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乙女ゲームの主人公に転生したはずなのに悪役令嬢がみんなに愛されて過ぎていて私はほっておかれています。  作者: としろう


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34/50

魔法化学を受けるのは

「そういえば、お腹の調子はどう?」

ランナが心配そうに、ミナミに尋ねる。

「ああ!もう、全然大丈夫!」

そういえば、お腹の調子が悪いと言って、出たんだったとミナミは思い出した。


「なら、良かった。次の選択授業は、席が自由だから、早めに行きましょう」


そうして、二人は魔法化学の教室へ向かう。


ーリュークリオンいるかな?


「大丈夫?ちょっと顔赤いように見えるけど…」

「だっ!大丈夫!」


裏庭でのリュークリオンを思い出し、顔を赤くするミナミを心配するランナだった。


教室を見ると、セシリオとパトリオットの姿が見えた。

そして…セルジュールとそのとりまきたちもいた。

ーげっ…あんまり関わらない様にしとこう。

ランナもそう思ったのか、ミナミと目を合わせると、二人はこそこそと、セルジュール達とは離れたところに席を探す。

だが、人生、そううまくはいかないものである。


「やあ、ミナミさんに、ランナさん!二人も魔法化学を選択してたんだね」

そう言って、セシリオとパトリオットが近づいて来る。


「え?セシリオ様がお声をかけている相手って…?」

「パトリオット様とセシリオ様と一緒にいる方達って…」


この二人にしゃべりかけられては、注目はまぬがれない。

ミナミは横目でセルジュール達を見た。

当然、こちらに気づいて、凄い目で(特にとりまき達が)ミナミ達をみている。


「ははっ。お二人も一緒だったんですね…」

ミナミはややひきつった顔をしながら、セシリオ達が座って居たあたりをみまわす。

ーまだ来てない?…それとも


「ああ、アンジーは選択してないよ。まあ、魔法基礎であれだからね。応用の魔法化学は当然のように選択しないと言われたよ」

少し残念そうにセシリオが言った。

「え?アンジェリカ…様?!」

「え?違うの?誰か探している様子だったから、僕はてっきり二人がアンジーを探しているのかなって…」

ーん?二人??

ミナミがランナを振り返るより早く、ランナがセシリオに答えた。

「もちろん!アンジェリカ様です!あっ…一緒に授業出られたらと思ったのに残念です…」

すると、パトリオットが、急に吹き出して笑うと、「ああ、因みにリュークとランフォースも魔法化学は選択していないよ。ランフォースは、魔法より剣技派だし、リュークもまあ、そんなとこかな」

そう言って、ミナミ達に含んだような笑顔を向ける。


ーこの人…性格ワル!

イラつきを前面に出すミナミに対して、真っ赤になって小さくなるランナ。

そんな二人を見て、またニヤニヤするパトリオットだった。

「パトリオット、何ニヤニヤしているんだい?あんまり彼女たちをからかうのはやめてあげなよ」

そう、苦言を呈すセシリオだったが、ふとミナミの髪の色が目に留まった。


ー栗毛色?


「へえ、ミナミさんてっ、綺麗な栗毛色だったんだねえ」

そう言って、セシリオはサラっとミナミの髪を手ですくう。

「え?ああっ、そうですか?普通ですけどねぇ…」

「それに…よく見ると綺麗な琥珀色の瞳をしているね」

そう言って、セシリオはミナミの顔を覗き込む。

ーちっ近いって!セシリオ様!

ミナミは美形に顔を近づけられてドキッとしつつも、セルジュールが気になって、彼女の方をチラッと見てしまった。


……見なければ良かったと後悔した。


キーンコーンカーンコーン


予冷がなった。

「おっと、予鈴がなってしまったね。さ、席に座ろうか」

そう言って、にっこり笑うセシリオに流されるまま、ミナミとランナはセシリオ達の横で授業を受けるのであった。


「ふう~っ、やっぱりソルビット先生の授業は面白いわ」

ミナミは初めこそ、リュークリオンはいなくてがっかりしたものの、授業が始まればもうそんな事はどうでも良くなっていた。


ただ、前世のリュークリオンルートとは違うのかとは思ってしまった。

ーやっぱり、フラグは立ちそうにないか…。

ミナミは少しほっとしたような、残念なような微妙な気持ちになった。


「それじゃあ、ミナミさん、ランナさん、また来週」

そう言って、セシリオ達と別れると、ランナは「来週も一緒に座るのかしら」とミナミに耳打ちするのだった。


嫌ではないのだが、彼らと座ると注目されるので困る。

平和な学園生活を送りたいのに…。


「さ、私たちも早くここを出ましょう」

そう言って、ランナがミナミを促す。


そう、先ほどからセルジュールの取り巻き達が、凄い形相でミナミ達を睨みまくっているのだ。

二人は慌てて、片づけると足早に席を立った。


が…。


「お待ちください!」

二人が振り向くとセルジュールとその取り巻き達がいた。

「少し向こうでお話よろしいかしら?ミナミさん」

扇子で顔を隠したセルジュールが、ミナミに凄んできた。

ーううっ、面倒くさい。きっとさっきのセシリオ様とのことに、いちゃもんつける気だわ。

ミナミはうんざりしたが、ランナに迷惑にならないよう、ランナに先に戻るように言おうとした。

だが、ランナは「お話なら、是非、今この場で話して下さい」

そう言って、ミナミの前に出たのであった。


「なんなの?!あなた!セルジュール様に向かってその態度!」

とりまき達がランナに文句を言おうとするが、すぐにセルジュールがそれをとめた。

「およしなさい!…みなさま先に戻って下さい」

「ですが…」

セルジュールがにらみを利かすと、彼女たちはミナミ達を睨みつけながら、すごすごと教室から出て行った。

程なくして、教室にはセルジュールとミナミとランナだけになった。


すると、「ランナさんも聞いて下さる?」とセルジュールが言ったので、二人で残ることにした。


「話とは…なんですか?」


引き留めたわりに、全く話そうとしないセルジュールにしびれを切らし、ミナミが言う。

実はさっきから、セルジュールは黙り込んだままで、一向に何も話さないのだ。


「あの…それはですね…その…」


シーン。


ーいや、もう帰っていいかな?!

ミナミはいい加減、面倒くさくなった。

「すみませんけど、次の授業が…」


「ごめんなさい!」


ー?!

「え??」

二人はあまりにも予想外の言葉に唖然としてしまった。




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