レトリック 30選
自分用のまとめです。
ここでの活動も5年目になりましたので、初心にかえって基礎をおさらいしてみました。
自分の体験談的なコメントもあったりなかったり。
〜はじめに〜
書類を整理していたら謎のレトリック一覧表が出てきました。
おぼろげな記憶をさかのぼってみたところ、どうやらこのサイトに登録したばかりの頃に、図書館で借りた表現技法の巻末のコピーのようです。
もうちょっと自分の文章表現の幅が広がればいいなと思い、自分なりにまとめ直してアウトプットしてみました。
もし参考になりそうでしたらお使いください。
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1.隠喩(metaphor):類似性に基づく比喩。抽象的な対象を具象的なものに見立てて表現する。
例:今から「ゲロ」の話をしよう(自作品)
※自分でいうのもなんだけど、よくできたメタファーだったと思う。
2.直喩(simile):「〜のよう」などを用いて類似性を直接示す比喩。
例:子供のように無邪気、森の木陰にいるような安らぎ。
※遠藤周作のエッセイを読んだときに、目にしたものを瞬時に『〜のような』で表現してみるというトレーニングが書いてあったのでやってみたことがありますが、途中から頭がおかしくなりそうになったので止めました。
そして変に奇をてらう表現を使うと、後で読み返したときに死ぬほど恥ずかしいです。ぜひ。
3.擬人法(personification)
人間以外のものを人間に見立てて表現する比喩。隠喩の一種。
例:花びらが舞う、風が踊る。
※薬を片っ端から擬人化した連載してますがなにか。
4.共感覚法(synesthesia)
触覚、味覚、嗅覚、聴覚、視覚の五感の間で表現を貸し借りして表す技法。
例:甘い声(味覚・聴覚)、刺すような視線(触覚・視覚)
5.くびき法(zeugma)
一本のくびきを二頭の牛が引くように、一つの表現を2つの意味で使う表現法。
例:家の掃除は心の掃除。
6.換喩(metonymy)
世界の中で物と物の隣接関係に基づいて、指示を横滑りさせる表現法。
例:今夜は鍋だ。
私はこれで会社を辞めました。(昔のCM)
7.提喩(synecdoche)
類と種の関係に基づいて意味範囲を伸縮させる表現法。
例:隣の奥さん、おめでただってよ。
8.誇張法(hyperbole)
事実以上に大げさな言い回し。大げさな過小表現も含まれる。
例:腹が減りすぎて餓死寸前。
恥ずかしくて顔から火が出そう。
9.緩叙法(meiosis)
表現の程度を控えることで、逆に強い意味を示す法。
例:「ヤキモチなんて妬いてないから。そりゃちょっとくらいモヤッとはしたけど。別にほんのちょっとだよ。……1ミリくらいだけ」みたいなやつ。うわなにこれクッソ恥ずかし。
10.曲言法(litotes)
伝えたい意味の反対の表現を否定することによって、伝えたい意味を強調する表現方法。
例:悪くはない。嫌いではない。
「べ、別にあんたのことなんか、好きでもなんでもないんだからね!」
11.同語反復法(tautology)
まったく同じ表現を結びつけることによって、なおかつ意味をなす表現。
例:雑草は所詮雑草だ。
ゴミはどんなにあがいてもゴミでしかない。
12.撞着法(oxymoron)
正反対の意味を組み合わせても矛盾に陥らずに意味をなす表現法。
例:無知の知、急がば回れ、負けるが勝ち
※この技法でうまい文章が作れなかったので、ネットから例文を拝借しました。
13.婉曲法(euphemism)
直接言いにくい言葉を婉曲的に口当たりよく表現する方法。善意的なものと悪意的なものがある。
例:「あの、社会の窓があいてますよ」
14.逆言法(paralepsis)
言わないといいつつ実際には言う表現。否定の逆説的な用い方。
例:「別におどかすつもりはないけど、それ放っておくと死ぬよ」
「このまろやかな口当たりと芳醇かつ濃厚な味わい、お互いにまったく相容れない食材が絶妙なバランスで調和するこの奇跡……! その旨さ、筆舌に尽くしがたし!!」
15.修辞的疑問法(rhetorical question)
形式は疑問文、意味は平叙文という表現方法。読者に訴えかける対話的特質を持つ。
例:空にこれだけ星があるんだ。たかがひとつ消えたくらいで、誰が気にするんだ?
