学園祭4 悪役令嬢、醜態を晒す
「これから、休憩ですか?」
「そうですけど?」
アンジェリカは素っ気なく返事する。
何なのだろうか。
用がないなら早く行って欲しい。
「セルジュール様はそろそろ休憩終わりですわよね?それなら少し早いけれどもう戻られたらいかがかしら?お客様が未だに途切れていなくて……」
自分が休憩に行くのに、まだ休憩中のセルジュールに早く戻れというなんて……。
明らかに意地の悪い事を言ってしまうアンジェリカだった。
「そうですわね……だけど、その前に、あの」
セルジュールは言い淀むが、意を決したように口を開く。
「今までしたことをずっと謝りたくて。……本当に、ごめんなさい!!」
セルジュールはアンジェリカに向かって深く頭を下げた。
本気で謝っているのだろう。
アンジェリカは言葉が出てこない。
セルジュールがアンジェリカの様子を窺おうと、少しだけ顔をあげる。
「……によ。なんなのよ!あなたって人は!!今更謝ったところで今までの事全てが水に流せるとお思いで??そんなの勝手すぎますわ!!」
興奮した様子でアンジェリカは続ける。
「何をされても私は傷つかないとでも思いました?……ずっと悪意を向け続けられることの辛さ、あなたにはおわかりになって?!」
「私が何も言わない事をいい事に、ずっと、ずっと……」
アンジェリカはこれまでの鬱憤をセルジュールにぶつける。
「ああ……私、本当に……ごめんなさい」
――私はなんってひどい事をしてしまっていたの?!
自分が愛されないからと、誰かを傷つけていいわけがないのに。
セルジュールは涙が溢れそうになった。
だが、ここで泣いてしまえば、それこそアンジェリカに申し訳がない。
グッと涙をこらえる。
「今までずっと、私を嫌っていたのに急に謝ってくるなんて。余裕ですか?ご自分がセシリオ様と上手くいきそうだから……私の事はライバルではないと??それに上手くいかなくても……タクマ様も慰めてくれますものね!」
「そんなつもりはありませんわ!それにタクマ様は、友人として仲良くさせていただいているだけですわ!」
セルジュールは必死に否定する。
「あら?そうかしら?本当はタクマ様に優しくされてまんざらじゃなかったのでは??タクマ様をもてあそんで楽しいです?!」
「――!!」
セルジュールは言葉が出てこなかった。
今はもう、何を言ってもアンジェリカには届かないのではないだろうか。
そんなセルジュールの悲しみに歪む顔を見て、アンジェリカはやっと我に返る。
――私は一体何を言って……。
だが、その瞬間、それ以上に衝撃的なものが目に入る。
「……アンジェリカ様」
そこに居たのはタクマだった。
――?!
「あっ!待って!アンジェリカ様!!」
アンジェリカは急いで駆け出す。
――いつから?どこまで聞かれていたの??
終わった何もかも……。
アンジェリカはいろんな意味で全てが終わったと思った。
――これじゃあ好感度が上がるどころかマイナスじゃないの……。断罪ルートにまっしぐらだわ。
だが、そんなことは正直今はどうでも良かった。
タクマに嫌われた。
その事実だけがアンジェリカの胸をひたすら痛めつけたのだった。
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