031話 総長、ガイア神との戦闘開始前
世界樹政府の統治拠点都市「ポホヨラ」。地下施設である都市を出て、濃霧漂う世界樹の麓へ。
未来視通りだと神との相打ちになるらしいが、その未来視とは既に相違がたくさんある。・・・まあ、負けたら負けたでそれまでの話である。ただ負けるつもりはさらさらないし、むしろ心が高揚して楽しみである。
「伊月?本当に大丈夫なの?」と立花が聞いてくるが、楽しみ〜と言うと呆れられた。ただ「邪魔な眷属・神獣が出たら対処よろしく!」とだけ言っておいた。
しばらく待機していると、左右に割れるように濃霧が消え去り視界がクリアになった。そして世界樹の天上より羽が生えた天使と思われる存在がワラワラと出てきた。だが、神獣のたぐいは皆無だ。ナチスタルタリアンの眷属収集の影響が天界ガイアでも起こっているのかも。
天使の詳細は、一言で言えば金髪のっぺらぼうだ。言葉通りに目・鼻・口がない、雑兵程度の下位のエネルギー体だから余計な機能は省いているのだろう。神の経済状況はよろしくない模様。
しかし武器は高性能で、各種属性を付加した槍を所持した部隊が500体程、各種属性を付加した剣を所持した部隊が200体程、球形の魔法発動体?を所持した部隊が1000体程と一番多い。その部隊の後方に4枚羽の天使が3体、6枚羽の天使が1体。この指揮官クラスには顔があり、意思の疎通が出来そうだ。ちなみに6枚羽が相手の大将と思われる・・・こいつは立花達より格上だね。
魂経由で神聖属性と暗黒属性の力を発動して、それを混ぜ混ぜして【業力】を発動する。出力は想定の5割程度だが、力の調整は大分改善されている。
強化したい項目に力を振り分けられるようになり、【剛力:極美】との併用も出来るようになった。あと容姿の変化もほぼ無くなり、左右のくせ毛が白と黒になる程度だ。
今回は神聖属性の敵なので暗黒属性の力を大幅に強化すると、私の周囲に瘴気があふれる。が、私謹製の瘴気なので実害は「私の敵」に限定されるすぐれものだ。そのあふれる瘴気を、みんなに【憑依】で纏わせる。
ただ、害はないが瘴気の感触自体は微妙なようで、喜んでいるのは剣化したこのはとエクトプラズムのプリンセスのみだ・・・こら!プリンセス!!!待て!瘴気食べない!
「さて、今後のことを考えると、神側の戦力が減るのも困るんだよな〜 顔なし以外は殺さないようにね」
立花は狐獣化、はるかは使徒の助さん格さんと魔法&植物操作で、神聖属性のさくらは使徒の胡蝶とキングと拳で、このはは行動はジャンヌに任せての暗黒剣化。神獣三姉妹は遊撃として対応するようだ。光輝は私と待機。
首謀者と思われる、女神ガイアの眷属神の姿はない。さて、まずは前哨戦を始めましょうかね。
<立花サイド>
視界が晴れたと思ったら、ワラワラと天使が出来きましたわ。数は2000体近く居ると思われますが・・・あら?今回は初陣になるのですが、恐怖や高揚などの感情の起伏がありませんわね?
『伊月が顔なし以外は殺さないようにって』と、肩に乗ったアリスの分体が話しかけてくる、カワユス!伊月からもらった一番のご褒美ですわ〜!!!・・・もらった後に散々モフられましたけど。
「相変わらず無茶いいますわね? 顔なしの武器すら業物ですわよ。あの球形のものは魔法発動体でしょ?」
『おそらく。でもモタモタしていると、後ろの指揮官取られちゃうよ。立花よりも強者のようだし・・・戦いたいでしょ?』
たしかに!・・・ううっ、いつの間にか私も戦闘狂の仲間入りしていますわ!・・・それに、あの大将の6枚羽は初見のはずなのに何か因縁のようなものを感じますわ!
アリス(分体)と話をしていると、伊月の周りから暗黒属性の波動があふれ、それが私達に纏わりついた。
「ひひゃ!?何!?気持ち悪いですわ〜」『この瘴気を自由に使って、だって』・・・まあ、確かに神聖属性相手には有効でしょうけど、周りに影響与えない瘴気って。
狐獣化で九尾化する。伝説の九尾化をコントロール出来た時は大喜びしたのだが、伊月に「たかが9本で満足するな!型に捕らわれるそういうところ!悪い思考だ!」と怒られた。今は「最低でも万だ!」と無茶振りされている・・・万も尻尾があると邪魔でしょうに。
すると、狐獣化を見た伊月がこちらに来て「なあ立花、尻尾の数が増えるのって無駄じゃない?」・・・なんですと!?最低でも万と言ったのは伊月!あなたでしょ!?
