幕間008 娘達の進化状況(タツキ)
金糸の繭から金色のブレスが飛び出し、ブレスで空いた穴から50cm程の龍が飛び出してきた。その龍は金色に輝いており、右手には金色に輝く如意宝珠を持ち、左手には七色の光に輝く宝玉を持っている。
「アリス姉様〜!ただいまなのじゃ〜 さすが母様の力はすごいのじゃ!あまりの膨大な力で死んじゃうかと思ったのじゃ〜」と明るい声で、アリスに話しかける。
「大変だったね〜」と、顔が溶けるのでは?と思ってしまう程に締まりのない笑顔を向けるアリス、その両脇でドン引きしている妹専属報告員2名「・・・なあ、もし妹殿達へ粗相をしたら、私達殺されるんじゃ」・・・聞こえてるよ?答えは『是』だ!
「ありゃ!?アリス姉様の新しい力は、その二人なの?」と聞いてきたので、色々な調査部隊【アリスの赤備え(あかぞなえ)】を召喚可能になった事をつたえ、「この二人はタツキとムースが単独行動した際のサポート要員になるから、今後よろしくね!・・・出来れば私自身が同行したいけど!!!」と説明する。
「単独行動!?やったのじゃ〜!ようやく一人前と認めてくれたのじゃ〜!!!」と大喜びでアリスの周りを飛び回る。ほんとにタツキちゃんはかわええの〜・・・「おい録画!・・・一瞬たりとも・・・ぬかるなよ!」との指示は忘れぬシスコンであったwww
一通り喜んで落ち着いたタツキに「じゃ、タツキのステータス確認しようか」と声を掛け、詳細を確認する。
<ステータス>
名前:タツキ(伊月の次女)
年齢:対象外(不老のため)
性別:女
種族:神聖闘氣龍【幻夢】
存在値:対象外
<マスタースキル>
◎氣功砲(熱線、あらゆる物を溶かし吹き飛ばす)
◎神聖ブレス(あらゆる物の構成を組成・分解・解放する)
◎幻夢(戦闘力強化3段形態)
【神聖龍王】・【罵刃夢翔】・【竜帝龍姫】
◎迷彩色(周囲の景色に同化可能)
<称号>
◎暗黒龍のお墨付き(清く正しく!思いのままに!)
「変わった内容を一つずつ確認していこうか。まずは・・・おっ!?種族名が少し変わっているね。【幻夢】・・・が追加されてる。これは?」
タツキは誇らしげに「むふー!!!それはとっておきなのじゃ!一番最後に教えるのじゃ!」・・・かわいい!うちの妹最高!!!・・・おい!撮ってるよな!?
「そうなんだ〜それは楽しみだよ!・・・えっと、次は・・・へえ、攻撃方法が氣功砲と神聖ブレス2種類になったのね・・・氣功砲が熱線仕様に変更されて・・・神聖ブレスは、構築と分解。なんというか結構ヤバめな仕様だね」たしかイツキが神聖魔法の効果は構築と分解と言ってた。「治療は再生ではないの?」と聞いたら、治療は基本的に構築で行っている、って。なら分解は?と聞いたら、分解は結合の解除で、原子レベルで分解出来る、と言ってたな。またイツキはすごいものをタツキに渡したものだ。でも、解放ってなんだろ?
「ねえ、タツキ。この解放って何?」と聞くが、タツキもよく分かっておらず、「縛りからの解放?とか言ってたのじゃ!」との事だ。おそらくは魔術的な隷属の解除や、呪術的な呪い等の解除なんだろう。タツキも「その状況になれば、自ずと使い方を理解できるのじゃ、きっと」との事だったので、様子見にしよう。
「母様の言いつけどおり、この力は皆を守るために使うのじゃ!・・・でも、やり過ぎたらフォローお願いなのじゃ、アリス姉様!」・・・キャーーー!!!上目遣いのタツキ!!!タツキちゃんが〜!!!かわっ!!!
「ふふふ、任せてよ!・・・無理ならイツキに押し付けるけどねwww」・・・はわわ〜 面倒事は私に押し付けろ!って、絶対イツキの指示だろうけど・・・だろうけど・・・グッジョブだ!!!イツキ〜!!!!伊月に対する忠誠心が急上昇するアリスであった。
「ゴホン!・・・最後は・・・マスタースキルにも【幻夢】ってあるけど・・・3段形態って?先の種族名とリンクしているの?」と聞くと、タツキは誇らしげに「そうなのじゃ!さっきの種族名の【幻夢】に関係してるのじゃ!これは実際に見たほうが早いのじゃ!!!」と、言った後に徐々にサイズが大きくなる。
「ここでは広さ的に無理だけど、10m程の大きさに慣れるようになったのじゃ!これが大空での戦闘に特化した【神聖龍王】なのじゃ!」サイズだけで形状は変わらないようだ。
「へえ、これなら戦闘だけではなくてタツキに乗って皆で移動出来そうだね」・・・出来ればタツキを私に乗せてあげたいのだが。「そう、そのためでもあるのじゃ!」「ふふふ、楽しみにしてるよ」・・・ああ〜!!!ほんとに楽しみ!!!!!
「で、次は・・・」ん?次?「えっとタツキ?もしかして3段形態って?」・・・大きくなる以外に別の形状に変形するのかな?
