032話 総長、ガイア神との戦闘(前哨戦)
「みんな!相手の羽虫どもの話は聞く必要なし! 戦闘開始だーーーーー!!!」
「あ、火と暗黒属性は世界樹を含めた木々に当てないようにね!大事な存在なんだから、世界樹はある意味で神よりも大事なんだぞ〜!」と周知しながら、近くのダークスライムの雑魚をむんず、と掴み「だから、お前はこの開けた空間限定な!」と注意する。「つまらんな」とふてくされているが「今回は、指示を破ったら、君の存在無くなるからね」と〆ておく。生意気だがご主人の本気度の感知には長けているので問題ない。だいたい、こいつの実力では顔なし天使1体の相手が限界だ。
周囲を観察すると、世界樹が管理しているのかは不明だが、周囲に特殊な植生のものが多い。世界樹の麓は植物たちの楽園でもあるのだろう。「新月騎士団は、周囲の環境保護に努めて欲しい。皐月、裏方で申し訳ないが頼むよ」「お任せを」。雑魚とは違い頼もしい返事だ。うちのホーリースライム達は優秀で助かる。
さて、戦闘初手は遠距離攻撃で様子を見るようだ。立花とはるかペアは、はるかが土魔法で作る大岩を立花の尻尾でフルスイング!次々と敵陣地にかっ飛ばしている。立花のあれ、尻尾自体が氣力と魔力生成してるよね?その力を使って2重に剛力を纏っているから、なかなかの威力だ。
はるかが生成した大岩も相当硬度が高いね。しかも、空に陣取る天使の近くで爆散して広範囲を破片で攻撃している・・・狙いは羽か!?チーム【月姫】は空中戦闘は未熟だから、落として地上戦に持ち込むつもりのようだ。
おっ!?落下していく天使を、十手の【瀑撃の助さん】が高密度に圧縮した水撃で攻撃している。こちらは心配の必要はなさそうだが・・・念の為「しょっっぼい水芸だな〜?チーム【黄門(おうもん】は格さんとお銀コンビに切り替えるかな〜?無能な助は不採用だ」おおっ!?圧縮度の上がった水撃!しかも2本になった。やっぱり言葉責めで喜ぶ変態は理解できん。
遠距離の攻撃力のないジャンヌと剣化中のこのはは、何かに乗って空中戦に出るようだ・・・あれは、十手の【虚壁の格さん】の障壁に乗っているのか。併せて障壁でジャンヌを守っているので、天使の攻撃を気にせずに攻撃している・・・ん?こっちに戻ってくるぞ?
「主!燃料枯渇だ!補充だ!踏め!ご褒美で!踏んで!景気づけに!めちゃくちゃに踏んでーーー!」・・・まあ、あれだけの障壁展開をすれば、そうなるだろうね。取り敢えず近づいてきた十手を捕まえて、四つ折りにしてネジネジした後でジャンヌに返す。折り曲げる度に
「うほっ!さすが!主様!」「ふへ!ふえ〜」「ああっーーー!きたーーーー!!!」
とうるさかった。小さくまとまった十手を受け取るジャンヌの手は汚物を摘む感じで、とっても嫌そうだ。・・・諦めろ!慣れろ!がインテリジェンス武器に対する基本認識になりそうだ。
「空戦は消耗が早い。ジャンヌ達は立花達が落としている天使に止めを刺して欲しい」
「了解した(わかった)」と戦地に戻っていったが、途中で不要になった四つ折り状態の【虚壁の格さん】をさり気なく捨てていったのには笑えた。やつはご褒美をもらったので、このままだと働かないだろう。なので「八つ折りネジネジも試してみたいな〜」とつぶやくと、シャキ!と元に戻り「虚壁の格、推参!我の戦闘の極地をご覧あれ!」と復活した。「格!待機中の魔法部隊の動きが変だ。妨害してくれたら・・・八つ折りを試そう」「イエッサー!」とすっ飛んでいった・・・そろそろ、使い手のはるかにたのんでくれないかな?
しかし・・・指揮官がいるのに天使隊の動きが悪いな。実質立花とはるかで抑えきっている状態だ。後ろに控える4枚羽根の隊長クラスの一人がギャンギャンと叱咤しているので認識に間違いないだろう。
しかし、槍部隊は立花とはるかに妨害されているが、遊撃と思われる剣部隊の動きが無いのが疑問だ。さらには魔法部隊と思われる天使たちは攻撃もせず、徐々に間隔を開けて広がっている・・・私達を取り囲んでからの魔法攻撃だとしても動きが遅いし範囲も広すぎるんだよな〜?
仕方がない、こちらから仕掛けるか!
「おい、さくら!出番だ!」
「おっ!?本陣突入か?・・・ふふふ、流石に冗談だがな」「よく分かったな!あのギャンギャンうるさい天使を挑発して来てくれるか?」
「本気か!?」「あれ、さくらと同類の匂いがするから、情報も色々漏らしてくれそう、頼んだよ?」
「うむ・・・同類の意味がわからないが、胡蝶!キング!シャル!いくぞ!」と飛び出していった
・・・あんた気づかないの?意味不明に蹲踞の構えを続けてるあの4枚羽は、絶対相撲ファンだよ〜!