おもわずグルグルと威嚇していると「それを1本に集約出来たら、きっと最強だ!(極上の1本、最高のもふもふ!)」との言葉に、胸にすっと落ちるものが有り、早速試してみた。
集約すると、金色の極太の尻尾に・・・あら?尻尾から魔力と氣力が!?・・・もしや力の発動体に!?それもなかなかの出力だわ!
『丹田と尻尾のツインエンジンだね、すごい!』とアリス(分体)にほめらて最高の気分ですわ〜・・・ちょっと伊月!さくら!いつの間に尻尾に抱きついているの!?
「「さ、最高の抱きゴゴチ〜!!!」私の直感に狂いは無かった!」・・・は、腹は立ちますが結果オーライですわ!そして、強化した尻尾を豪快に振り抜き、二人を吹き飛ばした。
<さくら・はるかサイド>
立花に吹き飛ばされたが、周りの木々にふんわりと受け止められた・・・は!?ついついもふもふに誘われてしまった。大事な戦闘前なのにな。ちなみに伊月は超能力で無事だ。
「さくらさ〜 これから決戦、しかも初陣だよ!?リラックスしすぎだよ!?」とはるかに怒られた。ううっ、すまん。
「しかし、初陣が天使との決戦なんて、伊月と知り合ったおかげで、想像以上にハードな人生になりそうだね」そんなことをいうはるかだが、気合がみなぎっており苦労とかは微塵も感じてないな。それをからかおうとすると・・・
『『おい!御老公!そんなことでは我らが主からご褒美が貰えんではないか!?死ぬ気で戦え!むしろ死んでも手柄を立てろ!』』
『ご褒美は30分は小汚く罵られたい!』
『ご褒美はおしりに敷いて折り曲げて欲しい』
『格よ、伊月様の幼少期そっくりのタツキ様の人型形態で罵られるのも良いな!』
『おお〜助、お前天才だな〜!・・・是非踏まれた!』
とは、チーム【黄門おうもん】の【瀑撃の助さん】【虚壁の格さん】だ。なぜ?インテリジェンス武器は揃いも揃って性格破綻者なのだろうか?
「二人共、私自身が活躍すると植物と魔法主体になるから。二人は出番無しでご褒美貰えないとおもうよ?」『『なに!?それは駄目だ!』』
「今回は私の側でフォローに徹したほうが、伊月の採点も高いとおもうよ」
『『うむ、流石御老公、しょぼ軍師は伊達ではないな』』「その呼び名はやめてよ」・・・しっかり変態達を使いこなしているな〜はるか、私には無理だ。私の使徒が虫型や動物型で良かったと心底思うぞ。
『はるかよ、ならこういうのはどうか?』と【虚壁の格さん】が十手の上に障壁を展開した『これに乗れば空を移動できるぞ・・・お前に踏まれても何も感じぬのが残念だが』と提案してきた。
「なら、格さんはジャンヌを乗せてあげて、私は地上から助さんと移動砲台として戦うから・・・ふふふ、これは格さんのポイント高そうだね〜」
『おお!』『なに!?ぐぬぬぬ、御老公よ!私は水撃で天使を皆殺しにするぞ!』
「ふふふ、期待してるよ・・・活躍はちゃんと伊月に報告するから」『『おお!』』
意気揚々とジャンヌ達の元に向かう格さんと、気合十分の助さん・・・ほんとに扱いに慣れてきたな。はるか。よし!私も準備するか!【胡蝶】【キング】頼むぞ・・・【シャル】は私の肩に待機で「仕方がないにゃ〜」相変わらず偉そうだ。
<ジャンヌ・このはサイド>
最近、このはの様子がおかしい。しばらく思い詰めた様子だったが、ガイアに到着した際に何か決意を固めたようだが・・・
ジャンヌの私が魂の9割を占めているため、このはの暗黒化が進んでいたのだが、伊月に洗浄された今では完全に神聖属性になっている。だが、このはの暗黒化が止まらない。伊月に相談したのだが「まあ、なるようになる」と曖昧な答えだった。
大事な決戦前なのに・・・このは、一体なにを考えているのだ!
<神獣3姉妹サイド>
『タツキ、ムース、二人は兎に角戦場を引っ掻き回す。これに徹してね』とアリスが簡単な作戦を指示する。
『アリス姉様、それだけでよいのか?』とのタツキの問いに『今回は初陣だから、個人戦に集中すればいいよ。私も余裕なさそうだし』と、答える。もう伊月の頭の上に居るだけの私ではない。
『魔法を撒き散らして、がんばる!きゅ〜』とムースも気合充分だ!
<伊月サイド>
ふふふ、娘たちが頼もしい!まあ。色々問題は出るだろうが、しっかり経験を積んで欲しい。
「娘たち!あんた達が最強の神獣になるための出発点だよ!怪我しないように頑張りなよ!」
『『『おーーーー!!!(なのじゃ)(きゅーー)』』』
「みんな!相手の羽虫どもの話は聞く必要なし! 戦闘開始だーーーーー!!!」




