな……
そういう感情を抱いた。
ここは神の宮殿の手前とおぼしきところだが、イマイチ華やかさが感じられない。
もっと豪華に出来るだろ? みたいな点が大勢あってなんともさみしい。
そういう趣味なのか?
なんて考察している間にご主人様はドアベルを押していた。
ド、ドアベルって……(笑)
「ハイハーイ!」
と気楽に外に飛び出て来たのは壮年の銀髪碧眼おじさんだった。
ピクッ
……何これ、危険。
意に添わず体はガタガタ震えていて、身体中からびっしょりと脂汗が出てくる。
『威圧感』
龍であってもこれだけの威圧感がある。
だから、この人は――――――――
「初めまして、この第5431世界の1499999代の世界の王です。以後、お見知りおきを。」
スッと前に出て手を出す。
「・・・これはどうも、ご丁寧に。・・・私は第2世界の魔法学園クライストの・・・今年の卒業生のミサ・バンビーケです。よろしくお願いします・・・。」
おっ、珍しく早口だ!
「で、この“無作法な”思考をしている男は何だ?」
「・・・私の使い魔です。戻すので、少々お待ち下さい・・・。」
札がビリッと破かれる。
そのまま。
そのまま、自分の身体はご主人様の意識の底へと潜っていった。
結局、ご主人様はその世界の王に掃除機と拳銃(発動具に加工済み)を貰っていた。
ご主人様は世界の王とでも対等に付き合える。
なんてご主人様はすばらしい人なんだー!