16.含意法(implication)
伝えたい意味を直接伝えるのではなく、ある表現から推論される意味によって間接的に伝える方法。
例:「今日ね、うちの親、家にいないんだぁ」
17.反復法(repetition)
同じ表現を繰り返すことによって、意味の連続、リズム、強調を表す方法。詩歌ではリフレインと呼ばれる。
例:僕は待った。何日も待った。雨の日も風の日も待った。朝早くから待った。夜遅くまで待った。でもあの人は一向に現れなかった。
※余韻が残りやすいので、章のラストなんかに多用してる気がします。
18.挿入法(parenthesis)
()や――などの使用によって、文章の主流とは異なる言葉を挿入する表現。脱線にもなりえる。
例:彼女はたくさんの料理――ほとんど昨日の残りものだけど――をテーブルに並べてもてなしてくれた。
※多用すると本題がブレそうなので、他の表現で代用できるなら避けた方が無難かも。
今後はさらに使用回数を減らそうと思います。
19.省略法(ellipsis)
文脈から復元できる要素を省略し、簡潔で余韻のある表現を生む方法。
例:「まいど!」「ほな!」
20.黙説法(reticence)
途中で急に話を途絶することによって、内心のためらいや感動、相手への強い働きかけを表す。
例:「――」「……」
※だいぶ前ですが、黙説法を乱発している作品を罵倒するエッセイを見かけたことがあります。個人的な好き嫌いもあるとは思いますが、私も沈黙の描写は地の文でこだわりたい派です。
21.倒置法(inversion)
感情の起伏や力点の置きどころを調整するために通常の語順を逆転させる表現法。普通は後置された要素に力点が置かれる。
例:思わず足が止まる。あまりにも美しい歌声だったから。
※割と使ってる気がします。
なんでだろって理由を考えてみたんですけど、自分の思考パターンが倒置法スタイルだからかもしれません。
誰か他にもいるのかな。倒置法思考のお仲間さん。
22.対句法(antithesis)
同じ構文形式の中で、意味的なコントラストを際立たせる表現法。
例:雨ニモマケズ風ニモマケズ
※これもうまい文章が作れなかったので、有名どころから拝借しました。
23.声喩(onomatopoeia)
音が表現する意味に創意工夫する表現法一般を指す。擬音語、擬態語、および頭韻、脚韻も含まれる。
例:蝋がポタポタと滴り落ちる。
縄がギチギチと身体を締めつける。
ゾクゾクとした快感が走り抜ける。
24.漸層法(climax)
次第に盛り上げてピークを形成する表現法。ひとつの文の中でも、ひとつのテクスト全体の中でも可能。
※例文出すとすごく字数を食いそうなので割愛。別に書けないのをごまかしてるわけじゃないから。書いてみたけどクソ長くなったから消しただけだから。
25.逆説法(paradox)
一般に真実だと想定されていることの逆を述べて、そこにも真実が含まれていることを伝える表現法。
※思い浮かばなくてネットで調べたら12の撞着法と同じ例文が出てきました。いまいち使い分けがわかりません。
普通に周知のパラドクス事例を紹介するのは違うんですかね。謎です。
26.諷喩(allegory)
一貫したメタファーの連続からなる文章。動物擬人化の寓話(fable)はその一種。
例:自分の長編は、このタイプなのかもしれない――なんて一瞬調子に乗っちゃったけど、そもそも創作において隠しテーマをメタファーとして挿入してない作品を探す方が困難じゃなかろうか(こんなところに修辞的疑問法まで使っちゃったよ、俺って天才じゃね?)ということに気づいたので、やっぱり調子に乗らずに謙虚にいこうと心に決めるのであった――。
※↑18.挿入法を使用してみましたが、見ての通り多用すると完全に読み手は白けると思います。使いすぎには注意したいものですね。
27.反語法(irony)
相手の言葉を引用してそれとなく批判を加える表現法。また、意味を反転させて皮肉るものも含まれる。
例:随分といいご身分ですね。
※15の修辞的疑問法もこの中に含まれてるみたいです。
28.引喩(allusion)
有名な一節を暗に引用しながら独自の意味を加えることによって、重層的な意味をかもし出す法。本歌取りなど。
例:書くべきか書かざるべきか、それが問題だ。
※マイナーな引用だと伝わらず自己満足で終わる。著作権への配慮が必要。そういえば偉人の名言を拝借してサブタイトルにした話も作ってました。
29.パロディー(parody)
元の有名な文章や定型パターンを茶化しながら引用する法。内容を換骨奪胎し、批判、おかしみを伝える。
例:なろうテンプレ?
※茶化さず真面目に流用する場合はパロディではなくオマージュになるのかもしれない。パクリとの線引きは不明。
30.文体模写法(pastiche)
特定の作家、作者の文体を真似ることによって、独自の内容を盛り込む法。文体模写は文体のみを借用する。
※自分の場合はイトウさんとモリさんかなあ。意図的に使用することもあるけれど、影響を受けすぎてて意図せず似てしまうときもあるのかも。
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〜まとめ〜
以上。レトリック一覧表を捨てる前にまとめてみたメモでした。
もしかしたら、コピー元の本のタイトルは『日本語のレトリック』ってやつだったかもしれません。
ご興味があればぜひ。