041話 総長、王国にこの天界の現状を話す
「最後に、女神メルビナ様のお話ですが・・・」これが一番面倒そうね。
イツキの説明は以下の通りだ。
『まず、私が転生して来た際、神から一切の接触が無かった。もし、自分と同じ存在がふらりとやって来たら、監視はするでしょ?私の天界でもこっそり観察されてたし、別の天界では、すぐに私に気づいて接触してきたよ』
『次に、この天界の神の力を一切感じない。少なくとも100年以上前には既に居なくなった、もしくは厳重に封印されてる』
『最後に、天界が全く維持されていない、放置状態。このままだと天界が崩壊するかもね』
・・・衝撃的な内容だった。神は居ないのはどうでもいいけど、世界が崩壊?想像もしなかった話に頭がついていかない。
「イツキ様、崩壊を証明出来るものは・・・」『魔物』ときっぱりと言った。
『私の居た天界には、他の天界との交流口がある近辺にしか魔物は居なかった。別の天界では崩壊の危機をなんとか回避したが、その影響で天界全体に魔物がはびこっている。
・・・仮説だけど天界の歪から魔物が現れるんじゃないの?で、この天界では世界全体から魔物が現れる、対応する神は行方知れず・・・良い要素ないよね?
適度に現れる程度なら問題ないけど、人族も精霊も滅びの心配する程なのは、天界が既に穴だらけって事』
「「「「・・・・・」」」」
十分に納得できる話だ。これなら魔物が突然現れた説明にもなる。しかし、これだと人族の手に余る。やはり神という楔は必要なのだろうか?
侯爵も同様の考えのようで「神、以外の手立てはありますか?また、イツキ様が後継されるとか?」と質問を返す。
『う〜ん、世界樹があれば維持は出来るんじゃない?天界の神も、基本運用はおまかせ!って感じだった。』
世界樹!?木で世界をどうこう出来るのだろうか?全く想像出来ない。私達の疑問に気づいたのか、内容を補足する。
『みんが考えている木とは段違いの大きさね。上・下大陸全体に根を張り、大きな枝葉で天空を支える巨木が他の天界にあるんだ。意思もしっかり持ってるよ』・・・全く想像も出来ないな。
と、いう私の思考に気づき、イツキは私に2つの天界の世界樹をそれぞれ見せてくれた・・・おお〜っ!!!!ナニコレ!?神々しい!実物見てみたいな〜!この存在になら、毎日祈りを捧げたい!と思った。
「そんな木が・・・」と侯爵は驚いているが想像もつかないようだ。
私は感動して「すごい!想像以上の巨木!!!」と思わず言ってしまった。
お父様、お母様に、お前だけイツキちゃんに映像見せてもらえて・・・うやらましい!と嫉妬に狂う目でにらまれたが、母親特権です!
『管理・維持はそういう理由で、新米の神たる私には難しいかな?・・・それに、正直ここに愛着ないし。もしものときは家族を連れて別天界に転移でもしたほうが楽!』という言葉を聞き、感動した家族にもみくちゃにされた。
私達の濃厚な愛情はスルーして、イツキは『で、これからが本題なんだけど、世界樹の別の呼び名が、問題解決のヒントになると思うんだ』と話を続けた。
「「「「???」」」」
『世界樹には別の呼称があるんだけど、それが【ユグドラシル】』
「「「「!!!」」」」
『で、うちの領地がユグドラシル男爵領!・・・これ偶然にしては出来すぎだよね。もしかしたらこの天界に原木があるのかも?』
雲を掴むような話でだけど・・・真っ暗な未来よりかは、マシなのだろうか?「う〜ん」と侯爵も困り顔だ。
『そして・・・ここからは神としての警告!』
その瞬間、金瞳が蘭蘭と輝き、威圧を放ちだしたイツキが言葉を続ける。
『天界全体の問題だから、上大陸の精霊・妖精と和解して相互協力する事!そして、居るのならハイエルフを探す事!あいつらは植物のスペシャリストだから!』
『もし、和解できないようなら、崩壊で皆が苦しむ前に、痛みも苦しみも無くすべてを滅ぼしてあげる・・・神はその力を持ち、そ・し・て・気まぐれなんだよ〜?』
『この世界に転生して、魔力と氣力が統合して白色に力になったんだ。今の私が力を十全に発揮出来ないのは、このコントロールにも苦労しているから』
『神聖魔法の究極って知ってる?存在すべて、記憶すら消し去る【消滅】なんだよ。すべてを真っ更な【白】に・・・で、白くなった私の力、それを十全にコントロール出来たら・・・もう分かるよね?』
『天界崩壊か?私に滅ぼされるか?いずれも滅ぶんだ。それを回避するために、必死にあがいて努力してみなさい。グダグダ言うなら、神の怒りとして【精霊女王の悪夢】を消し飛ばしてもいい』
みんな、圧に押されて呆気にとられて聞いていた。頭の上で威圧されてるお母様は冷や汗が出てる。
のんきに私は娘は凛々しく可愛い〜!とうっとりしていた。
だが、侯爵はガタガタと震えていた。これが【神威】なのだろうか?
話が終わったイツキを抱きしめて頬ずりすると『話聞いてなかった?』と胡乱げな目で見てきたが「凛々しくって可愛かった〜」というと、呆れていたが特に抵抗はしなかった。
侯爵が、神威に触れて真っ青な顔をして、急ぎ王都に報告に戻った後、イツキが家族会議を提案してきた。
『これから、この男爵領は強者が争う修羅の地になるでしょう。流石、私!トラブルメーカー!強敵楽しみ〜』と、のほほんと話しだした。
『で、私は自分の手足となる騎士団を作ります。これから有望そうな領民を強制徴収、王都にスラムがあるなら子供を攫ってきもいいし・・・それと、男爵家全員は強制的に猛者に育成します!』
この発言に、お母様、長兄、私は獰猛な笑みを、他の三人は、恐怖に震えていた・・・今後の地獄の特訓を想像して。
「自分の騎士団はいいけど・・・お金はどうするの?」と聞くと、イツキの手から真っ白な魔石がゴロゴロと落ちてきた。
『高密度の魔石だよ!コントロール不要なので楽に金儲け出来る・・・金のなる木、イツキ!』・・・くだらないダジャレも可愛い〜!
しかし、高位の魔物の魔石が10万ゴールド。これは・・・最低でも百万以上はするのでは?それが山のように・・・あっ!お父様の顔が真っ白に!
『ふふふ、男爵領の戦闘民族化計画・・・始動だね!』・・・うん!腕がなるね〜
『あと・・・断腸の思いで、みんなにインテリジェンスな武器を作ります!・・・ヤバイのでも文句言わずに、しっかりと調教してね!』
この発言には、お母様以外はうんざりした顔をしていた。イツキから話を聞いているからね。
しかし、イツキが『とりあえず空戦用ね』と、絆を調整媒体として経由して作成した【胡蝶(改)】は大好評だった。僅かな魔力で空を飛べるのだから当然だ。
これならインテリジェンスも・・・と期待してしまう。しかし、インテリジェンスはコントロールなしに作成するので、どんな異常者になるかは不明だそうだ・・・異常者前提なんだね。
ただ、この作業で絆がダウンしてしまった『ママの力は超高密度で、私では力を受け止めきれません』その結果、しばらくは私に絆を使わせてくれるそうだ。あの子となら問題ない。
がっくりと項垂れる絆に『力を十全にコントロール出来るようになったら、修正するから』と慰めているイツキが可愛くて、強く抱きしめると苦笑していた。




