乙女会議は中庭で
「なんですって?!私が家政学でランナさんとわきあいあい、ほんわか楽しくやっている時にそんな大変な事がありましたの?!」
アンジェリカが、信じられないと言った表情でミナミを見る。
「…なんだが凄く楽しんでたのね。ランナともすっかり仲良くなったみたいで。まあ、それはそれでいいんだけど」
アンジェリカとミナミは昼休み、中庭で定期的に会って、情報交換することに決めた。
下手に隠すと、またリュークリオンが探しに来ても厄介だし、堂々と会ってた方が案外、皆何も思わないという事に今更ながら気づいた。
「ランナさんとも一緒にお昼をご一緒したいのだけど…前世の話はできないですものね。壁を作ったと思われたくないのですけど」
アンジェリカがもどかしそうに言う。
「まあ、あんな話誰も信じないわよ。また、3人で食べる機会もつくりましょう。それはそうと…話は戻るけど…そんな訳でセシリオ様とセルジュール様の関係が益々悪くなってしまって…正直タクマが何考えてあんなことしたのかわからないのよ…」
アンジェリカもミナミと同じ気持ちだった。セシリオにヤキモチを焼かせたかったのだとしても、時期尚早というもの。
しかも、髪に口づけだなんて…親愛の証…アンジェリカは想像するだけで、胸が苦しくなった。
「もしかして…単にセルジュール様に気持ちが動いてしまったから……なのかしら」
言葉にすると、アンジェリカは益々不安にかられてきた。
ミナミに否定してもらいたい。
「うーん、確かにその可能性もなく無くはないわね…普通に可愛いって何度も言ってたし」
グサッ。
ーああ!忘れてた!ミナミは真っすぐで正直な子だったんだわ!…私を気遣って優しい言葉をかけてくれるような子ではなかった…。
アンジェリカは益々心がえぐられた。
「セシリオ様ってもしかして天然??…だって悪気なく、女の子に優しすぎるし…。なのに、あんなに可愛らしいセルジュール様に気づかないなんて!!」
ミナミは段々セシリオにムカムカしてきた。
「とにかく、セルジュール様って本当に可愛いのよ!なんとかしてあげたい…!正直…セシリオ様じゃなくて他の誰かとの方が幸せになれるんじゃないかしらって…例えばそうねぇ…タクマとか!」
「え?」
思わず、アンジェリカが声をあげる。
ミナミが今まで聞いたこともないドスの効いた低い声だった。
「あっ…冗談です。」
ミナミは興奮しすぎて、すっかりアンジェリカがタクマの事を好きな事が頭から抜けていた。
「あなた……誰の味方ですの!!」
「もっもちろん!アンジェリカ様とタクマの恋を応援してま~す」
今の睨みの利かせ具合は、紛れもなく悪役令嬢だと思うミナミであった。
「正直…私にはそこまでセルジュール様が魅力的だとは思えないのですけど…あっ!あれなんてどうかしら?」
「あれ?」
今回は短くてすみません…。
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