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やっぱり光属性でした

「おおっ!これはなんと珍しい!」

「間違いなく光属性だ!!これは国王に報告しなければ!」


周囲の者が慌ただしくなる中、当の本人は興奮しつつも冷静に今に状況を分析していた。


ーやっぱりここは乙女ゲーム「聖女の学園」の世界なんだわ!

そう、そしてやっぱり私は転生したんだ!


前世の記憶が戻ったのは3ヶ月前、木から落ちて頭をぶつけた時だった。

初めは戸惑ったが、この3ヶ月で少しづつ頭と気持ちの整理がついてきた。

今では「前世の自分」と「今の自分」が上手く融合してきている感覚がある。


この世界の住民は皆、多かれ少なかれ何らかの魔法の属性を持って生まれてくる。

殆どが両親による影響が大きく、基本は水、木、炎、土のどれかに属するのだが、稀にそれ以外の光、闇の属性を持って生まれてくることがある。

中でも光は希少で、治癒、強化と、その力は強大である。

なにより、闇に打ち勝つ唯一の属性であることから、光属性の者は身分問わず国の保護対象者となるのだ。


そしてこの国の者は14歳の「花祭り」で属性鑑定を受け、国に報告しなければならないのである。


そして、ついにミナミの番になり、ミナミが花の入った聖杯に手をかざした時だった。

辺りが一瞬まばゆい光で包まれたかと思うと、ミナミの体が青白い光に包まれた。

そして聖杯の水の色が光り輝く白色になったのだ。


これが光属性の証である。


ひとつ前のタクマが木の属性判定を受けた時に薄々確信していた。

ーゲームと一緒ね。

因みに木は聖杯の中の水が緑色に光る。


ーやっぱり私は転生者でここは乙女ゲーム「聖女の学園」の世界なのね!!

興奮が止まらないミナミを横目にタクマは信じられない様子でいた。

「うそだろ?あのミナミが光属性って」

「何?何か文句でもある?」

あまりに疑り深い眼で見てくるタクマに、ミナミは少しムッとして答える。


「いや、まあ。でも良かったじゃん。光属性なら学費免除で聖フォース学園に通える。1年半後に一緒に通えるじゃん!ミナミが一緒なら学園も楽しそうだな。」

屈託ない笑顔を向けるタクマにミナミも嬉しくなった。

「タクマ…私も一緒に通えてうれしい!ただの平民のままじゃ通えなかったからね!」

そう言ってミナミもタクマに笑い返す。

「ミナミ…と言ったな、そなたには色々と話すことがある。ひとまずこちらの部屋で待ってもらおうかの。」

司祭はそう言うとミナミをあれよあれよと連れて行かれた。


戸惑う幼馴染を温かい目で送ったタクマはふと、自分が領主の私生児で貴族だという事をミナミに話していないことに気づいた。

ーミナミは俺を平民だと思っているはず。なのになぜ、基本貴族しか通えない聖フォース学園に一緒に通えると言った時に何の疑問も示さなかったんだ?

しかも、自分が平民だったら一緒に通えなかったと言って。まるで俺が最初から貴族と知っていたような…?

いったいどこで?いつから知ったんだ?

さっき名前を呼ばれた時には何も言ってなかったけど、俺に苗字がある時点で貴族だって思ったのかもしれないな。

...領主と一緒の苗字だという事にもミナミは気づいたのだろうか??

まあ、自分が光属性だったことでそれどころじゃなくて、頭が回ってなかったのかも知れないしな…。



とにかく今夜はお祭り騒ぎだな!


田舎の領地で光属性の少女(しかも平民)が現れたとなれば町中が大騒ぎだった。


花祭りの熱は三日三晩冷めやらなかった。





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