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028話 総長、女神マーキュリーとの対策会議

激しい戦闘訓練は1ヶ月程続いた。能力に任せ努力を怠っていたマーキュリーの神獣5体と、力に目覚めたばかりの我が娘の3姉妹とチーム月姫メンバー。神獣5体と月姫達には、ストレス満載の地獄の特訓、幼少の3姉妹には基礎を中心にみっちりと可愛がりながら教育した。


特訓開始当初、マーキュリーの神獣達は何かのくだらない矜持?で能力の向上はあまり進まなかったが、光輝の加入により状況は一変。万年を生きる最年長の神獣で尊敬の対象という事、能力も一流だった事もあり、士気が向上していった。


光輝の戦闘能力は防御のみ。だが私の改造で障壁を神聖属性と暗黒属性で生成出来るようになり、さらには元の幻術での偽物の障壁も混ぜて幻惑する。この障壁群の中を抜けるものは皆無だった・・・総長、伊月以外は。

虚実混ぜ合わせた障壁をさも知っていたように見破り、安々と光輝に一撃を入れた「なんじゃ!?眷属になると行動も読まれるのか?」との光輝の失言に「バカか!?こんなの瞬時に判断出来るだろ!」と殴り飛ばされていた。

伊月の説明では「お前、魔力節約して障壁に物体が衝突する場合にだけ、硬度強化してるだろ?あれ、オートか?でも、接触直前で障壁の魔力が増える、その有り無しで虚実判断できる。すぐに分かるよ〜 要改善だね!」・・・だれもそんな変化には気づかなかった。光輝も「そんなの、普通できんわ」とぼやいていた。

で、伊月が手本を見せてくれたのだが、各種属性障壁、氣力の障壁、幻術の障壁、これは幻術だよ!と思わせぶりな障壁もある。それ以外にも、障壁自体が隠蔽され認識できないものもあった。さらにはランダムに入れ替わる鬼畜使用だ。虚実、隠蔽、ランダムと認識が全く追いつかない。しかも、一部の障壁に触れると対象を捕らえて牢獄になるのだ、これは幻術の障壁にも適用される。そして牢獄内では、各種属性の魔法攻撃に襲われる。「これ位は必要だよね、しかも捉えれば攻撃ができるし」と言われ、光輝は呆然としたが「せっかく若返ったのだ、色々楽しませてもらおうかの」と獰猛な顔になった・・・パンダなので可愛らしく見えるが。

だが、尊敬の対象の飽くなき向上心を見て、自身の向上を願わないものはいないだろう。


休養日翌日の早朝、神獣光輝にまたがる伊月と女神マーキュリーが現れる。もふもふの光輝にまたがり徘徊する、ここ最近の伊月のマイブームだ。タツキ、ムースは嫉妬でしかめっ面をしているが、たまに寝る時は伊月に抱かれて寝ているので、それで我慢している。


先程目覚めたばかりの女神マーキュリーは、目の前でビシッと全員が整列して私と伊月を迎える光景に驚いていしまう。しかも暴れん坊のララムまでも大人しく整列している。

「能力任せの二等兵を、少将位までは鍛えたよ」と気安くいうが、数千年の停滞をわずか1ヶ月で払拭した伊月に手腕に脱帽だ。


「お前たち!ようやく女神マーキュリーが目覚めた!幼女だった女神が少女位には戻ったぞ!さらなる時間は掛かるけど、大分安定したので安心して欲しい」と伊月が話すと、女神の神獣達はほっとした様子だ。

「で、だ!ついつい軍事訓練に励んでしまったけど、本来は女神との会議の予定だったんだよね、だから今から会議します」女神自身もすっかり忘れていた!そういえば、伊月の目的を聞かないといけないのだ!


