025話 総長、修行開始・・・まずは戦闘能力チェック④
危なかった〜 まさかこのはが、心、魂で暗黒属性を練ってくるとは思わなかった。あれで5分維持できた(大分侵食されていたけど)のは驚いた。丹田からなら今の5倍は維持できるだろう。
私の方は、業力の運用に問題ないことに大満足だ。実際に全身使用は初めてだったけど、今回の進化で並列思考が使えるようになったのが大きい、シュミレーションも精密にこなせ、とても助かっている。
「さて・・・次は誰にする?」
『は〜い!母様!私が対戦するのじゃ〜』お、次はタツキか?さらっと見せてもらったがバランスのいい力だった。出来れば、今回は人型の【竜帝龍姫】をしっかり鍛えてあげたい。
「了解、でもサイズは3m程に押さえてね」ここで、サイズ20mの【罵刃夢翔】などを使われたら一帯が焦土と化しそうだし、その場合、女神へのご挨拶も叶わなくなる。
ちなみに、なぜ女神のお膝元で模擬戦闘をしているのか?という理由は、戦闘能力チェックはもちろんだが、単純に女神への示威行為だ。あの犬っころのように鉄砲玉の配下もいるようだし、出来るだけスムーズに会いやすくしているのだ。だからこそ、先の業力も披露したのだ。
<タツキサイド>
母様には全力で!と【罵刃夢翔】に変身するが、母様はなにやら不満そうだ。なぜじゃ?最高戦力で立ち向かおうとしているのに?母様はため息をついて話し出す。
「タツキ・・・3mの制限あるんだから【罵刃夢翔】は悪手でしょ」・・・えっ!?でも、すべての力が強化される、私の最強の力には間違いないのじゃ!そう思い、少し反抗してみた。
「でも、母様!これは私の最強なのじゃ!サイズが3mでも!他のどの力より強いのじゃ!」と言うと、黒い顔になった暗黒龍がそこにいた!こ・・・怖いのじゃ!?
すると、慌ててアリス姉様が、母様の頭の上から私の頭の上に飛んで移動してきた。
『待って!待って、伊月!教育はじっくりと!ね!』と慌てて止めるが「アリス・・・私はね、タツキの力を見てバランスの取れた良い力を得た!と、喜んでいたのよ・・・なのに、力、パワー至上主義になるなんて。偏った間違いを正すのも、母親の努めなのよ!」
「まあ、アリスがそちらに付くなら、それでもいいわ!二人まとめて修行よ!・・・アリスは、まだ安定してないけど、ボコボコになるのも勉強ね」と、体を金色に輝かせて【剛力】を発動させたので、私とアリス姉さまも未熟ながらも【剛力】を発動させる。アリス姉様との共闘は心強い。
と、思ったのだけど『ああ〜本気だ・・・タツキ、二人でボロボロになろうね』だって、アリス姉様・・・。でも、二人でなら互角は無理だけど、ある程度健闘は出来るんじゃ?と思っていた。後で振り返ると、吐き気がする程の甘い考えを抱いていたのじゃ。
「まずは、タツキちゃんには空戦仕様と思っている【神聖龍王】が、どれほど大事か教えてあげましょうね〜」と言った瞬間!消えてしまった・・・移動音も何もしない、気配すら感じないのじゃ!?
ただただ静寂、周りの皆も、これからの惨劇の始まりの予感に息を飲んでいるようなのじゃ『あ、アリス姉様!?か、母様の気配が全く感じられないのじゃが?』『私も、感知不可・・・もう止められない、せめて防御はしっかりね』・・・アリス姉様が頼りない。
などと話していると、後ろから私とアリス姉様をガシッと掴む手が・・・掴まれて初めて気がついた。「ほら、自由自在に大空を舞えば、こんなことも出来るのよ・・・気配を消してだけど。力だけじゃ駄目よね〜 タ・ツ・キ」・・・怖気が走る、母様怖い!でも反撃を!・・・既に母様は居らず、粘着質の物質で絡め取られていたのじゃ。あれは手では無かった?もしや、スキルのスライム?
