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013話 総長、ついでに四天王を鍛えます<湊さくら編>

2022/9/25 内容を一部修正

<湊さくらサイド>


金糸に絡め取られ、繭に閉じ込められ、意識を失う。


気がつくと、伊月と向かい合っていた。

「よっ!さくら。丁度いいタイミングでこっちに来たね!すぐに分かったよ」

「おおっ!伊月!!!無事だったか!!!」

と話しながら、伊月にぶちかましを仕掛ける。これは伊月と私の挨拶のようなもので、いつもなら後ろを取られて、ジャーマン・スープレックスを決められることが多い。

だがな、今回は背中に大盾を装備しているのでその心配はない。どうする伊月よ!

しかし、伊月は避けることもせず真正面から受け止め、がっぷり四つになる・・・なんだ?組んだときの衝撃が吸収された!?しかも・・・微動だにしないぞ。

「あれれ?さくら、こ〜んなに弱かった?」

ニヤリといやらしい笑いを伊月が向けてくる。

「くっ!こんな短期間で、なぜだ!?」

「異世界で試練をくぐった場数が違うのだよ!へへへ〜」 

・・・おいおい伊月!?腐剣に聞いた話だと、そんな大した事してないよな!?もしや、ホモ剣の相手ってそんなにメンタル強化されるのか?そうなら今度あのホモ剣にお願いしてみるか?

「なぜだ!?押しても引いても全く力が伝わらん!」これは伊月のマスタースキル【スライム】の力なのだそうだ。

「ほらほら〜 押し出そうかな?それとも内股?余裕すぎるから波離間投げでもしようかな〜」

ぐぬぬーーー!?おまえ波離間投げなど知らないだろ!しかし、いくら怒ろうとも何も出来ない。


「今回は、オーソドックスにっと」さくらの両脇に手を入れて、「高い、高〜い!」と持ち上げてから、軽く放り投げる。流石にさくらは無様な姿は見せずに、体を捻りながら膝を折り着地・・・ただ、手をついてしまった。相撲では致命的だ。

「私の負けだ!・・・ガイアに居た時と段違いだな」

「まあね、マスタースキルとかついたし、あと体内に魔力も発現?したよ」

・・・ずっとこうだ。小1時にいじめから救ってくれた恩人の背中を追い身体を鍛えに鍛え、小6で現役大関と互角に取り組みが出来た。

中学では相手を探すのが大変そうだ!いや、居る訳ないよな〜 と、ウソ◯プのようにのびのびの鼻になっていた私。

容姿端麗で、ケンカも常勝無敗の銀髪美少女が隣町の中学に居ると聞き、あまり期待せず遠征した。そういえばこの時期は【銀獅子】とか言われてたな、伊月は。

現地まで赴いて、伊月をひと目見て「これは、敵わないな」と思ったよ。

まるで目の前に巨石がそびえてるような圧を感じたよ・・・結局、破れかぶれでかち上げ決めに行ったけど、姿が消えた!?と思った瞬間、頭グラリで意識を失った。

あとで聞いたら

「おまえ相撲スタイルだろ?だから張り手を顎に決めて、頭揺らした」

だそうだ。私には全く見えなかった。ついでに伸びに伸びた鼻も折られた。

でも「おまえは威圧分かるんだ!?みな分からないんだよ、これ」と言われ、少し嬉しかった記憶がある。その後も週一ペースで勝負をしていたが、全く相手にならず全敗、伊月が入る高校は事前に知っていたので、猛勉強してなんとか入学(なぜ、あいつは県内有数の進学校を!?しかもあいつ特攻服着て試験、面接受けて合格したんだぞ!・・・当時は裏口入学かと思ってた)、その際に立花にレディースに誘われたんだ。立花には、立花個人の特殊部隊に勧誘されたことがあるので、既に顔見知りだった。

