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乙女ゲームの主人公に転生したはずなのに悪役令嬢がみんなに愛されて過ぎていて私はほっておかれています。  作者: としろう


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2学期が始まりました

「ミナミ!」

「ランナ!」

久しぶりに会った二人は、互いに、嬉しくて手を取り合った。


「ランナさん、お久しぶり。ご実家に帰られていたのかな?元気してた?」

タクマが優しい笑顔でランナと話す。

ーいつも通り…に見えるけど、誤解を解かなきゃいけないのに…どうしよう。


ミナミはタクマにどうやって誤解を解こうか考えていたが、迷うばかりで行動に移せていなかった。

下手に、アンジェリカは前世からずっと、タクマの事が好きだったと言っても、「それは好感度を上げる為に言ってるだけだろう」と思われそうだからだ。


「俺にだって感情もプライドもある」


そう言った時の、タクマの表情が忘れられない。

あの時、ミナミが何を言っても、タクマには言い訳にしか聞こえなかっただろう。


「ミナミさん!!」

振り向くとアンジェリカと幼馴染ブラザーズがいた。

「あっ…アンジェリカ様…」

ミナミはチラッとタクマを見た。

「アンジェリカ様、今回はイーストランドにお招き頂き、本当にありがとうございました。お陰でとても素敵なバケーションを過ごすことができました」

そう言って、タクマはにっこり笑った。

「えっ?……ええっ。楽しんで頂けたのなら良かったですわ……」

しかし、明らかに以前より距離を置いているのは、ミナミにもアンジェリカにもはっきりわかった。

呆然とするアンジェリカにミナミは耳打ちする。

「アンジェリカ様、あとで話たいことがあるわ」

アンジェリカは、不安げな表情で頷くのだった。


「おい、元平民!」

「何よ?」

リュークリオンは、相変わらず眉間にしわを寄せ、ミナミの方を見てくる。

正直今は、この残念王子に付き合っている暇はないのだが。

「…フンっ。まあいい。私はただアンジェリカの悲しむ姿は見たくない。それだけだ」

そう言うと、アンジェリカを促し、去って行った。


ーなんなのよ……本当に。


ー悲しむ姿は見たくないっ…か。婚約者なら当然よね。


嫉妬…している自分がいた。


アンジェリカはタクマに避けられて悲しい思いをしているのに。

リュークリオンに大切にされているアンジェリカを見て、自分は明らかに嫉妬した。


ーダメダメ!こんな事考えない。私はアンジェリカとタクマの事は応援するけど、別に私はリュークリオンの事なんてなんとも思っていないんだから!

それに…相手(リュークリオンだって、私の事なんてなんとも…。


「ミナミ?私たちも教室に行きましょう」

ランナに呼ばれて、ミナミも足早に教室へ向かう。


ーああっ、新学期初日からランフォース様に会えるだなんて、なんてついているの!

ランナはランフォースへの思いを胸に閉じ込めること決めていた。

しかし…やっぱり会ってしまえば、ときめくし、正直バケーション中もランフォースの笑顔が頭から離れなかった。

ー密かに思うだけなら…誰にも迷惑かけないわよね??

「ねえ、ミナミ、イーストランドはどうだった??詳しく聞かせてちょうだいよ」

「そうねえ…やっぱりセレブの避暑地は違うなって感じ…」

「ええ~??素敵ねぇ…それで??ボートや乗馬とかしたの??」


この後、ミナミがランフォースと踊ったと聞いて心底うらやましく思うランナであった。


2学期からは選択授業が始まる。

「ミナミは政経学受けるの?女性の選択者は正直少なそうね……でも、ミナミらしいわね」

確かに、この世界で政治や経済に興味ある女性は少なそうだ。

だけど、別に禁止されているわけではないし、せっかくなら興味あるものを勉強したい。

前世でも、政経はわりと好きだった。

「魔法化学は私と一緒ね。よろしくね、ランナ」

ー確か、この魔法化学でリュークリオンと一緒に受けるフラグがあった。

敢えて避けようかとも思ったが、散々迷って選択した。

ー別に、フラグとか意識してないし!……普通に魔法化学に興味あっただけだし!!

ミナミは誰にともなく言い訳をした。


「やっとお昼休みね~、お腹空いたわ。さっ、食堂行きましょう」

ランナがミナミを誘うが、ミナミはちょっとお腹の調子が悪いと言って断った。


そして、ミナミはこそっと裏庭へ向かうのだった。


「ええ!?タクマ様が私とミナミさんの会話を聞いていたですって?!」


ミナミは人目を避けてアンジェリカと落ち合っていた。

リュークリオン達をまくのがよっぽど大変だったのか、アンジェリカは頭に葉っぱがついていた。

ードジっ子の定番……。

「ちょっと待って?!いつから??どこを?私の推しだってバレたのです?!」

パニックになるアンジェリカをなんとかなだめ、ミナミはタクマとのやり取りの一部始終を話す。


「そんな……では、タクマ様は私が断罪されたくないためだけにタクマ様に近づいていると?!」


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