自由に動けない状態で寝転がり、空を見上げると、母様が空から私達を見ていた。「【剛力】を前面展開して、高速で突っ込むと・・・どうなるのかな?」と、高速でこちらに降ってくる母様、今度は動きが見えるけど、きっと意図的なのじゃ!そして、両の拳を前面に伸ばして私達の3m横に衝突し、轟音とその衝撃で吹き飛ばされた・・・衝突後には10m程のクレーターが出来ていた。衝撃音でバカになった耳元で「衝突直前で【剛力】を爆ぜさせると、とても効果的なのよね」と聞こえた。その後、衝突の影響で拘束が解けたので、二人で反撃を試みるものの、姉様の予告通り、さんざんに翻弄されてボロボロにされたのじゃった。
<伊月サイド>
拘束を意図的に解いてあげたら、二人共いい顔になってきたよ!・・・でも、一度は厳しさを体験させないと。
私と同じく空戦で勝負しようと思ったのか、アリスは羽を出し、タツキは【神聖龍王】にフォームチェンジしてきた。ふふふ、なら正面からのガチンコで・・・なんてことはしない。力、力と悪い方向に行きそうなタツキちゃんには、はるか(しょぼい作戦)方式での胃がキリキリするような、おしおきが最適だ。
二人を無視して、高速飛行で森の中に飛び込み、木々の隙間を縦横無尽に飛び回りながらの各種魔法攻撃を誘導込で的確に狙い、木々たちに魔力・氣力を与えて死角から攻撃してもらったり、所々に遅延魔法の罠を仕込んだり、創造魔法でダークスライム(弱弱弱)を作って襲わせたり、気配を消して長距離からのビリッと弾で何度も狙撃したり、最後は二人を指定の場所に追い込んで、からの〜熱線(弱弱弱)を雨あられと降らせて降参させたよ・・・やりきったねwww
「さて、タツキちゃんが信奉する力は役に立ったかしら?」と言うと、タツキは押し黙った。
<タツキサイド>
母様は、押し黙った私に反省点を説明する
・戦闘相手には、必ず同格や格上、という想定をして戦闘に望む事。
・相手を撹乱しながら、相手の力量を図り作戦を立てなさい。なんならそのまま弱らせてから〆てもよし!今回のように、ね。
・せっかくの模擬戦、本来なら対人で鍛えたい【竜帝龍姫】でいいはず。【罵刃夢翔】という強力な力を得て傲慢さが出たのでは?
・10分も使えない【罵刃夢翔】は、あくまで最終手段で使うべき!維持で10分なら、全力戦闘ならおそらく3分持たないはず、あとで確認してみなさい。
・しょぼい戦闘方法を習得するために、はるかに弟子入りしなさい!
・・・私は強い力を使えば、何事でも、どうにかなると思って天狗になっていたようなのじゃ。母様に「私、今回強い攻撃使った?使ってないよね?でも、あんた達は既にヘロヘロのボロボロ。今の状態で【罵刃夢翔】に襲われたら、どう?」と言われて納得できた。よくよく考えれば、母様も力に任せた戦闘などはしていなかった。母様なら氣力で一蹴出来るのに・・・
反省して、アリス姉様にも、かばってくれたお詫びと、お礼を言った。アリス姉様はうれしそうに笑っていたが、私は少し照れてしまい「でも、戦闘中はかっこ悪かったのじゃ」といって、ひどく落ち込ませてしまった。
でも、母様には「ああいう精神面への攻撃も効果的!早速私の意図を察してくれたね、でかした!」と褒められた。どうやらアリス姉様が私に味方したのを拗ねているようだ・・・暗黒龍からやさしい母様に戻ってきてくれて、ほっとしたのは内緒なのじゃ!・・・二度と暗黒龍状態の母様に襲われないように、と心に刻むのだった。
「さて・・・最後は立花だね?かわいがってあげるよ〜」
<立花サイド>
まずいわ!アリスちゃんがタツキちゃんに味方したのが、とっても不快なようだわ。そして私はそのストレスのはけ口に〜「そんな事しないわよwww」と言っているが・・・あやしい。
「あなたは、バランスよく対応出来ているから確認の必要は・・・そうだ!獣化を確認しましょう!獣化状態での【剛力】発動!どれだけ強くなるのか?気になるでしょ!」と言われ、その気になってしまった・・・罠とも知らずに。
伊月にアシストしてもらいながら、獣化を試みる。練りに練った氣をしっぽに、魔力を耳に、それぞれ充当するのがコツのようだ・・・そういえば人間の耳があるのに、なぜケモミミまで増えたのだろうか?
獣化用とか?なら人間の耳が無くなっていてもおかしくない・・・そもそも、4つも耳が必要な理由が分からないわ。聞こえが良すぎてうるさくて困るし・・・正解は伊月に改造されたからであるが、立花が真実を知ることがあるのだろうか?
2mサイズに獣化が成功し、そのまま【剛力】を練り上げる。すると、体中がほんのりと金色に輝き、体長も3mになった。力も充実しており、嬉しさで尻尾をゆさゆさと振っていると、ガッチリと尻尾を伊月に掴まれた。
『なに?なんですの?』と聞くと、神妙な顔をする伊月「実は・・・」と口ごもる。いつもハキハキと発言する伊月とは全くの別人でしおらしい。少し心配になり『私に出来ることがあれば』と言った瞬間、ニヤリとする伊月、わ、罠だった!?
「実はね〜 あのときの、もふもふが忘れられなくてね。そして【剛力】でさらなる毛質の向上が見込まれるのでは?と思っていたのだけど・・・予想以上の効果に感動だわ!・・・も、もふもふ!我慢できない!!!」と襲われモフられた。
その後、目の色を変えて追いかけてくる伊月と二人、森中を追いかけっこで駆け回った。そして、モフられては逃げ、また捕まってのもふもふ、の繰り返し。タツキちゃんとの戦闘の焼き直しのように、様々な罠を仕掛けられた・・・ダークスライム怖い!
