愚者
書いてると段々楽しくなっちゃいます
「ん?どういう事だ?涼?」
火龍が聞いてきた。
「僅かにあっちの方から物音が聞こえる、さっきまで静寂そのものだったのに、このタイミングで動くって事は、場所移動だろうね」
「ん?………あ、確かに瓦礫を踏む音が聞こえるな」
「1人の足音ではないね、多分……2〜3人かな?」
「なんでそこまでわかるんだよ………」
畠山が若干引きながら聞いた。
(多分毎日姉に奇襲を掛けられる生活を送ってたら嫌でも鋭くなるよ……)
僕は、水を飲もうとしたら吹き矢で殺されそうになった時を思い出し、感傷に浸っていた。
なんでこんな事をしていたか、全く不明で突然そうなった、姉が死ぬ前は小康傾向だったが、それでも悪戯好きだった姉だった。
「とにかく、皆迎撃準備だ殺し合いする覚悟は既に決まってるはずだ、皆合格するぞ!!!」
火龍が音頭を取り、全員の士気を上げた、そしてタイミングを見計らったかのようにビルの残骸の陰から3人組のグループが飛び出した、その1秒後に別な4人組グループが、2秒後には2人組のペアが、3秒後には僕たちが飛びでた。
〜〜〜15秒後〜〜〜
ここら辺に隠れていた、全ての受験生が互いに顔を合わせた
「………なぁ涼、3人って言わなかったか?」
「20人ぐらい居る気がするんだけど……」
「僕の能力使って壁でも建てる?」
「いっそのことコイツら全員一掃するか?」
「一対一じゃ勝てるけど、複数戦は自信ないよ……?」
「うーん困ったな」
僕達は運悪く集団の中心に陣取っており、全ての方向を警戒しなければいけない。
ここにいる全員武器を抜いており、逃げる事は現実的ではないだろう。
かと言って一方に火力を集中させるわけにもいかない、だがバランスを重視したら火力不足だろう。
百里姉弟の所が、抜かれる可能性が高い。
唯一の救いは全員が統一されている軍隊ではないので、一度何処かが崩壊すれば、弱肉強食理論で真っ先に狙われる。
逆に言えばそれぐらいしか、勝ち筋が無い。
(うーん………【銃撃者】使えば良さそうだな)
「驚くなよ?今からチャンスを作るらそれを逃すなよ」
「「「「「え?」」」」」
手品みたいにグロックを取り出すと、正面向いていた最初の3人組に目掛けて、亜音速弾を撃ち込んだ。
※亜音速弾
涼がコッソリ作った試作弾、殺傷能力を低くする代わり、弾頭の空気抵抗を極限まだ小さくし、音速に近い弾を発射する。
3人組のうち、中央の1人以外反応出来ず、腹部にもろに喰らいバランスを崩した。
「反応されんのかよ!!」
驚いた顔をしつつも畠山と奏瀬が突入し残りの1人を片付け、宗淵が壁を盾にし援護した。火龍と桃屋は警戒していた。
この一連の動作はすぐに行われ、呆気を取られる周りの受験生は全く反応出来ておらず、奏瀬が切り捨てた辺りで、ようやく異変に気づき防御姿勢を取る者と
攻める者に別れ、場は混沌に陥った。
「なぁ涼君」
「ん?どうした?」
剣戟をしながら桃屋が聞いてきた。
「さっきは聞かなかったけど……あの能力はなんなの?」
桃屋はそう言いながら、敵と圧倒的差をつけ斬り殺していた。
そういう僕も閃光を使いながら、襲ってくる敵を土に帰していた。
「言っただろ?アレが【銃撃者】だよグロック……銃を召喚してあんな感じに敵に撃つ、でも見ただろう?初見でも見切られる事も少なくない、というかほとんどだよ。
A級以上にならば、動体視力のお陰で見えるんだろうね」
「…‥なんかこっちまで呆気取られるわね」
「その気持ちも分からなくないな、召喚系は少ないし最も、こんな見た事ない武器で戦う人なんて初めてだろ?」
「多分火龍達からも、同じ質問攻めに合うから覚悟してく事だね〜」
そういうとき蒼は、他のメンバーのサポートしに向かった。
(む?)
行った瞬間、なんとも言えない悪寒が背中を過った。
(誰かの能力か?)
既に、敵は半数以上地面に伏しており消化試合になりつつあった。
っとここで畠山と百里姉弟が合流した。
「涼!!少しばかり聞きたいごとがあるが//」
「すまん!後で良いか?今警戒する事は、漁夫の利されない事だ」
「あ、おう」
「確かにそうだね、宗淵」
「はいよ姉さん」
そう言うと、宗淵は僕たちが隠れれるほどの壁を建てた。
「ひとまず、安全地帯は作れたな、で質問に答えると
アレはさっき言った【銃撃者】だもっと詳しい質問試験が終わって生きてたら答える。
以上!」
周りの戦闘音に掻き消される前に端的に、素早く言った。
「2人が呆気取られてるから僕から代弁するね、
なんで質問内容知ってんの?って多分思ってるよ」
「そんぐらい察せる」
「「は!」
奏瀬と畠山の意識が帰ってきた。
「今何を……そんな事どうでも良い、涼これからどうする?ここは制圧出来たしポイントもある程度稼げただろう」
「あっち方面に飛び込む桃屋ちゃんとフィジカル勝負してる火龍いたけど救援行く?多分勝てるけど」
「いやそれよりヤベェのが近づいてる」
「「「?」」」
「かなりの能力の扱いに、長けた奴が敵意剥き出しで来てる」
「さっきと言い、君は超人か何か?」
畠山が呆れながら、聞いてきた。
「あははそうかもな(ただ悪戯好きな元帥と日本唯一の煌剣の使い手に揉まれてただけだけど)」
「で、敵意剥き出しの奴はどこにいるの?」
奏瀬が聞いた。
「ここよ〜可愛らしい人形ちゃん達?」
僕達の真上から声が聞こえ、驚いて4人一斉に空を見上げた。
そこには逆さまに浮かぶ、少女がいた。
銃を撃とうとする僕
足場を生成する宗淵
作られてもいないのに、空中に飛び斬ろうとする奏瀬
驚いて、まだ何もしていない畠山
「踊れ愚者共」
背中に氷を当てられるような奇妙な感触があったがすぐに引いた。
そして、どこから突然無数の受験生が飛び出し、肉壁となった。
撃った弾丸も、届くはずだった斬撃も受験生という肉壁に防がれた。
「あらぁ貴方たち、能力が強いんですねぇ〜私の踊れ愚者共が効かなかったのはこれで10人目ですわ。
他の人はかなり苦しんでる見たいですけどね」
いつの間にか崩壊した壁の中、涼は周りを見て絶句した。
虚な瞳の50近い受験生
そして頭を抱える畠山達、戦闘が出来る状態じゃない。
「………精神干渉系か」
「そうご名答ですわ
私の能力は【愚者】私より弱い人間は支配下に置ける能力ですわ。冥土の土産に私の名前を教えて差し上げますわ。
私は柏木沙莉ですわぁご主人の名前は覚えるように
そして、格上も弱めれば、支配下に置けますのよぉ
な・の・で貴方達には私のコレクションに加わってもらいますわ」
「すまんな、僕にそんなお人形みたいな、趣味はないんでな大人しく死んでくれ」
後書き
柏木沙莉の背は150cmもありません、一世紀前の貴族の娘みたいな格好してます。