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乙女ゲームの主人公に転生したはずなのに悪役令嬢がみんなに愛されて過ぎていて私はほっておかれています。  作者: としろう


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25/50

さあ、パーティーの始まりです。

「きっ…喫緊張してきたわ…」

「大丈夫よ、正式なものではないのだから。多少粗相があってもみんな多めに見てくれるわ」

-初めてのパーティーが、王族もいるパーティーだなんて、どんな罰ゲームだよ。

あの時リュークリオンが言った、「後悔しても遅いからな」の言葉を思い出した。

リュークリオンの両親(国王と皇后)が、外遊で不在なのがせめてもの救いだと思った。


アンジェリカはちらりとタクマを見たが、一向にタクマはこっちを見ようとしない。


ーやっぱり、避けられているのかしら。きっと、池でのことで私と関わると厄介な事になると思ったのかも知れないわ。

好感度をあげるどころか、避けられてしまっているこの状況に、アンジェリカはショックを隠し切れなかった。

「機会を見て、それとなくタクマの本心を聞いてみるわ」

そんなアンジェリカを気にしたミナミは、小声でそう言った。


「やあ、待ってたよ。アンジーは今日も素敵だね。それに、ミナミさん、見違えたよ素敵だ」

会場に入ると、先に来ていたセシリオ達が出迎えてくれた。

見知った顔にミナミも落ち付きを取り戻した。

「見違えたと言う表現は気になりますが、おほめ頂きありがとうございます」

ミナミがそう言うと、セシリオは厳しいなぁと言って、笑った。

いつでも朗らかなのはセシリオのいい所だ。

「フン、孫にも衣装ってやつだな」

他の人と話していたリュークリオンがいつのまにかこっちに来ていた。

相変わらず失礼だった。

「それは、似合ってると受け止めてよろしいのかしら?」

「アンジーの見立てだろう?前にも言ったが、アンジーの見立てで美しくならなかったら、よっぽど元が残念だってことだ」


ーやっぱこいつ殴っていいかな?!


「はいはい、ここまで。リューク、ミナミさんの前に、まずは婚約者であるアンジーを褒めるのが先じゃないの??」

パトリオットのツッコミにハッとしたリュークリオンは、慌ててアンジェリカの方を向き直し、弁明する。

「アンジー!この私としたことが…すまない!決して君を蔑ろにするつもりはなくて…君はもちろん、今日も綺麗だよ。ただ…ちょっと珍しいものが目に入ったものだから…」


ー私は珍獣か?

リュークリオンの失礼過ぎる言動に、もはや怒りを通り越して呆れるミナミであった。


「ふふっ、私は全く気にしていませんわ。リュークの気持ちはわかっています。ね?」

含みを見せた笑いをミナミに向けるアンジェリカだが、ミナミはまったく意味が解らなかった。


ーえー?だから私乙女ゲームやり込んでないからわからないんだってば!今のは何のフラグよ?!




 ミナミ達より少し先に会場に入っていたリュークリオンは、叔父につかまり、相手をしていた。

ー悪い人ではないが、話が長い。そろそろアンジーたちが来る頃だ。この辺で適当に切り上げよう。

そう思っていると「アンジェリカ嬢がお見えになった」と言う声を耳にしたので、振り返ると、そこにはドレスアップしたミナミがいた。


「相変わらず、アンジェリカ嬢は美しい。若い頃の公爵夫人にも引けをとらないのではないかな」

「ええ、本当にお綺麗だこと。あら?もしかして隣にいるのが、例の光属性という…」

「ほぉ…中々素敵なご令嬢ではないか」

「ドレスはきっとアンジェリカ様が見立てたのに違いありませんわ。アンジェリカ様はセンスが良いですから。モスグリーンのドレスが彼女にとっても良くお似合いですわ」


一瞬、自分の目がおかしくなったと思ったがどうやらそうではなかったようだ。

レースをあしらえた、モスグリーンのドレスが、聡明で明瞭な彼女に良く似合っている。

程よく空いた胸元にはチョーカータイプのネックレスがイヤリングとお揃いで輝いている。

彼女の瞳の色に合わせたのだろう、琥珀色の宝石が派手過ぎず、好印象を与える。

いつもはおろしている栗毛色の肩までの髪を、今日はドレスに合わせてアップスタイルにしている。

彼女の肩から、うなじまでのしなやかな曲線美を際立たせている。


ーと、そこまで考えて、リュークリオンはふと我に返った。


ー一体、私は何を考えているのだ?!


「元平民だというから、どうかと思ったが、この面々を前にあれだけ凛とした姿勢でいるのだ。中々肝の据わったお嬢さんかもしれないな」


ーふん、あいつは元平民だからこのメンバーの凄さがわかっていないだけさ。まあ、私にあんな口をきくのはあいつくらいだしな。胆が据わっているのは認めるが…。どれ、からかいにいくか。


「叔父上、すみません。婚約者がきたので、エスコートしに行かなくては。また後程」

そう言って、リュークリオンは叔父に挨拶すると、アンジェリカの方へ向かった。


「おやっ」

「あら、あなた。どうしたの?」

「いや、何、リュークリオンのあんな嬉しそうな顔を見たのは久しぶりだと思ってね。よほど婚約者のアンジェリカ嬢を好いておられるのだな」

「まあ、若いっていいわね」

そう言って、足早に去るリュークリオンを見守る叔父夫婦であった。


ミナミの瞳の色と髪の色の描写を加えました!

後のフラグになりますので。

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