049話 総長、イザベル姉様のために奔走する(王とのコンタクト)
<イザベルサイド>
「しゃて、くじゅどものおこすきゃ」と両手をパチンと合わせるも、ぽふっ!と可愛らしい音しか出なかった。
「「「・・・・」」」
「こにょむちむちのてぎゃ」羞恥で顔の赤いイツキちゃんが『ヴィマーナ!』と言うと、ヴィマーナはパチン!と手を叩き、その衝撃派で気絶していた人々を叩き起こした。
『さて、私からの話とユグドラシル家の示威行動は終了だ。これから1ヶ月間、気張れよクズども!』と言い放ち(もちろんイツキちゃんが言ったんだよ)壇上を降りる。
「イザベル様、イツキ様のお世話は私が致します」と言って、ヴィマーナがイツキちゃんを受け取る。すると「か、かわうぇ〜!」と、抱っこしてご満悦だったが、保護者席から威圧と殺気と熱気が襲ってきているのは気の所為ではないだろう・・・お姉様。
そして、私の挨拶の後は、この学院の生徒会長からの話になったのだが・・・生徒会長は、あのアレクサンドラ伯爵家の三男のソラン・アレクサンドラ様だった。ソラン様って、カペラ様と双子だから、まだ2年生だったはずだけど?意外と有能なのかしら?
「私は、この学院を正義の義心に満ち溢れたものに導いていきたいと思っていますが、今回の新入生でそれを阻害する勢力、ユグドラシ・・・あっ!?・・・だーーー!」と、話の途中で何処かに走り去っていったが、変な動きだった・・・もしや!?
実行犯と思われるイツキちゃんは『薄っぺらい』とソラン様を軽蔑していた。・・・保護者席から「よくやったー!」と聞こえてきたが、お父様の声に似ていたのは気のせいかな?
その後、何人かの高位貴族の挨拶があったが『聞く価値もない』とイツキちゃんは一蹴してた・・・私も一切記憶に残らなかったけどねwww
そして、いよいよトランシパール王国、サマンサ・ティアラ・ジョイフール国王が登壇する。王国最高峰の【癒しの手】の持ち主だ。『サマンサ?なんか聞いたことあるな?』とイツキちゃんが変なことを言っていた。
いよいよサマンサ王が登壇すると、何故かイツキちゃんが5歳時の姿に変わって、血相変えてすっ飛んでいった。護衛の女性二人が阻止するも「こいつを死なせたいのか!」と、二人をぶっ飛ばして、サマンサ様の額をバチーン!と叩き気絶させた。そのまま白い球体を作り、その中に放り込んだ。それを全生徒が意味がわからずボーゼンと見ていた。
護衛の女性達が「王を守れ!」と再度攻めてきたが「いま治療中だ!」と神威を発して黙らせる。
「おい!この右脇腹の傷は何だ!致命傷だぞ!こいつを死なせたいのか!!!」とのイツキちゃんの(無意識で)神威を込めた怒号が響き、全生徒がまた動くことができなくなった・・・ユグドラシル男爵家やばい!って退学者が続出するかも?
さて、イツキちゃんに白い球体に放り込まれたサマンサ王といえば、すぐに目を覚ましたようで
「ああーーー!!キモティーーーーーー!!!」とご満悦だった。ちなみにサマンサ王は60歳を超えている、ちょっと痛く感じたのは内緒だ。
『これだけじゃ、まだ足りないな』「ひーる!」イツキちゃんの両手からまばゆい光が発し、白い球体もまばゆく光り輝いた。
「「癒しの手!?」」動向を見守る護衛達も驚いていた。癒しの手を見た時点で危害は加えられないと思うので、少し安堵した・・・まあ、今はヴィマーナとお姉様が競うようにイツキちゃんを守っているから、全く心配はないんだけど・・・二人のピリピリした雰囲気は、お互いに向いているんだよね。
王の負傷が公開されたことで入学式は強制的に終了。ユグドラシル男爵家の面々は別室に案内された。そこにはベッドで休息をしている国王とその護衛2名が待っていた。
サマンサ・ティアラ・ジョイフール国王は既に60歳を超えた人物なのだが・・・イツキちゃんのマジ治療の副次効果で30歳代に若返っており、肌も銀髪もつやつやしている。
「今回は治療をして頂き有難うございました・・・ちなみに、傷だけではなく相当厄介な毒を受けていたのですが、どの様に治療されたのでしょうか?」
サマンサ王は強大な魔物討伐に遠征した際に、奇襲を受けて致命傷を負ったようだが、後で治療すればいいと、周りへの影響を考えて遠征終了までこれ以上悪化しないよう現状維持に努めていたそうだ。だが、いざ完治治療をするも猛毒の影響で治せない。それで既に死を覚悟していたようだ。ちなみに強大な魔物には逃げられたらしい。
ベッドに身を休めている王からの質問に『あれは毒ではなく呪いだね。私は神だから治療にそんな些細な差異など関係ないよ』というと、「神!?」と驚愕した後に、ベッドを飛び起きて床に片膝を付き
「失礼しました!」と礼を取った・・・あれ?イツキちゃんの事は報告済みだったんじゃ!?
