学園祭?!
アンジェリカはミナミを掲示板の前に案内した。
「学園祭?」
「そうですわ。2年生以上はクラスごとにそれぞれ、出し物をして、最終的に優れた出し物を出したクラスが最優秀賞を獲得する仕組みになっていますの。1年生は強制ではないのですが、有志での参加はOKですの」
アンジェリカはそうミナミに説明すると、こそっと耳打ちした。
「2年でのセシリオルートでこのイベントがありますのよ」
「そうなの?!」
アンジェリカはニヤッとする。
扇子を片手にもったその表情はまさしく悪役令嬢…。
ミナミもニヤッと笑い返す。
「で、どんな出し物を?」
「ゲームでは逆転ミスターミスコンテストを主催しますの。ほら、セシリオって抽象的は顔立ちだから女装がとっても似合うのよ。いいや、女装なんてレベルではなかったわ。あれは紛れもなく貴婦人だったわ!」
ミナミは相変わらずアンジェリカはゲームの話になると、とまらないなと思いながら素直に話を聞くのだった。
「それで、主人公が男装して、当然二人がミスとミスターに選ばれるってわけですの!それで、最後は…セシリオが壇上で主人公に愛の告白をするってわけですわ!!」
キャーとほほを染め、興奮気味で話すアンジェリカにミナミは冷静に言う。
「盛り上がっているところ申し訳ないんだけどさ…そのミスには、おそらくセシリオが選ばれるんだろうけど、ミスターに…セルジュール様がミスターに選ばれないとなんだよね?不確定要素がありすぎて不安なんだけど…。ゲームでは私がなっていたわけでしょ?それに…今の二人の関係性で、セシリオがセルジュールに愛の告白をすると思う??それって、ゲームでも結構好感度上がってからの段階じゃない?!」
アンジェリカはもっともすぎるミナミのツッコミの嵐ににショックを隠し切れない。
「だ…だから2年生になってからのイベントだったのね…私としたことが…不覚!!」
ミナミはもしかして、この子、案外ポンコツなのでは?思うのだった。
「まずは、ゲームで言う好感度を少しでも上げるのが先じゃない?今は…恐らく残念な感じになっていそうだから…何かないかしら?…アンジェリカ様、セシリオ様の好きなものとか趣味ってないの??」
「趣味…そうねぇ。歴史書を読み漁ることとか?」
うーん…。
図書室デート…もいいけど、恐らく歴史書を読むことならセルジュールは既にやっていそうだ。
まあ、セルジュール様の事だから、「貴族のたしなみですわっ」とか言って、セシリオも「そうなんだ」とぐらいにしか思ってなさそうだけど。
ミナミは想像して、セシリオの鈍感ぶりにイラっとした。
ー歴史書を読み込むなんて、とっくに貴族の嗜み超えてるわ!
「え?舌打ちなんて…ミナミさん、どうなされましたの?…後は…可愛い子とかモノが凄く大好きですわよね。特に猫ちゃんには目がありませんわ!ご自身でもローズという赤毛の猫を飼っていてとても溺愛してますの」
「そうなんだ?」
「ええ、それもあって、私の事もローズみたいだからと、やたらと世話を焼いてきますのよ。ですから私に対するセシリオの態度は愛猫を可愛がる行為と一緒なのですけれど…セルジュール様には理解されませんでしたわ…」
アンジェリカは密かに、”ここに栗毛色の猫もいるんだけどね”と思うのだった。
「まあ、人と猫は違うから。それは理解されないわよ。…でも猫…可愛い…」
「なんだか頭がもう回りませんわ。ミナミさん、良かったら談話室でお茶を飲んでいかれません?確かリューク達は公務があったからこの時間なら誰もいませんわ」
ーお茶…猫…かわいい…?!
ミナミの頭の中で点と点が繋がった。
「アンジェリカ様!私、いい事思いついたわ!協力してくれる??」
ミナミは急に、アンジェリカの方を向き、その手をぎゅっとにぎるのだった。
ここまでお読み頂きありがとうございます!
気に入って頂けましたら、励みになりますので、ブックマークや星評価よろしくお願いします。




