198話 総長、正義でプリッとプリッとに敗北する
<イツキサイド>
『あっくじはどっこだ〜あっくじはそこか〜だ〜ん〜ざ〜い〜ちょーっぷ〜!正義の聖剣見参だー!わったしのまえに、悪の影などそんざいNO〜!ふーー!』
・・・頭の悪そうな歌を歌っている、こいつをどうしてくれようか?
でも、オリハルコンは貴重だし、壊すのはもったいない・・・あ、自衛隊に下げ渡せばいいんじゃん!
空青となら趣味が合いそうだし、喜々として戦隊の仲間として使ってくれるだろう。
なら、こいつの名付けをして仲間にしておこうか。
しかし、こいつ我が強そうだ。取り込むためには私も正義の神を演じないとな。神聖力をしっかりと纏って・・・
「我が作りし聖剣よ!愛と正義の神である私の思いに、よくぞ答え、生誕してくれた!」
「『『イツキ(様)(ちゃん)が・・・愛!?正義!?』』」
後ろでブハッとワラスしている3つの剣には・・・ゴン、ガキャ、ベコ!・・・げんこつのお仕置きだ。
『うわっ、ものすごいキリ!ピカ!な神聖力〜!でもでも!?正義の匂い?特有なぶわっ〜とが無いわ』
匂い?なんだその理由、ふんわりで意味不明だ。
今度は武威を示すために極神砲を四方八方にバシバシ発砲する。もちろん誰も居ない場所にだ。
「驚かせてすまなかったな。悪事の臭いを感じたので、正義心が疼きつい浄化してしまった」
『ま、まさか次元の彼方の悪意へびゅおーーん!?・・・次元砲!?すごい!ちゃっちゃらーーん!私の未来の師匠!?』
・・・なんだよ次元砲って、知らんがな。いちいち斜め上の回答で困る。無視して話を進めるか。
「実はな、私の眷属に私より正義を貫く眷属神がいて、その相棒にと君を創造したんだ」
『えー!ぶひゃー!私より正義を貫くものなんて、いませーん。ぷりっぷりーー!』
うぜえ・・・やっぱりこいつ壊していいかな?いやいや、短気は駄目だ。そうだ!空青から貰ったアレを使おう!
「ふふふ、この世界を知らない情弱め!浅い!お前の正義は浅すぎる!正義とはもっともっと奥深いのだ!」
『しぇきーん!私の正義があっさーい?ってなによ?私がさいこー!正義の執行者!?なのヨー!』
「ふふふ、なら正義の深淵を見せよう。真の正義の執行者の活躍記録を、目をキランキランにして、しっかりと見ろ!」
おもわず擬音が移った。空青の記憶から入手した「プリッとプリッとオールスターズ♡エターナルソード・ラブ&ピース」という意味不明な題名のアニメ映画を見せる。あいつプリッとプリッとシリーズを欠けること無く全部覚えたんだよ、びっくりだよね。
よし、これで2時間程時間を確保できた。この間にこのアニメを使った洗脳方法を色々考えて・・・と、思ったけど。
『神様神様!ぴっきーん!なんですかこの人族は!私より正義、いや正義しか無い!・・・ぶっぶー、私も負けていませんが・・・こんな正義の塊ゴッデスの人族が!?』
うるせーやつだな。黙って見れないのか?
「はいはい、私の眷属にも居るぞ。せっかく紹介しようと」
『うるさい邪魔です、ビンビンいいところ。いま良いトロコ〜!変身キターー!ぴるるんくるりん!プリッとプリッとシーソルト!悪者は高血圧で苦しみなさ〜い!』
こいつ!・・・ムカついたので動画停止っと。
『・・・神様?どういうことでしょうか?動画が止まってます』お怒り時には擬音ないんだな。でも、ようやくこちらを注視した。対策も思いついたので、もうこっちのものだ。
「無料視聴時間の終了です。この後の視聴については、私との『眷属契約』が必要です・・・ちなみに契約後は保有するプリッとプリッ全シリーズが見放題。動画は1000時間以上あります」
『マイロード!眷属になります!全ての正義は貴方の下に!・・早く続きを!』
現金なやつだな。擬音も消えたし・・・勝ったな!
ダメ押しで、私は悪の暗躍で崩壊した世界を『時間逆流』で再生するために行動している。と告げると、こういうシュチュエーションが好きそうな聖剣は予想通りがっつりと食いついてきた!
