068話 総長、お兄様達の結婚式場を確保する【前編】
<セリーナサイド>
「お母様、魔力量がだいぶ増えてるけど?」
と、イツキに言われたけど、魔力操作が壊滅的な私にはサッパリ分からないわ。
もしかしたら、繭の中にいる牙炎が成長しているのかも?と思い立ち、同じ神獣をパートナーにしているお母様とイザベルに確認したけど、二人に変化はなかった。
「あ〜、お祖母様とセレンは完全分業だからね〜。ウェンディは私の眷属でイザベルお姉様とは繋がりないんだよ」・・・しばらく二人から愚痴られそうです。
「まあ、それはいずれ分かるよ・・・それよりも!謹慎も明けたので、冒険者ギルドに行こう!冒険者登録だ!さあ!さあ!抱っこだ!」
・・・まったくこの娘はなにを言っているのやら・・・抱っこはするけど。
「すっかり忘れているようだけど、あと6日でお兄様方の合同結婚式なのよ!イツキも色々と仕込むって言ってなかった?」「あ!」ようやく思い出したようだ。
冒険者ギルドが遠い・・・とかブチブチ言っていたが、この娘時折冒険者達に稽古していたはず(一部に氣を伝授済み)だし、なのに冒険者ギルドに行ってないの?不思議に思い確認したが、男爵家と隣接する冒険者ギルドの訓練施設にしか行っていないようだ。
「冒険者ギルドへは、冒険者登録のときに行くの!」その時に上位ランク冒険者に絡まれる(すべて倒す)、ギルマスに部屋に呼ばれ目を掛けられる、チート能力を披露して驚かれる、とか色々導入テンプレがあるんだよ!などと言ってはいるが、既にイツキは有名人、何度も男爵家を光らせたり、領民の欠損等の怪我をすべて完治させたのだから、当然だ。
領内では既に現人神と認識され、すっかり胡散臭くなったメルビナ神聖教会は追い出す予定なので、チートも何も無い。おそらくテンプレは叶わないだろう。叶うのはギルマスの部屋に呼ばれる位かな。
我が娘は、普段は知的なのだけど・・・ラノベが絡むと、途端に残念思考になるのよね・・・こういうところも可愛いのだけど。
「じゃあ、未来の妹達の様子を見に行こう!結婚式当日に体調不安定だと困るからね」と言うので、ガーネットさんとツバキさんの元へ向かう。
ガーネットさんとツバキさんは、庭でのんびりお茶を飲んでいた。私達も参加したけどイツキが変な顔をしている。
そして「ガーネット姉様、ツバキ姉様、精神的に不安とかない?」と聞いている。
詳細を聞くと、イツキが寝ている間に、ガーネットさんの子供は神聖属性に、ツバキさんの子供は暗黒属性になっているようだ。
「しかも、もう自我が芽生えてるよ『『お母様、守る!』』だって。だから、事あるごとに話しかけてあげてね。」
念の為、属性に母親の精神が侵食されないように、それぞれの名前の花で作った精神耐性のアクセサリーを即興で作って渡していた。
あとは、お腹の子達は相当食いしん坊らしい。「姉様達が魔力枯渇したら大変だ」と金色の魔石を渡していた。
後日、金色の魔石は翌日には消えていたそうだ。今度は白い魔石を渡したがこちらは3日程で消失。仕方なくマーブル魔石を二人に渡したら『『これ、無理!』』とお腹の子達に断られたそうだ。
その後せっせと白い魔石をたくさん作って渡していた。「こいつらも神獣と一緒で食い意地が凄いな」とイツキは笑っていた。
翌日、イツキと二人でメルビナ神聖教会へ向かう。もちろん金をせびるだけのインチキ教会を追い出すためだ。
イツキが起こした騒動の、プラス材料は【メルビナ様の奇跡】【男爵家は嘘つき】。そしてマイナス材料は【悪魔イツキの仕業】と吹聴しているそうだ。流石に男爵家として、あからさまに侮辱されて、それを許すわけにはいかない。
「ふふふ、とっておきを見せるから。度肝を抜く登場するから、お母様は先に一人で行ってね・・・行くぞベルネちゃん!一発〆てやるぜ!」と言って消えた。
何をやらかす気なのかな?・・・なにやらベルネ様とコソコソしていたからね〜 でも〆る?誰を?
メルビナ神聖教会といっても、魔物はびこる世の中。華美な装飾は一切ない・・・王都の本部は除くけど。
石造りの平屋の建物だが、その分広い。多くの民衆が毎日の礼拝をするためだ。だけど、今は誰も訪れることはない。嘘を振りまいて信用されなくなったので当然だ。
両開きの扉を開けて中に入ると、数人の協会関係者が私を認識して跪く・・・ただ、奥にいる司教ガースはふんぞり返って睨んでいる。
「来たな!つい先程、お前達ユグドラシル男爵家に神敵認定が発布された!首を洗って待つことだ」
司教を無視して「あなた達、イツキに逆らうとろくなことにならないわよ。家で面倒見るから教会を抜けなさい」というと、司教以外は従った。
「き、貴様ら〜!この事は本部に報告するからな!」
まあ、ここに居てイツキの奇跡を目撃しているのだから、当然のことでしょうね。さて、イツキはどのタイミングで来るのかしら?
「ふふふ、まあ予想は出来ていた!そしてその対策もな!」と、ガースが喚くと、祭壇奥から神聖騎士団8名が現れた。その手には魔法銃が握られている。
「近衛騎士団の話は聞いている。さて遠距離からの攻撃では・・・どうかな?」・・・イツキの言った通りだわ。人族はほんと馬鹿だ。