さくらがテーブルと人数分の椅子を氣力で作成しているあいだに、転移門を開き天界ガイアにケーキを調達に行く立花、はるかとこのはは紅茶の準備を開始する。


「あの、わずか1ヶ月ですか?皆様が別人のようですが?あれは高難易度の空間操作のゲートですよね?・・・それと、我が神獣達もすっかり落ち着いたようですが?」と伊月に問うと、コツンと頭を小突かれて「あんた、可愛がるものいいけど、〆るところは〆ないと。こいつら全く使えなかったわよ!護衛も任せるのなら、最低でも模擬戦はしっかりさせないさい・・・(女神もみっちり鍛えようかしら?)」と怒られた上に不穏なことを呟いている、聞かなかったことにしよう。

ただ、我が神獣以上の驚異になる存在は我がマーキュリーには存在しないのだ。なぜ鍛える必要があるのだろうか?

その脳内疑問を察知されたようで、鼻をつまみ引っ張り回された「ひはい!」「外界から現に私達が来たでしょ!私達が侵略者だったら、どう対応したの?」と言われてしまうと言葉もない。

「しかも、既に私達以外で『神への神罰』を目論む存在が、この天界に根を張っている・・・としたら?」さらなる伊月の言葉に驚愕したのだった。


ケーキと紅茶が配膳されたところで「まずはケーキ食べましょう!」と食べだす伊月達、私達も食べるが・・・「えっ!?なにこれ美味しい!」極上甘味の魅力にノックアウトしたのだ。


<伊月サイト>


女神がケーキを食べた瞬間の驚愕を読み取り「堕ちたな」と勝利を確信する。あのラーメン国での建築物を見ると(あの国貧乏そうだったけど)中世程の文明だった。料理文化も低レベルなのでは?との予想が的中した!・・・勝ったな!

「女神マーキュリー、いや私達の仲なのでキュリちゃんと呼びましょう!」と言いながら、キュリちゃんを膝の上に乗せる。「キュリちゃん、正式に眷属になれば、天界ガイアが誇る立花財閥の超一流パティシエが腕を振るった高級甘味が定期的にいただけますよ〜 しかも天界ガイアでも超希少な世界樹産の素材でだよ!」


「なります!」

・・・即答だった。猿公が頭を抱えているがケーキはしっかり完食している・・・神も結構ちょろいな。


「まあ、実際には眷属という上下関係ではなく、共闘!パートナーになって欲しいのよ・・・まずは、この天界に巣食う、共通の敵を打倒するために、ね!」と話すと、猿公ムンバが「伊月様が懸念する程の共通の敵とは・・・それほどのモノなのでしょうか?」まあ、そうだろう。知らないんだから。


「最近現れた私達が警戒しているのに、あなた達が認識出来ていない、それこそが脅威と思うけど」との発言に、殺気を交えたピリッとした空気に包まれる。いいね!成長してるよ!

・・・さて説明は「概要は立花から説明させるわ」と丸投げした。

しぶしぶと話し出す、立花の説明は・・・

 ・過去、天界ガイアで大戦争を起こした、他種族排斥思想の神人族が神の裁きを受け、各天界にちりじりに逃げた。

 ・そのものは「ナチス・タルタリアン」と名乗り「神への神罰」を目標にしている。

 ・ナチス・タルタリアンは各天界の神に連なるもの、眷属や幻獣、神獣等を捉え、実験体にして「神の力」の研究をしている、私とアリスも狙われた。

 ・既に天界マーキュリーでも、拠点を築き勢力拡散中。

 ・そもそも伊月はラ・メール国の魔法使いが、強制召喚したために無理やり連れてこられた・・・で、この高度な魔法を教えた存在は?


話を聞き、半信半疑のマーキュリーの面々に「まあ、実際に見てもらったほうが早いかな?」と世界樹のはるか下方に目を向ける。「あんたたち、あそこに飛行体が居るの分かる?」と質問すると


「!!!」『『『『『?』』』』』・・・女神以外は分からないようだ。

「キュリちゃん、どう?」

「わずかにゆらぎのようなものが感じられます」さすが女神だ。

「本当に、あの辺りに飛行物体が存在するのですか?」これは神獣ジェルエ、自身の隠蔽に自信があるので、それ以上の存在が信じられないようだ。

「今は、世界樹の上まではこれないようだけど・・・みててね」と氣力で槍を生成、それに暗黒力を纏わせる・・・女神や神獣はこの力が苦手のようで引き攣った顔をしている。ナチス・タルタリアンもそれを認識しており、暗黒属性への対策はほぼ皆無なのだ。生成した暗黒槍を無造作に投げると、安々と対象に突き刺さる。円盤型が姿を現したので「みんな!回収〜!」と声を掛け、円盤を引き上げる。槍に例の金糸を付けていたのだ。