「「サマンサ様!?そ、そのような真似は!」」と護衛が驚くが「これ程の癒しの手の力、神以外ありえません!」と礼を崩さなかった。
『うむ!多少は見る目はあるようだな?まあ、この国の王と言っても傀儡なんだろ?』とイツキちゃんが言うと護衛達はぎょっとしたが「その通りです」と王は認めていた。
「うちから送った情報を、全く知らないから。一応、サイジェント侯爵だっけ?やつが男爵領に来て聞き取りをしたんだよ」というと驚いていた。当時の状況を話したら申し分けなさそうにしていた。
ついでに、私を捕縛しようとした近衛騎士団を撃退した経緯を話すと、サマンサ様は「えっ!?近衛騎士団が!・・・まさか!」と驚いていた。
近衛騎士団とは、あくまでも王の守り手。基本それ以外の事に手を出すことは無い・・・そもそも貴族達から嫌われている、という事実が理解出来ないそうだ。
『それを腐敗、と言うんだ』と、イツキちゃんはバッサリと切っていた。
サマンサ王は「・・・イツキ様!この国をお救い下さい!」と、すがるようにイツキちゃんを見つめるが『サイジェント、ガアストール、ロイヤールの元王族のゴミを駆逐しても、次から次へとクズが現れるからな。基本的に関わる気はない!人族間で解決しないと。どっち道天界も崩壊に向かってるし』と関与しない宣言をして、サマンサ王をがっかりさせていた。
『侯爵にも話したけど、諦めるのなら、崩壊前に私が全の人族を、苦痛なく消してあげるよ!』と止めを刺した。
その言に、うなだれている王。
それに向けて『お前な〜、今まで国政で自分で何か努力した事あるのか?国民を味方につけて、頑張ってみろ!』と叱咤していた。
バッサリ切った後に、珍しくフォローするイツキちゃんにちょっと驚く。
イツキちゃんは、善人悪人の区別がある程度出来るらしいので、サマンサ王はきっと善人なんだろう。
そして・・・
『そうだ!お前に神器をプレゼントしてやろう!それを活用して国を立て直せ!』
とイツキちゃんはニコニコして言った!
・・・やっぱり優しすぎ!なんか、あやし〜!
後で問い詰めたら『一流の武器に名付けをしたら、変態の神器に昇華した。今回は持ち主の髪の毛を媒体にして、主がそいつになるか?主の意に沿った変態になるのか?試してみたかった。みんなの武器を作る前に!』と白状したよ。
サマンサ様の髪の毛を数本貰ったイツキちゃん、その髪の毛を核にして白い力を収束していくこと約10分『・・・キタキタキタ!創造錬成!お前の名前は【ヤンマー】だ!』
眩い光が辺りを照らした後に現れたのは1本の杖。杖の上部は虫の頭、柄は黒と黄色の縞模様、杖の周りには透明の膜のようなものが巻き付いている・・・あれは羽?よく見たら腕のようなものが6本生えている。
『トンボ型の【ヤンマー】ちゃんだ!眷属を作って、監視業務を担ってくれる心強い味方だよ!・・・これで情報を征して国を立て直せ!』
イツキちゃんが叱咤すると、サマンサ様は「神よ!感謝致します」と泣いて喜んでいた。
バサッと、6枚の羽を開いたヤンマーちゃんは「初めまして・・・あなたが主となるサマンサですね。ふむふむ、私と趣味が合うようで良かったです」
ヤンマーちゃんの性能は
①監視用の眷属を100体生成。独自に悪巧みの臭いを嗅ぎつけて、その動画撮影と録音機能で悪辣行為の証拠を入手する。
②親衛隊を3体作ることが出来、常に主を守る。親衛隊は戦闘機能を持ち、即座に暗殺者や殺意を持つものを把握、背後から音もなく近づき、しびれ毒を注入する。
24時間の監視に護衛。まさに、王には必須の性能ではないだろうか!
すごい!と私達は感動したのだが、そこはやっぱりインテリジェンスの武器、ヤンマーちゃんには隠れた機能があるそうだ。
その隠された機能とは、出歯亀隊。
色事メインで甘酸っぱい恋模様はもちろんの事、不倫等のドロドロ恋愛もいけます!各種特殊な性行為なんかも興味津々!それで、ご飯3杯はいけます!との事。
・・・なんと、出歯亀隊の総勢は1万体!
監視隊と親衛隊って、もしや出歯亀を楽しむ為のアルバイト的なものなのでは?
もう、こっちがメイン機能だよね?これ。
しかも、主になったものは、その出歯亀動画を一緒に楽しまなければ駄目なのだそうだ。
もし拒否したら「性格の不一致、実家に帰ります」とイツキちゃんの元に帰るらしい。
イツキちゃんは、この機能を聞いてから『もういらない』そうだけど。
その裏機能(もはやメイン機能)に、初めは驚いていたサマンサ様だけど・・・
後に聞いた話では、サマンサ様にのぞき願望でもあったのか?今では出歯亀動画を酒のつまみに、毎夜二人で楽しんでいるそうだ。
『本人の髪の毛を核にしたからかな?趣味が合うとヤンマーちゃんが喜んでいたよ・・・その中でも、サマンサはBLが好きらしい』とのイツキちゃんからの情報だ。
なお、BLとはなんぞや?については、頑なに教えてもらえなかった。
『神にも出来ないことはある。それは、まともなインテリジェンスの武器を作ることだ!でも、私には天界の奇跡!絆がいるのだ!それだけでいい!
・・・まあ、髪の毛で相手に押し付けることが出来るのが判明したのは行幸だね!助・格みたいのは困るからな〜』
・・・インテリジェンスの性格の更生、イツキちゃんは諦めたようだ。