その後に、久しぶりに(・・・試験勉強大変だったのだ)伊月に会ったんだが。


「おっ!?ドス子!お前もここか!」と言われた。

ついカッとして「私には親から貰った”湊さくら”という名がある!ドス子とはなんだ!!!」

と怒鳴ったんだが・・・

「会って以降、毎回いきなりドスコイで一度も名乗ってないだろ!それより、その渾名いいだろ!?タツキが考えたんだぞ」

「(立花)タツキちゃんが!?わたくしの分もおーーーーねーーーーがーーーーいーーーー!!!」

「おお〜!なら、ちびたぬきなんでどうじゃ!?」「ちび!?・・・」あ、立花が死んだ。


・・・そう言えば名乗った記憶がないな?まあ、こういう黒歴史もあるよな。

そういえば、立花の幻獣好きはこの時点で既に大分こじらせていたようだなwww

そして、高校入学後も必死に特訓はしたが、力の差が縮むことはなかった。で、今回のこれだ!・・・伊月に引き離されるばかりだ。

「伊月!恥を忍んで言うが、どうしたら強くなる!?」く〜っ!ライバルに教えを請うとは!

「まあ、普通の訓練じゃだめだよね?さくらは【鬼】なんだから、それなりの訓練をしないと」

「は?・・・なにを言ってる?鬼?だと・・・ラノベの読み過ぎでおかしくなったのか?そうか!アリスがいないから今は馬鹿なんだな?」

「違う!!!初めて会ったときから、さくらの頭にうっすらとツノが2本見えるんだよ。戦闘時に触ってみたけど、触れないので覚醒前なのかな〜と」


鬼・・・鬼か!?・・・そういえば親方(親父)に幼少の頃に聞いたことあるな。

たしか「開祖は、無名だが【鬼】だった」と、あの時は鼻で笑っていたが・・・その一族は日本各地の山々をめぐり生活していた・・・たしか山の民だったか?

そこから強者を求めて下界に降りたのが我が開祖。ちなみに相撲部屋の名前も開祖から取って【鬼熊部屋】だ。ちなみに熊は開祖の好物で貴重なタンパク源だ。


「たしかに、開祖が【鬼】だと聞いたことがある、まあ先祖返りということもあるだろうが、もし【鬼】だとしたら、私にもっと強大な力が無くてはおかしいのでは?」

そうだ、私の力はあくまで常人レベル。それは、はるかや立花もそうと言える・・・このはの黒い靄は、どうなのだろうか?

「そりゃ、超人の体で常人の訓練をしてるんだ、ニートしながら『私は毎日修行している』と同義だよ」

・・・私の十数年を否定するような発言に驚いた。

「馬鹿な!?毎日汗だくになり、筋肉痛になりながらも、毎日欠かさず鍛えたのだぞ!!!」

あれだけの修行を毎日、それも力士以上に・・・って、それも、まだ常人の範疇なのか!?

「おっ!?気付いた? 常人レベルは【筋トレ】。超人レベルは【生きるか死ぬか】の違いかな?

超人はね、今更筋肉を鍛えるなんてことしない、心を成長させるんだよ」

・・・そうか!今までのあれでも常人のトレーニングなんだな、しかし、生きるか死ぬか、か。

「少し愚痴るが、なぜ教えてくれなかった?」

・・・こいつは何かと面倒見がいいので、アドバイスしてくれても良さそうだし、現に実際戦闘で色々と教えてもらっていたぞ。

それに対する伊月の回答がこれだ


①それすると、高確率でツノが顕現、さくらも中高でツノ付きは不味いでしょ

②通常の生活で、そこまでの力はいらない。逆に力を得たら不良共が死ぬ

③力の制御不能で暴走のおそれ(されると面倒、だって殺さなきゃいけないから)


だとよ・・・こいつ、絶対③が大本命だぞ!

でも、たしかに大切な理由だ。もし①状態で自宅に帰宅したら母親に号泣されそうだ。

ん・・・なら、そうか!伊月が 今 ここに居る理由!?

「なら、ようやく鍛えてくれるってことでいいな」

「まあ、世界樹に行ったら教えるつもりだったし。冒険者になったら、今のままだと命に関わるからね。それに、あそこじゃツノ有りくらい普通でしょ」

・・・普通なのか?でも、たしかにいそうだな。

【生きるか死ぬか】か、どちらにしても伊月との差が開くばかりでは、死んだと同義だ!やってやるぞ!!!


