甘すぎるチョコレートと、素直じゃない幼なじみ
掲載日:2026/02/15
放課後の廊下は、人もまばらだった。
帰ろうとしたところで、後ろから声がする。
「……ちょっと」
振り向くと、女が小さな箱を差し出してきた。
「はい。チョコレート」
思わず顔をしかめる。
「くだらん」
即答だった。
女の手が止まる。
「……もらってくれないの?」
面倒くさい。
本気でそう思った。
それでも。
「……チッ」
箱を奪うように受け取る。
女は、ほっとしたように笑った。
「ありがとう」
そのまま友達の方へ走っていく。
廊下に一人残る。
手の中の箱を見る。
小さく舌打ちする。
⸻
夜。
部屋で箱を開ける。
形のそろっていない手作りチョコ。
一つ口に入れる。
甘い。
「……まずい」
気づけば、箱は空になっていた。
⸻
翌日。
廊下ですれ違う。
一瞬だけ、目が合う。
通り過ぎざま、小さく言った。
「……甘すぎる」
後ろで足音が止まる。
「食べてくれたの?!」
振り向かない。
「フン」
そのまま歩き去る。
背中の向こうで、嬉しそうな声が響いた。