「むふふふーーー!!!おそらくは母様のマスタースキル【スライム】の応用なのじゃ!次は殲滅形態【罵刃夢翔】なのじゃ!」とのタツキの言葉と同時に、龍の体が変形して竜の体に変形した。これこそ西洋竜!ドラゴンだ!しかも鎧まで装備してる・・・そうだよね、ラノベ脳の伊月なら【バハムート】は定番だよな〜、それをタツキに・・・少し遠い目をするアリス。
「これは20m程大きくなれるのじゃ!この形体は表皮強化と鎧で防御力が大幅向上、しかも力もブレスも強化されるのじゃ!・・・ただ今の私では10分が限界なのじゃ〜」しょげたタツキもカワユス!・・・そうだよね、これだけ強化されてリスクなしはないわ・・・しかし、攻撃より防御力強化が圧倒的にすごい。殲滅形体だから戦闘時のリスクも大きいはずだから・・・大概伊月も過保護だよね。
ん?空戦仕様と殲滅仕様の2つだけで攻撃的には圧倒的に感じるけど・・・それなら、最後の【竜帝龍姫】って、何だろ?・・・む?感じるよ!シスコンセンサービンビンだよ!!!これは強烈な衝撃波を受けそうだ、落ち着け!己を律して見逃さないようにしよう!・・・「おい録画!ものすごいの来るぞ!」と報告要員にも指示を出す。
「えーと、タツキ?最後の【竜帝龍姫】って?今までの2形体で戦闘的には圧倒的にも思えるんだけど」さあ!?どんな!どんな?カワユス攻撃でも受けきるよ!?
「母様に『氣力と神聖力をもっと磨きなさい』と言われたのじゃ。それで【神聖龍王】で神聖力、【罵刃夢翔】で氣力を使うようにしたけど・・・・常時使える能力ではないのじゃ。これじゃ鍛えるのは難しいのじゃ」
「まあ、そうだよね。鍛えるなら基本大きくならないと駄目なんでしょ?それだと常に鍛えるってなかなか難しいよね」・・・まあ【神聖龍王】ならある程度鍛えられそうだけど、常時10mサイズで移動するのは伊月大好きなタツキには無理だろう。【罵刃夢翔】などは10分ほどしか力を行使出来ない。それぞれを鍛えられる形体が必要、ということか。
「色々考えて、ようやくひらめいたのじゃ!『そうだ!それなら母様になればいいんだ!』って」・・・「はい?」伊月になればいい?どゆこと?・・・も、もしや・・・!?
「そう望んで、得た【竜帝龍姫】の形体はこれなのじゃ!」そう告げたタツキが変身したのは・・・身長100cm程の5歳時の頃の伊月だった。でも微妙に違う?・・・ああっ!髪と瞳が淡いピンクなんだね。あと服が丈の短めの白いドレスの様な服を着て、インナーパンツを履いている。両手には白い手袋、靴は白いブーツだ!
予想外の幼い伊月の姿に、私が生まれた当時の図書館の光景が脳裏に浮かぶ。ふふふ、ちょっと懐かしいね・・・でも、当時のイツキより100倍カワユスなのはなぜだ!?それは妹だからだ〜!!!!!
脳裏に思い出の図書館が浮かんだおかげで、カワユス攻撃にはなんとか耐えた!「・・・そうか、人型なら詳細なコントロールに向いてるし、なによりイツキとも修行が出来るね!」・・・ああっ!私も人型になりたい!タツキを抱きしめたい!
「むふふーーー!!!そうなのじゃ!・・・・(あと、母様と手を繋いで買い物行ったりできるのじゃ〜♡)」
「この服も、母様のお気に入りなのじゃ〜」
・・・へー?伊月がこんな服にあこがれた事あるんだ?記憶探して、あとでからかおうwww
「ね、ねえタツキ?お願いがあるんだけど・・・」これはやらねばならぬ試練である!!!
「アリス姉様?なんなのじゃ?」
「イツキのように、私を抱きしめて、わしゃわしゃしてくれる・・・なんか新鮮な感じがしそう」・・・鼻血が出ないように気をつけよう!
「分かったのじゃ!・・・そうか!?アリス姉様達ともスキンシップが取れるんだ!すごいのじゃ!?」
抱きしめられて、わしゃわしゃを十分堪能する・・・わ・た・し、昇天していないだろうか?大丈夫?
・・・イツキより100倍キモティーなのはなぜだ!?それは妹だからだ〜!!!!!
さて、最後に聞かなければいけないのは「あと、称号の【暗黒龍のお墨付き】というのは?・・・お世話になったのなら、ぜひに暗黒龍の方にお礼を言いたい」・・・暗黒龍って、かわいい妹に悪いことを吹き込む輩ではないだろうか?早めに把握して滅殺したほうが・・・
するとビクつくタツキ・・・あやしい!「な、何でもないのじゃ!?暗黒龍などいないのじゃ!・・・アリス姉様、この話終わりなのじゃ〜」
「そ、そう?それなら・・・いいけど」
・・・ふむ、やはり暗黒龍という輩の監視部隊を組織するべきか?流石に危険そうな相手なので伊月に相談したほうがいいな?
・・・流石のアリスも暗黒龍の正体が伊月の事だとは気づかないようだ。悪いことを吹き込む輩で間違いないのだが。
それよりも・・・ムースの帰宅に備えてタツキの録画集の編集・提出を急がせるアリスであった。