円盤を神の座に引きあげると、脚を出して着陸。下部の昇降口が下がっていく。「ついに神の座に到着した!黄金十字勲章を頂けるぞ!」とか騒いているが、神人族の足が見えたところで、定番になった雷球を投げ込むと「ぎゃびびびびびびい〜」と確保完了だ。こいつらがアホで助かる。


「立花!おみやげ!」というと、そそくさと四天王総出で円盤と捕虜をゲートの向こうに移動していった。「ああ、あれを天界ガイアで研究するんだよ・・・これで5機目かな?」玄武を強奪したので、世界政府に対して円盤と捕虜で点数稼ぎをしている所だ。

ちなみに斎宮内親王には挨拶済みで「仕方ないね、玄武、いや光輝を頼むよ!・・・モフかわいい!またもふらせてね!」と了承済だ。天皇は不満げだったが、皇后に光輝をモフらせ味方につけたら陥落したよ。パンダの人気はすごい!しかも触れるし、モフれるのだ、もはや無敵だ!


「・・・あれが、既に5機も」天界マーキュリーの面々は呆然としている

「神への対策は進んでいるようだね・・・だからこその驚異、分かった?」無言だが了解の意思を感じた。

「現在の一番の問題は、認識が難しい、と言う事。私も50km以上は難しいかな?今のは円盤だけど、あんた達神獣の捕獲用武器でこの技術を使用されたら?」私の言葉に、ようやく危機が認識できたようだ。

ナチス・タルタリアンから鹵獲した、この世界の詳細な地図を広げ「ここが拠点、一度見てきたけど戦力は中々のものだよ。でも、嫌がらせで・・・」ダークスライムを含めた、各属性のスライム戦士のゲリラ戦闘を報告すると、あきれられたよ。ちなみに、我が戦士たちは一人も欠けること無く戦闘を続行中で一度帰還の予定だ・・・そして、データ収集で得た情報を元に、アップデート予定だ。

さて、ナチス・タルタリアンの戦力だが・・・立花!」丸投げだ。しぶしぶと話し出す、立花の説明は・・・

 ・神に対する隠蔽技術は非常に高度。

 ・神聖属性への探知能力も高い(神聖属性スライムで検証済み)。

 ・障壁の展開能力と強度も非常に高い。

 ・各種属性が使用可能の魔法銃が確認されている。

 ・神聖属性を含めた各種属性への研究は大分進んでいるようだが、暗黒属性への理解度はまだ低い。

 ・ただ、中心部の施設の防御が高度で手が出せていない

まあ、暗黒属性は身近にいると精神を病むから難しいだろう。ただ暗黒属性持ちの生命体の協力が得られたら・・・「ちなみに、暗黒神っているの?」と聞けば「・・・」無言で返された・・・これは居るね。接触されると困るな。


<ゲリラ戦闘中の聖光スライムサイド>


主の命令を受け、ナチス・タルタリアンへのゲリラ作戦を開始したが・・・施設全体を覆う障壁の強度には辟易した。各種属性スライムの攻撃は一切効果なし。神聖属性増し増しなため、ダークスライムの腐食にも強い、あれを食べたらお腹壊しそうだ。私達での中和を試みるが、相手側の神聖属性への感知能力が非常に高く近づけない。しかも、障壁の内側からは高速の属性魔法?を射出してくる。銃タイプ?

