どうした?!ランフォース!?
ランフォースの予想外の返事に皆が固まった。
少しだけみんなより早く、正気を取り戻したリュークリオンが口を開く。
「いやいや!どうした??ランフォース!お前、さっき、思いっきり反対してただろう?アンジェリカの頼みでもきけないって感じだったよな?!なぜ急に?!」
リュークリオンは至極正論を言うが、なぜかランフォースは大きなため息をつく。
「いいか、リューク。俺たちは日頃常に、国の為、臣民の為にと日夜勉学や公務に励んでいる。そうだな?」
「え?…ああ、もちろんだ」
一体何を言い出すのか。
リュークリオンは若干、ランフォースの次の発言に恐怖を感じた。
「だが、しかし、忘れてはいないだろうか。もっと、身近な。日頃俺たちを見守り支えてくれている、親しい人たちに感謝をすることを」
「え?…ああ」
「だとしたら!執事の姿で、普段お世話になっている人たちをねぎらうという行為は、なんら、皇太子として恥ずべき行為ではないはずだ!!」
ランフォースは相変わらず表情を変えずに、しかし、強い語調ではっきりと言う。
ーえ?そうなのか?
「そうよ!それに、普段お世話になっている、執事や侍女たちの仕事を代わりにやってみるのもいいかもしれないわよ」
アンジェリカが援護射撃をする。
「皇太子であるお前がやることに意味がある」
ランフォースは、真っ直ぐな瞳で、リュークリオンを見つめて言った。
ーそう…か?
こうして、ランフォースのなぞの正論でごり押しされ、リュークリオンは(もちろんランフォースも)参加名簿にサインするのであった。
アンジェリカはミナミとランナを見るとガッツポーズをして見せる。
ー公爵令嬢だよね??
そのギャップにランナとミナミはクスっと笑った。
「ああ、そうだ。参加するにあたって、一つ条件があるんだが」
「条件??なんですの?」
リュークの言葉にアンジェリカはキョトンとして答える。
「タクマもメンバーに加えろ」
ミナミは拍子抜けた。
「なんだ、そんな事。それなら、私からタクマに…」
「いや、アンジー、お前がタクマを誘うんだ」
ミナミの言葉を遮るように、リュークリオンが言う。
「え??私がですか…」
「そうだ。それが、私からの条件だ」
リュークリオンの顔は真剣だった。
ーリューク、もしかして何か気づいているのかしら…?
アンジェリカが言い淀んでいると、リュークリオンは優しく、アンジェリカの頭をなでる。
「大丈夫、アンジーが誘って、断る奴なんていないさ」
そう言って、優しく微笑む。
「リューク…」
「なぁに、もし、仮にあいつが断ってきたら、私があいつを学園にはいられなくしてやるまでだ!」
「え?怖い!!本当にできる権力あるんだから、冗談でもそういう事言うのやめてよ!」
思わず、ミナミがツッコむ。
「え?私はいたって本気だが?」
ーや…怖すぎでしょ。
ミナミとランナはリュークリオンの溺愛っぷりに寒気がするのを感じた。
ランフォースのキャラが崩壊していないか、心配事です。
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