御三家〜〜岩国家編
ガンバリマシタ
「…………」
「…………」
男が2人微動だにせず互いに向き合っている。
双方腰に刺している刀の柄に指が掛かっている。
この状況を説明するには少し時間を巻き戻す必要があるだろう。
〜〜〜ノーチラス車内〜〜〜
コンパートメントを丸々一つ占領して彼は能力を使っていた。
彼の名前は岩国幸人御三家の一柱である。
岩国家が掲げる物は………今行っている情報だ。
これだけじゃ説明不足だろう。
岩国家は、いつ如何なる手段を用いても情報を常に鮮度の高いものを得ること。
つまり諜報だ。
それをオブラートに外部の人間に説明すると情報という事になる。
彼の能力は、【潜入員】
まさに彼のためにある能力だ。
【潜入員】
指定した組織などに、本来の目的を隠して潜入すると能力が発動する。
能力者の指定した人物は、格上もしくは測定妨害がされない限り、隠匿された全ての情報を能力者に知らされる。
クールタイムは24時間
なお既に一度指定した人物は1週間以上経たないと再度測定ができない。
【暗黒】
48時間に一度太陽を遮り、暗黒を作ることが出来る。
この暗黒下では能力者を含めて全ての光が無効化される。
『身体的特徴』
暗闇の移動スピード上昇率100%
昼間のスピード減少率30%
ナイフ術の熟度250%永続上昇
ナイフ以外の武器の熟度が10%永続低下
このように夜にナイフを持って行動する事を大前提とした能力であり、諜報の一族である岩国家では願ってもない能力だった。
(この列車に………めぼしい強者は………同じ御三家の工藤………如月………と誰だコイツ?)
列車全体を薄く能力線を張り巡らす事で帰ってくる能力線を強弱で、基礎能力の強さを測る
幸人しかできない特殊な測定で列車を測定した時、妙な物をこの時勘づいていた。
(まぁ気に留める程度で良いだろう…仮にも同じ受験生だ。
受験に集中しなければ妨害されて落ちたら笑い事じゃない。
落ちるとは毛頭も思ってないが、万全の準備をしなければ。
岩国はただ1人これから行われるバトルロイヤルに向けて対策を練っていた。
そして………現在の十分前に至る
幸人自身、刀よりナイフの方が扱い慣れているが、公の場では御三家の1柱として刀を使うようにと父親から仕込まれている。そのせいでいつも腰には刀を差している。
(まさかこの場所を巡ってそこそこ面倒な奴が居るとは全くの想定外だ……まぁ想定外も付き物排除するしかない)
幸人は.激戦区になると予想した中央高層ビル群から離れた旧駅ホームに、陣を築こうとしていたが
そこに巷で御三家程ではないが名のある、刀使いが既に居て弱い受験者を蹂躙している。
刀使い以外にも、数名の力のある受験者が居たが全員負傷をしている。
恐らく戦闘から離脱をしてきたのだろう。
そこに僕がこっそり来た事は誰も気づいていないだろう。
「む?………強敵の気配………雑魚どもを蹴散らしてから向かうとするか」
幸人が油断している受験者を始末しようと動き出した瞬間。
刀使いが周りの弱い受験者を蹴散らしながら、反対側のホームいる僕の隠れている場所に向かって来た。
(やばい!こっそり仕留めてる場合じゃね邪魔されない事を最優先に!!さっさと片付けるぞ)
隠密性を殴り捨て。幸人は休憩していた5人組を背後から切り刻み表に出た。そして、彼の迎撃する体制を整えた。
そして互いにギリギリ刀が当たらない位置で立ち止まった。
(動いた方が負ける………我慢比べと行こうじゃないか!!!)
こうして現在の幸人が出来上がった訳である。
(既に測定を使い相手の弱点を看破している……が動いた瞬間自身の弱点を突かれる方が早いだろう……
刀使いに弱点を晒して、見逃してくれる程甘くは無い)
そんな時彼側のホームで爆発音が鳴り響いた。
刀使いは反射的に振り向いてしまった。
それが刀使いの死因だった。
「暗岩剣黒剣!!!」
刀使いの下半身は上半身とお別れした。
(む?黒剣は通常、切った体を暗闇で侵食して細胞を破壊する。証拠の残らない殺し方なのになぜ侵食しない?)
彼の下半身と上半身は倒れているだけで崩壊の予兆はない
そしてここで例のアナウンスが聞こえてきた
「なるほどな………死なせる気は無いと。如月さっきは助かった」
「全くアンタはよくピンチに陥ってる気がするんだけど気のせいかい?」
物陰から長髪の女性が出てきた。オレンジを基調とした服を着ている。
スーツ姿の岩国と真反対だ。
次回で御三家編最後です。
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