『神!神!神様が!悪に屈し崩壊した世界を元通りに!?私の正義を執行する主がきたーーーーーー!最高の職場きたーーーー!』
「だが、今回お前は傍観者だ」『なんで!?正義の私の活躍は!?』
「今回は、主である私の行動を見てお前の進む道を決めろ!廃棄か?私の眷属とぷりっとぷりっとを目指すか?別の神に仕えるか?廃棄か?だ!」
『えっ!?神様は信頼出来るので大丈夫ですよ。それに私が新たなぷりっとぷりっのリーダーです!』
信頼?どういうこと?と聞いてみたら、あの正義の映像の人が『正義の心には正義の仲間が集う』と言ってました、私を作った主が正義です!だってさ。私の神聖力よりアニメのセリフを信用するのか?力が抜けたよ。
「なら、お前の名前は『聖剣ぷりっとぷりっと・ジャスティス・ピンク』だ。もちろんお前が主役でピンク。今後はピンク、と呼ぼう」
面倒なので、好きそうな言葉を並べたら『ひゃっほー!きらりん!あざーっす!きらりん!私はピーーーンク!ジャスティス!』と喜ばれた。
とりあえず別空間を用意して、聖剣ピンクを放り込み、プリッとプリッとの初期からの全編視聴にしてから空間を閉じた。ぷりっとぷりっとに染まった後は、自衛隊がうまく使うだろう。
『お疲れ様、あそこまで正義ズラの聖剣は初めて見たわ。だから神器は嫌いなのよ』
むっちーに慰められた。それとむっちー、あんたも男を『嫌い』の一言で斬り殺す、迷惑神器だからね。
その後、さくっと同じ形状の聖剣を作成して、マキナに移動してもらった。
「・・・二番煎じの剣か。新しいデザインに」
うだうだうるさいので、強引に新たに作った剣に押し込んで強制移動させた。
それに、前の剣とは違うぞ。剣身中央部は黒から昼光色発光にしたし、今度は柄頭に怒涛の魔石を設置したんだから。
「お前が更なる上を目指すなら怒涛に手を伸ばせ、そして怒涛の力を使いこなせば」
「いやいや、こんなの使いこなせんわ!」
まあ、超短時間なら使えるだろうから、もしもの時に使えばいいさ。
「うむ、だがな・・・これでは、あやつと兄妹剣みたいではないか?」
確かにな、でもあの動画集を見終わったら、自身の体をピンク一色にしてくれって希望してくるだろうから問題ない。あのアニメは原色が鬱陶しいくらいだからね。
「まあ、正義バカな妹剣の姿を見て『偉い神様にも苦労の種はあるんだな』と、逆に人族のポイントが上がると思うぞ」
「うむ、確かに家族の話は受け入れやすいな、それも失敗方向なら面白おかしく話せて、身近に感じられる・・・か」
その後、新しい聖剣の操作説明を行う。
「おまえは圧倒的な神聖力で周囲を威圧することに主眼をおいていて、戦闘を主眼とはしていない」
「下の大きな羽は主に自身の防衛用だな。剣先の羽は飛行用」
「そして、剣の根本の輪っかは5つ、お前の怒りに反応して光っている輪の効果を発動できる。主に信者達への罰と思えば良い、詳細はこうだ」
1段階『礼賛』・・・神威発動、うるさいゴミども、ひれ伏せ!聖剣に消費なし。
2段階『楽園(ブルーライン教)』・・・神聖魔法『福音』効果:ゴミ共の洗脳「なんて素晴らしい宗教だ!」脳内お花畑に、聖剣にほぼ消費なし。
3段階『神罰』・・・神聖魔法『聖炎(神罰)』効果:個人を消滅。通常の聖炎と違い、じっくりと、こんがりと、通常の火傷の10倍の痛みで。聖剣は得意技の応用技なのでそこそこの消費。
4段階『逆鱗』・・・神聖究極魔法『真白(豊穣)』効果:都市をすべて、過去の記憶ごと消し去り、残された地が肥沃に。聖剣は疲弊する。
5段階『神敵』・・・神聖究極魔法『極神砲(滅却)』効果:神敵認定国を破壊し尽くす、破壊後は草も生えない。聖剣は大きく疲弊する。
「あいわかった、ただ4段階以上は我では不可能だぞ」
「ふふふ、3段階から柄頭の怒涛魔石が使われる。お前は相当疲弊するだろうけど・・・使ってれば、いずれ耐性がつくだろう。暗黒属性にも耐性つくから」
「・・・暗黒耐性は助かるが、そもそも必要か?」
「ばっか!怒涛に耐性が付くことは、神魔いずれの神とも有利に対することが出来るんだ!神の高みに、日々の訓練怠るなよ!」
「!?そうか・・・うむ、分かったぞ!助かるぞ、イツキ」
マキナが去ってから『イツキちゃん、なんだかんだ言っても、マキナには親切よね』
「天界マーキュリーに飛ばされた時にお世話になったんだ。仲間達に伝言伝えてもらったのは助かったんだ」
当時のことをムッチーに話すと『そういうことね』
「その分、ホモ話を山程聞かされたけどな」
よし!これでマキナへの恩はある程度返せただろう。あとは本人の力だ。