053話 総長、天界の形状に疑問を抱く
<セリーナサイド>
『そのため、男爵領は軍備の強化を進めて、独立して国家となります!』
「「「「「えっ!?ここを国に!?」」」」」そりゃ驚くよね。
『第一に、軍備増強と食料の自給自足。第二に、隣接する精霊女王の悪夢全域の調査・把握、第三に上大陸へのルート確保。これらを10年以内に完了させて、独立する計画だね。』
「「「「「・・・・・」」」」」これは、即断するのは難しいでしょう。
『もちろん、サマンサ王には内々で知らせておくし、親のサイジェント侯爵にも色々とね、する予定。
国家設立まで黙認してくれればOKだし。駄目なら、白の魔石の輸出制限による恫喝やカレン様を刺客にする予定だよ』・・・一体何する気!?カレン様もうんうんとうなずいているし。心配だわ〜。
お父様がため息をついて「イツキちゃん、やはり独立しないとだめかね?」と聞くが、『まず、上大陸の精霊達は、過去の経緯を鑑みてもこちらの真意は通じない。武力で押さえたほうが手っ取り早い』これは否定できない。
『そして、この下大陸は、これから状況がもっと悪くなると予想してるんだ』
『私の予想では、数年内にこの統一国家は分裂する。神器のおかげで王都内の情報収集はほぼ完璧。王都内での不正は難しくなった。そして情報を得た国王は、お飾りから旧王族の対抗勢力になったんだよ。
それなら・・・元の国に戻ったほうが旨味がある。となれば旧三国は必ず分裂、独立する。べったりと癒着しているメルビナ教も独立する。そして、旧三国の旨味の独占に納得出来ない力のある伯爵家辺りが、さらに分裂、独立する。
旨味の取り合いで仲も険悪になるので、戦争も起こる可能性が高くなり争いが絶えなくなる。天界崩壊危機に、魔物の増加と問題山積なのに馬鹿だよね〜
そこで、うちが戦争のストッパーになるの。これが独立が必要な理由だね。』
『だから、国家樹立と言っても侵略国家を作るわけではないの。常に天界すべてににらみを効かせ、問題が発生したら何処にでも駆けつけて即座に武力で鎮圧する。誰にも文句を言わせない!
・・・そういう天界の近衛騎士国家を作るんだ!』
「「「「「近衛騎士国家!?」」」」」・・・すごい話になってきたね。ちょっとワクワクしてきた。
『まだ、構想はおぼろげだけど、お祖父様に教えた【ゲート】もこの布石だよ。
天界のために常に高潔で。侵略はしないので少数精鋭。天界最強の軍事力を持つ天界の近衛たれ!が国是。
いざ暴力の臭いを嗅ぎつけると、ゲートを使って電撃的に当該国に侵攻・制圧、問題を解決すると霞のように消え去る。他国の為政者にとっては助かるけど不気味な国、他国の民にとっては頼れる存在。こちらの言うことも概ね受け入れてくれるはず・・・最悪は神罰を食らわせるけどね』
「・・・なんとも壮大だけど、この理想を維持できるのかしら?」
「そのための眷属だよ!・・・私は色々な天界を巡りたいので、眷属の誰かに管理を任せるよ・・・そのための仕組みも色々と考えてるし。」
「「「「「・・・・・」」」」」
「その時は、決断するしかないようだね」
『まだ、予想の話なので、状況に応じで随時対応になりそうだけどね。もし分裂しないのなら、サマンサ王をどんどん支援して、最終的にうちの眷属が王位を次ぐとか?で、うちは現状維持かな。』
『あとね、他にも不確定要素もあるんだ。神が天界創造をすると必ず【真円の球形】の形状になるんだ、どうやってもね』
「「「「「???」」」」」それに何の意味が?一体何が言いたいのだろうか?
『そして、球形の上半分が、私達が住む天界なんだ。じゃあ、下半分は?すべて大地が詰まってる?
・・・でも、それなら円錐形やドーム型とかで問題ないのに、なぜか、創造時に形を変更出来ないんだ。
その理由はなに?・・・もし、下半分にも空間がある、となれば、そこに生命がいて、実は魔物はそこから来ている。なんて事も否定出来なくなるんだ』
荒唐無稽な話だけど・・・イツキの話が真実ならば確かにないとは言い切れないわね。現に魔物が湧いている状況だし、魔物が何処から来るのか誰も知らないのだ。
『この天界の神に仕えていた、ヴィマーナはどう思う?』
「そもそも球形という話が初耳です。本当に間違いないのでしょうか?」
『うん、球形以外変更不可。天界作成時の決まりごと、のようにね』
「ならば、下半分にも【生命体が居る】と想定して動いたほうがいいですね」
『もしかしたら、天界は陰と陽で構成されてるのかも?
・神が管理するこの地が陽、魔物の住処が陰(神は暗黒属性は苦手だから陰の天界は放置、だから眷属も知らない・・・もしかしたら創造した神すらも知らないのかも?)
・平時はこれで天界のバランスを維持している。しかし、今回の天界崩壊で境界線が劣化。
・・・・と、考えれば辻褄があうのかな?
しかし、この大陸と同じ規模のものが下半分にあるとすれば、どんだけ魔物が居るんだろうね?
うわ〜!面倒!キュリちゃん(女神マーキュリー)に連絡出来たら色々と教えてもらえるのに〜!』
・・・これだけの準備・調査を10年で終わらせることが出来るのだろうか?
『球形問題については、思いついた陰陽機構はありえそう。だから、この天界に増えてる【魔物たちの住処】と想定して動くつもり。
さっき言った【精霊女王の悪夢を調査・把握】というのは、外敵ではない魔物、つまり天界固有の生物と手を組み、魔物たちの情報を調べるつもりなんだ。それで魔物たちの出入り口がわかれば満点なんだけどね〜』
『こっちも、新しい情報が入り次第、逐次修正だね・・・しかし、これだけの事を男爵家1つだけでやらないといけないなんてね。正直、家族やこれから誕生する妹達の件がなければ、面倒になって早々に消し飛ばしていたよ?神聖魔法の究極【真白】も、既に完璧だし
あと・・・今後、男神テラリウスに出会ったら、絶対〆る!』
「「「「「それは同意!」」」」」
「私達も呆れているわ、ホント・・・イツキちゃんの天界に行ったほうが楽そうだもん」
・・・あっちも、色々大変みたいだけど。ここよりマシだよね。
『さて、後は仕事の役割分担だね〜』・・・皆で検討した結果
【近衛騎士国家設立準備】・・・領主夫婦、長男夫婦、次男夫婦、カレン様、セバス・チャン
【精霊女王の悪夢探索】・・・セリーナ、イツキ
【上大陸へのルート開拓】・・・セリーナ、イツキ、イザベル、ヴィマーナ、アマゾネス騎士団
【元神の眷属『五色』の居場所調査】・・・ヴィマーナ、御庭番
【天界内の情報収集】・・・御庭番
『まずは、私の騎士団を増やすかな?そいつらに上大陸のルート開拓を任せたいし!』




