第〇頁 プロローグ
不思議な力を持つ者。彼らの名前と逸話は後世に語り継がれることがある。
ある男は手を上げると海が割れた。
また、ある男は僅かなパンと魚で五千もの人々の腹を満たした。
またまた、ある少女は神の声を聞き、祖国に勝利をもたらした。
またまたまた、ある少年は海の上を歩いた。
これらの他にも様々な偉人の伝説を耳にする。
真実か否かはさておき、語り継がれているという事実を踏まえれば、どの時代においても人々の関心を惹く話であったことに間違いはないのだろう。
時は一七四世紀前半。近年、このような不思議な力を持つ人々が増えている。
現代に生まれ、その常軌を逸した力を体に宿した人間たちは「魔人」と呼ばれた。
これまで伝説としてのみ、語られてきた特別な力が現代に蘇り、広まっているのだ。
彼らの人間離れした力は社会から恐れられ、ついには差別の対象と化してしまった。
「魔人であることを知られてはならない」
魔人たちは自らの力を隠し、露見しないよう細心の注意を払いながら生活することを余儀なくされた。
普通の人間と同じように普通に暮らす。
その理想を叶えるために……
これは、そんな時代に生まれた一人の少年の半生を綴った物語である。
次回 進路
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