異常事態
美咲視点の話になります。
私……卯月美咲は非常に頭を悩ませていた。
既に家を出て、猛ダッシュで東京の中心地に家伝いで向かっていた。
(反乱軍が不死鳥と金鶏だけだとは、思えない……小倉、広島、京都、大阪、東京を同時攻撃して陥落させる程の兵員と力は………金鶏と不死鳥には無い、となると考えれるのは)
「・・・・・同僚の裏切りか」
考えらる中で最悪の結論に行き着いてしまった美咲は、勝てるかどうかよりも、何故裏切ったのか、という思考に囚われていた。
普段の美咲なら家を出た瞬間から、何者かに追跡されている事に気づけただろう。だがこの時だけは気づくことができなかった。最も相手が隠密系の能力者で、あったという点もあったが美咲が気づく事は容易い事だろう。
朝方の通勤ラッシュという事もあり、街中では民間人が普通に暮らしており、東京に駐屯している憲兵隊さえこの非常事態に気がつく事はなかった。
世界情勢が複雑怪奇なためいつでも厳戒態勢だったが、それはあくまで軍人だけでありここ10年間戦争に巻き込まれていなかった日本人は平和ボケが進んでおり、憲兵がいようが普通に生活をしており。
明日死ぬかもしれないという覚悟はとっくの昔に失っていた。
ビル街が見えてきたため、地上に降り立つタイミングようやく美咲は何者かに付けられている事に気がついた。
スクランブル交差点で巻き、慌てて探している追跡者の背後に周り気絶させだが白い軍礼服に赤い鞘をしていることで、否が応でも目立った。
民間人が礼服姿の軍人を見るのはごく稀で、最近の出来事でも5年前の舞鶴事件が記憶に新しいだろう……そして礼服姿の軍人がいる所には必ず戦闘が起こるという都市伝説があるため、蜘蛛の子を蹴散らすようにスクランブル交差点から人が居なくなった。
普通なら考えられない事だが、軍礼服の軍人はそれを可能にできる。
そして……スクランブル交差点には美咲と、泡を吹いている追跡者だけになった。
車の音さえ遠くにしか聞こえない。
その理由はすぐに分かった。
「…………アイツらめ」
美咲は歯軋りをしながら、獅子刀を抜き、白い軍帽を脱ぎ長い髪を後ろで結んだ。
結び終わったタイミングで4つの道路から美咲の正面に3人、その他の3つの道路から2人ずつの白い軍礼服姿の男女が現れた。
それぞれ数十人単位の赤とグレーの軍礼服の集団も追従していた。
そしてそれぞれが退路を塞ぐように立ち止まり、先頭の白い軍礼服姿の9人の男女が前に出た。
そして1人の男が前に出て、さっき聞いたばかりの声が聞こえてきた。
「元帥閣下……集合座標はここじゃありませんよ?」
「前座は要らん、要件だけ言え」
「それでは……閣下我々側に与して頂けないですか?」
「狄斗君……君が1番答えを知っているのじゃ無いか?」
「えぇ1番知っていますが……一様閣下の答えを聞いておきたかったのですよ」
「じゃこの後の展開も分かってるな?お前達手加減無用だ掛かってこい!!!」
美咲が狄斗に向けて斬撃を飛ばしたタイミングで、全員が美咲に攻撃を開始した。
そして歴史に名を残すスクランブル内乱が始まった。
さぁSS級の実力は如何なる物なのか、次回に持ち越しです。
誤字脱字、感想沢山お願いします!!