<さくらサイド>
なにやら伊月に「同類」とは言われたが、あんな奴は知らん!ただ、本陣に一番槍で突撃というシチュエーションは燃える!いざ行かん!
「うむ・・・同類の意味がわからないが、胡蝶!キング!シャル!いくぞ!」剛皮にはしっかり伊月の瘴気を纏い、聖雷氣で周囲を威圧しながら一直線にあのうるさく騒ぐ天使の元に向かう。
「おら!あんた達!そんな岩なんて『鬼哭関』のぶちかましや『曙星関』の張り手でなんとかしな!・・・ああっ!?そこは『舞の浜』関のようにひらり!と躱すんだ!お前の相撲道とはそんなものかーーーーーーー!!!!!心技体をイチから鍛え直せ!」
相撲を知らない天使たちには理不尽な言葉だが・・・非常に親近感が湧いてきた。
対象の天使に近づき「おい!・・・私は湊さくら。鬼熊部屋の一人娘だ・・・相撲、好きなのか?」と話すと、両手でがっしり握手をされた。「私は、アマティエル・・・いや今はリキシエルと名前を変えた!相撲サイコーーーー!!!」・・・お、おう、なんか嬉しいな。
「鬼熊部屋という事は・・・横綱の『鬼哭』関はもとより、前頭7枚目の『鬼響』関、前頭12枚目の『鬼聖』関等、有望な力士が多い。十両にも『鬼鏡』関、『鬼構』関、『鬼隠』関等、将来の有望株も多い。期待の相撲部屋だ!」・・・随分相撲に対する情報が過多だな。
「うむ、時に『鬼隠』関は将来の横綱候補の筆頭だな。精神面が脆弱なのが問題だが、部屋の稽古では既に『鬼哭』関とも互角に渡り合っているぞ」と部屋の情報を公開すると
「やはりか!?実は『鬼隠』関の精神虚弱は私も気になってな・・・出来れば裏から支援したのだが・・・妻として」・・・ん?妻!?『鬼隠』をあてがえば・・・情報収集のチャンスなのでは!?
「なかなか目ざといな。うちの有望株に目をつけるとは・・・伊月陣営に来れば(強制的に)カップリングも出来るが」
「行きます!!!!」うむ、伊月が言っている「ちょろい」という言葉が理解出来た瞬間だ。
「リキシエルよ!ならば我が主の伊月の元に共に行こうぞ!」と二人で伊月のもとに向かう。
<伊月サイド>
・・・おいおい?さくらが、あのうるさい天使を連れてきたぞ!?相撲好きの同類かとは思っていたが・・・まさか意気投合するとはね〜
ただ、話を聞くと何というか・・・『鬼隠』ってあれだろ?私へのストーカーがしつこくて、米軍の軍事施設に送りつけたやつだよな?米国送りかと思ったが、まだ部屋にいたのか!?・・・まあ、今回の件で役に立ったのでまあいいか。
「さくら、カップリングをゴネるようなら、『また米軍施設に行きたいか〜!?』と言えば大丈夫だ。あと親方両親にしっかり挨拶しとけよ」と話しながらゲートを準備する。いま戦闘中のはずなんだが、なんか結構余裕だね。
「米軍施設?意味わからんが、私からも推薦するぞ!鬼隠は非常に内気で、自力で彼女が出来る可能性はゼロだからな」だと。まあ、当時は相当追い込んだしな。
さくらのフェロモンに当てられた影響で壊れた男で、ストーカー界隈では『陰影鬼』との二つ名で凄腕で周知されており、我が家に侵入した際には、トメさんとタツキも認識出来なかった程のエキスパートだ。撃退は結構面倒だったので、お土産付きで米軍施設に放置したのだった。
その、鬼隠の詳細情報を、こっそりとリキシエルさんにお話すると
「ほう、それはしつけのし甲斐がありそうだ」と、凄みのあるいい笑顔で言ったので大丈夫そうだ。
あと、同族と思われる女将さんのかぐやちゃんのお話もしておいた。
「それは、私達の探し人かもな?」・・・おおっ!ビンゴ!?
指揮官の天使達は、天界サターンの住人との事だ。人探しのため来訪したのだが、天界ガイア内の探索許可の交換条件として本戦闘に参加させられたとの事だ。かぐやちゃんが探し人だった場合は、私の陣営に付く(正確には、探し人の娘のさくらがいる陣営には敵対しない)と確約をもらった。
しかし、天界ガイアって、本当に人材いないんだな〜 もしかして眷属神しかいないのかな?・・・眷属神の怠慢なのか?女神ガイアの意思なのか?
「立花〜!かぐやちゃんところでお茶飲んでくるね〜」
「あんた自由過ぎるわよ!!!」と怒れる立花を放置して、ゲートで鬼熊部屋へ移動するのだった。




