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乙女ゲームの主人公に転生したはずなのに悪役令嬢がみんなに愛されて過ぎていて私はほっておかれています。  作者: としろう


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38/50

ヤキモチ

授業が終わると、セシリオは淡々と教科書などをしまい始めた。


セルジュールは迷っていた。

ーあんなセシリオ様初めて見ましたわ。あきらかに怒っていましたわ…。

私たちの私語があまりにもうるさかったのかしら?…一言あやまるべき??


「セルジュールさん、また来週もよければ一緒に座りましょうよ」

ミナミの言葉に「ええっ、まあ、構わなくてよ」と素っ気なく答えるセルジュールだったが、どことなく嬉しそうだった。

ーやっぱりツンデレ!

「ふふっ、じゃあ僕もご一緒してもいいかな?」

タクマが言う。

「え?まあ、あなた達はセットのようなものでしょう?」

当然とばかりに言うセルジュールの言葉にタクマは思わず吹き出す。

「やっぱり、セルジュールさんって、可愛いね」

タクマはそう言って、セルジュールの髪をすくうと、軽く口づけした。


ーなっ?!


さすがに、婚約者セシリオの前でこれはいかがなものかと、セルジュールはセシリオの方を振り向いた。

しかし、セシリオはいつも通り、にっこり笑うと

「それじゃあ、ミナミさん、セルジュールさん、また」

そう言って、何も無かったように席を立ち、教室を出て行った。

「待ってよ、セシリオ!」

パトリオットとランフォースも続く。


立ち尽くすセルジュール。


「タクマ、流石に今のはやりすぎじゃぁ…」

ミナミがそう言うより早く、リュークリオンがタクマの胸ぐらをつかむ。


「…おい、どういうつもりだ?」

「どうって?なにがです?」

タクマはリュークリオンの手を振り払う。

「髪にキスぐらい、セシリオ様だって、アンジェリカ様にしていたじゃないですか!」

「く…たしかにそうだが…あれは、アンジーとセシリオの仲だからいいのだ。それに、婚約者の私も容認していることだ」

「…セシリオ様はなんとも思ってなさそうだったけど?」

「お前ってやつは!」

再度タクマの胸ぐらをつかみかかりそうだったリュークリオンを、ミナミが必死でとめる。

「落ち着いて!」

「しかし…!」

だが、そこで放心状態になっているセルジュールが視界に入り、リュークリオンは冷静さを取り戻した。

「とにかく…タクマ…お前が何を思って、そのような態度をしているのかわからないが、自分の問題に他人を巻き込んでいるなら今すぐ止めろ。わかったか?!」

そう言って、タクマを睨むとリュークリオンは去って行った。


ーなんか途中から意味わかんなかったけど…どういう事??

ミナミはリュークリオンの言葉に困惑したが、当のタクマは黙ってうつむいたままだった。


「…セルジュールさん、すみません。俺、やり過ぎました」

先ほどまで、放心状態だったセルジュールは、タクマの言葉でやっと我に返った。

「ううん、いいのよ。ヤキモチ…やかせようとしてくれたのでしょう??セシリオ様に」

「……」

「でも、もうこんなことやめて頂戴ね。あの人のさっきの態度みたでしょう?何も無かったよう行ってしまったわ。少しは…怒ってくれるかと思ったのだけど」

そう言って、セルジュールは片付けをして、立ち上がると、「…来週からは別の席で座りましょう」と言った。

「えっ…でも」ミナミが、慌てて引き留めようとするが、

「これ以上…みじめにはなりたくないの!」

そう言って、セルジュールは教室を出て行った。


ミナミはタクマに言ってやりたいことは山ほどあったが、なぜかタクマも泣きそうな顔をしていたので、何も言うことができなかった。



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