「ちなみに伊月もそうやって強くなったのか?」

さすがに幼少の頃から生きるか死ぬかの修行をしてれば強いはずだ。

これは追いつくのが大変だ!・・・その前に寿命がつきそうだな。ふふふ、あまりにも高い山に笑えてくるな。

「えっ!?全然?いきなり氣がスーパー◯イヤ人状態になったし、氣のコントロールも簡単だったよ。あとは毎日娘達をかわいがってたよ」・・・こいつ!!!!!!!

「まあ、それは冗談。色々と試行錯誤を続けている。夢でもやってるから24時間、戦闘脳だよ」

伊月は私をからかいながら「で、人辞める決意出来た?」と聞いてきた。

「もちろんだ!!!」ずっと現状には納得できず、もっと強くなれる!と思い続けていた。

ようやくその答えに到達出来るんだ!

「じゃ、ちょっと体調べるね、アリスが居ないので少し時間掛かるけど」

と伊月は私の体を調べてきた・・・おい!なぜ胸を揉む。なぜ先をつまむ!?

今度は、おしり・・・触りかたがなんかいやらしいぞ!伊月!


「ほうほう、私と同じで丹田に力の源があるね。発氣と魔力が」

と、言いながらいきなり氣を体にぶち込まれたり「属性は?」と色々な魔法を浴びせられたりと、とにかく大変であった。

調査という名の攻撃を浴びせられボロボロの体を神聖魔法で直してもらいながら・・・おい!なんでお前が魔法を使えてるんだ?

結果を聞くと「さくらは言葉にするなら【青雷鬼】ってところだね」とのことだった。

「さくらも私と同じで氣・・・いや闘氣で戦うみたい、で、その闘氣が青色。さらにその氣を活性化させると体に雷を纏うことが出来る」

らしい。まいったな・・・全く実感がない。イメージすら出来ないぞ、これ。

そう話すと「なに?体感したいの〜」と黒〜い顔で言ってきた。

私が了承してひどい目にあう流れを確信しているくせに!この性悪が!・・・でも、それでも「頼む!」としか言えなかったよ。

ただただ、強くなりたいんだ!


それを聞いた伊月は下腹に右手を置き、真剣な顔で「絶対痛みに負けない事!」「後ですぐに治すから!」「意識しっかり持たないと駄目だからね」と色々と忠告してくれた・・・根は良い奴なんだよ、一応。

「じゃ、逝くよ!(字面が違うぞ伊月!)」と私の丹田に膨大な氣を送り込んできた。すると私の肌が青くなった。しかし、それ意外は何もなし。

えっ!?これだけ?と気を抜いた瞬間に全身に張り裂けるような痛みが襲う。

「!!!・・・!!!・・・・!!!」痛み以外には、万能感が脳内を襲う、明らかに体が強化されている(これなら伊月と勝負が出来る!)事が分かる(これが万能感)、今の体では、この闘氣は耐えられない(これが身を裂く痛み)、そんな感じだ。ただ、苦しみながらも「ああ、これこそが私だ」と、何かがカチリとハマった感じがした。


・・・気がつくと伊月に膝枕されていた「理解出来た?あれが湊さくらだよ。一般人からの脱却おめでと!仮免だけどね」と言われた。それが非常に嬉しかった!伊月に感謝した!

・・・後で、ボロボロにされたのに私は馬鹿なのだろうか?と少し思ったがな。


そして意識が朦朧としていく中で「あんたの氣でしっかり漬け込んで体に慣らしてあげる。特別に!友達特典だよ!」と聞こえた。・・・初めて友達と言われて、非常に嬉しかった。

・・・これも後で、私はちょろすぎだろうか?と真剣に悩んだよ。


「う〜〜〜ん、でも、何かまだあるような?もう一人居る?これじゃない?・・まあ、いいか。」

おい!?気になるじゃないか!何かあるなら言ってくれ!

そう叫びながら・・意識を失っていった。


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