お陰様で獣化状態での体の使い方、獣化への变化、解除、魔法発動など、一通りの力を使いこなせるようになった・・・動機の1割ほどは、修行目的ではあったようだ。
最終的に、木の枝に両手両足を縛られて、「このもふもふ、癖になるわよ!」と皆の前まで連れて行かれて、全員にモフられて終了した・・・私に顔を擦り付けるさくらが熱烈なモフらーだったのには驚いたが・・・もう二度と御免である。
「いや〜 立花最高だったよ〜」と言う伊月の足に噛み付いてやったが、これも罠!肌に牙がひっついて外せない。そして「耳が最高!」と、ケモミミを重点的にモフられるのだった・・・く〜っ、悔しい!!!
・・・今度は牙に毒でも生成できるようにするわ!打倒伊月よ!
<伊月サイド>
いや〜!立花のもふもふは素晴らしい!最高だ!・・・って、「立花!そうえばあんたのステータス見忘れてたよ〜」と言うと「あんたがもふもふに夢中だったからでしょ!」と怒られた。確かにそうだね、反省だ。
<ステータス>
名前:六神立花
年齢:18歳
性別:女
種族:妖狐族(元耳なし)(伊月の眷属)
存在値:規格外
<マスタースキル>
◎氣力操作:氣力の精密操作(取得条件:氣による身体強化・身体硬化・障壁展開・索敵を覚える)
◎魔力操作:魔力の精密操作(取得条件:魔力へのイメージ反映、複合魔法、魔力操作)
◎九尾妖狐:尻尾の本数が9本になると・・・
◎獣化:妖狐に变化可能
<称号>
◎氣王:膨大な「氣力」を所持
◎魔王:膨大な「魔力」を所持
◎妖狐族の王:現在、唯一の九尾候補者
◎伊月のライバル【ツンデレ】(伊月のことなんて、大好きでもなんでも無いんだからね!ピンチのときは頼むぞ)
「「・・・・」」
<立花サイド>
色々困惑する記載があるのですが、最後の称号は・・・「なんか突っ込みどころ満載だな、なあ、ツンデレちゃん」と、伊月にからかい気味に言われて、顔が真赤になったので恥ずかしくて逃げ出した。もちろんすぐに取り押さえられた。そしてしばらく「ツンデレちゃん、私は大好きだよ〜」と散々からかい倒された。
私が落ち着いたところで、ステータスチェックを再開する。「なんで、お前もはるかと同じで耳なしなんだ?」そんなの知りませんわ!生まれたときからありませんので、と考えていると「うむ、それを改善・改造した、私は正しかったね!」と胸を張る伊月。ついに犯人を発見した!!!しかもはるかも同じ被害者だった!!!
「聞きづてなりませんわね!伊月が私達の耳を改造したのね!・・・はるか!犯人こいつよ〜」と、【剛力】を発動して二人で伊月に襲いかかるも、どこからか現れたダークスライム達に取り押さえられた。こんな拘束すぐに!と力を入れるが、柔軟でなかなか振りほどけず、徐々に力を吸い取られる、やっぱり怖い!・・・でも、逆にこれは便利ですわ、ダークスライム。私の特殊部隊に欲しいですわ!
次の話を進めるために二人を開放された時に「許すから、このスライムを是非私の特殊部隊に!」とうるさく請い願い、消滅予定のダークスライムを延命してもらって譲り受けることにした。
「こいつらは何でも食べるので、ゴミ問題が解決するかも?放射性物質もいけるぞ!・・・核ミサイルも美味しく頂ける、たくさん作れる、ってアメちゃんにいっといて」と教えてもらった。
それはいい!そろそろ伊月の周りをチョロチョロしているアメリカさんに引導を渡しますわ!
「お前たちと話すと、肝心な話がちっとも進まない!本題!本題!」と怒られながらマスタースキルの【九尾妖狐】の説明について、話し合う。「尻尾の本数が9本になると・・・」って、少し不気味な記載だ。はるかも不安そうだ。「いっそ、私があと3本増やそうか?」と伊月にバカなことを言われ、二人でキレた。
「いきなり増えて慌てるよりも、準備万端状態で増やしたほうがいいと思うけど」ともっともな事をいうが、「面白そう」が9割を占めているのは一目稜線だ。
「そうはいうけど、もう7本になってたけど」と伊月に言われて、慌てて獣化すると・・・たしかに7本、1本増えてる。なぜ?と要因を考察していると「もふもふ〜」と伊月に捕まり、さくらが飛んできて、また皆にモフられた。話が進まないのはあんたも一緒だわ〜!
とりあえず、【九尾妖狐】の件は保留した。尻尾が増えた原因は「そんなの【剛力】に決まってるじゃん」と言われて納得。強くなればなる程尻尾が増えるってことだね。
最後の、称号【妖狐族の王】については、はるかと違い、妖狐族の住む場所に行けば「王」として歓待されるということだろう。こちらは伊月の「行って、ムカついたら宣戦布告する」で話は終了した。さすがに妖狐族の住処は情報がないので、これ位でいいだろう。
その後しばらくは、伊月とさくらに「9本にしよう!」「もっともふもふ!」「もふもふは正義!」などなど、うるさくて仕方が無かった。