これを打開したのが、土属性スライム。日本の籠城戦定番の穴を掘って地下からの進入作戦だ。相手側も対策はしているようだが、神聖属性の障壁は地下20m程、そのさらに地下から侵入した。地質自体に猛毒を混ぜていたようだが、それはダークスライム達が美味しく頂いた。

そして、徐々に穴を広げ、各所に出口も作った。そして、近隣で鹵獲したウルフ系の魔物を数十匹程放逐して警備体制を確認する。円形の障壁に沿って放射状に作られた街は、外周を住居区で囲まれている。中心部が重要施設のようで、中央区ほど警備が強固だ。

狙いを住居区に決め、ウルフ系、虫系を中心に魔物をばらまく。相手側が抜け道の調査を開始したところで、穴掘り中に遭遇・捕獲したワーム数体を放ち、偽装犯人の特定と混乱を助長させた。

その混乱のさなかに、我が部隊は地下の下水網からのゲリラ戦を開始した。生活用関連施設の徹底破壊だ。

ナチス・タルタリアンは空気中から何らかのエネルギーを取り込み活用しているので、その取り込み機器を中心に腐食散布による劣化を促進。併せて浄水施設の腐食による劣化促進と水魔法による水質悪化、風魔法による周辺施設の破壊と土魔法による住居基礎部破壊、火属性による火事など、ライフラインの破壊に尽力する。時折障壁外に出て、魔物の調達や目をそらすための攻撃を仕掛けている。

そして住居区の大混乱の乗じて、中央施設へのスパイ活動を狙ったのだが・・・中央施設を覆うさらなる障壁に苦戦中だ。

主より、一時撤退命令が出たので、侵入経路を一時封印して撤退を開始するも、1体のダークスライムが拒否。全面抗争を提案してきたので、聖光スライム数体で捕縛して連行した。

そして、六花様のゲートにて、我々は伊月様のもとに向かうのだった。


<伊月サイド>


スライムたちの報告を聞こうとしたが「そういえば、しゃべれないよね」と、リーダー格の聖光スライムに神聖力をドバドバ与えて強化する。「よし!あんたはスライム部隊の筆頭将軍、名前は『皐月(さつき)』だ!・・・いい機会だし、なら私の騎士団を作ろうか!名前は・・・【新月騎士団】あんたは入団第一号だ!よろしくね!」1m程の球形になりホーリースライムとなった筆頭将軍『皐月(さつき)』は感涙に咽びながら「ありがたき幸せ」と答えた。


「六花さん、あの・・・伊月はあんな簡単に配下を作るのですか?」と女神は疑問に思う、だが立花の回答は「神になってから、創造召喚?でポンポン作ってますわ。神とはあれが普通ではないのですか?・・・いえ、失言でしたね、あれは神になっても非常識なんですわね」と質問を自身で完結した。とても苦労してそうだ。

「はい、私の知る限りでは。私なら10年で1体が限界です、しかも低レベルで非効率なので作りませんね。」と二人でため息をつく・・・なにやら外野がうるさいね。


とりあえず、取りまとめは立花に丸投げして報告を受ける・・・住居区から攻めるとは、なかなかな逸材だ!立花も物欲しそうに見ているので、ホーリースライムの将軍格を1体作成した・・・アメも大事だ!「しかし、先日のダークスライムを含めて計10体は渡したし、おまえの特殊部隊がスライムだらけになりそうだな」と言うと、なぜか張り切りだした・・・立花、あんたスライムも好きなんだね。

そして、命令違反のダークスライムが連れてこられたが・・・みな同じに作ったはずなのに、こいつだけ能力が高い。命令が不服だったのか?私に飛びかかってきて、顔に張り付き腐食で喰らい尽くそうとする。


「面白い!いいねあんた!」気に入ったよ!

逆に神聖属性の白い炎で燃やして、苦しむダークスライムを楽しげに見つめる。

「あんたは、見どころがありそうなので、私の騎士団の独立遊撃部隊の隊長にしてあげる」暗黒力に炎属性を混ぜたものを与えると、濃いワインレッドのスライムが完成した。「おお〜、おまえは話が分かるな!これでやりたい放題だ!ヒャッハー!!!」と喜ぶが「ちなみにお前の名前は『雑魚(ざこ)』だ。」と言うと怒り狂って攻撃を仕掛けてきたが、また白い炎で燃やす。


「うちはスパルタなんだよ雑魚ちゃん。自分勝手したいなら私よく強く!だよ。それまでは、私に燃やされないように自分を見直して、部下を導き立派になるんだよ!・・・部下いないけど」

そして、さくらとこのはに「性格以外は有能そうだから、この雑魚をみっちり鍛えてあげてね」と丸投げした。



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