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012話 総長、かわいい娘達を鍛えます

2022/9/25 内容を一部修正

<アリスサイド>


金糸に絡め取られ、繭に閉じ込められ、そこに金色の液体が満たされて、意識を失う。


気がつくと、伊月と向かい合っていた。

「う〜ん、アリスは私から離れられないから後方支援として戦闘では賢者、それ以外では情報収集担当がいいよね!ラノベでも情報を制すものは史上最強っていうし」

その言葉、何か違うし。でも、確かに情報収集は必須だね、スパイが出来るように眷属でも作れるようになれば「それ採用!」

「よしよし!それだと・・・眷属召喚?ドッペルゲンガー?分身体作成?・・・分身体のほうがいいかな?アリスがいっぱい!いいね!」

・・・ちょっと勝手に!?でも、各所に派遣した分身体と思考のやり取りが出来れば情報取り放題。例えばアカシック・レコード(以前、世界樹に存在を教えてもらった)にも分身体を派遣すれば「それ採用!」

・・・そうだね、いま伊月の脳内はすっからかんだから、有り余る余剰スペースで情報管理すればいいか「その表現は不採用!(あれ?思考スペース確保の応用でアイテムボックス作れるんじゃ!?後で検討しよう)」

「すぐに四天王の皆も合流するだろうから、あいつらにもサポート要員として分身体を渡そう、特別個体がいいかな?・・・立花が喜びすぎて壊れないか心配だけど」

・・・了解、そのほうがいいね。立花は心配だけど、タツキじゃなく私だから大丈夫でしょ。


あー、こいつ立花の病気の深刻さを分かってないな。アリスは私から離れらないから諦めているだけ。

きっと、虎視眈々と可愛がれる機会、いや全ての幻獣を自分のものに出来る方法を模索しているはずだ。それこそ財閥の総力をあげて。あいつのそういう感情を瞳の奥に常に感じている。

と、イツキは考えていたが、自分のことで精一杯で私は気づかなかった。


「あとさ、アリスは私のそばからあまり離れられないから氣力と魔法を使えるようにして、遠距離特化の要塞になろう!これで〜、かわいい、かわいい、かわいいと思ってる、妹達の援護が出来るよ」

・・・大分引っかかるけど、それはいいね!それなら、妹達を守ることが出来る。

ついでに伊月・・は守る必要はないね。そう思っていたらイツキに小突かれた。


強化案をまとめると

 ①分身体を作成(3種類作成)

  ・情報収集個体

  ・戦闘個体【妹達向け】(護衛任務)

  ・独立個体【四天王向け】(サポート特化【索敵、情報支援、情報共有】)

 ②氣力操作:氣力の精密操作

 ③魔力操作:魔力の精密操作


「とりあえずこんなところかな! じゃ、しっかり漬かりなよ!おやすみ!」

・・・これで妹たちの支援が出来る、出来れば妹達と思考のリンクもしたかったけど

「それは不採用、これだからシスコンは」

・・・伊月の言葉にむっ!?とするが、その言葉に納得する自分も居た。やっぱり過剰な干渉はまずいよね。

「まあ、立花のそばにいれば、距離感って大事!と自然に理解できるよ」それは・・・なんか怖いな。

その後、ゆっくりと意識を無くしていくアリスだった。


ちなみに、伊月の言葉を後日実感することになる。

よくよく観察していくと、立花はついでのように、世間話のように、さも冗談のように、どうすれば幻獣を自分のモノに出来るか?という情報を、その断片を、その可能性を、無意識に収集している事に。

成就するためなら、伊月すら抹殺出来る強固な意思を瞳の奥に感じて戦慄するのだった。

ああ、だから伊月は立花を信頼しているんだ。と納得したのだった。


<タツキサイド>


金糸に絡め取られ、繭に閉じ込められ、そこに金色の液体が満たされて、意識を失う。


気がつくと、母様と向かい合っていた。

「う〜ん、タツキは自由奔放すぎるからな〜 どうするべきか?」

・・・母様、わたしは皆んなを守りたいのじゃ!邪魔するものは皆殺しなのじゃ!母様を苦しめた奴らもすべてなぎ払うのじゃ!!!

大好きな人達だけが幸せに!邪魔なものは皆殺し!そんな力が欲しいのじゃ!

だから、みんなを守るかっこいい私を褒めて〜!と伊月を見るが、イツキは渋い顔で・・

「却下」

・・・えっ!?なんでなのじゃ!伊月の却下を全く理解出来ないタツキだった。


「あんたは心根が優し過ぎる、その結果がこの思考。そんな考えだと心が荒んで暗黒龍になる。そして最終的に誰彼も殺したくなる。友達も姉妹も・・そして私の事も。きっとタツキは後悔、いや後悔すら出来なくなる」

・・・そ、そんな事「じゃ、暗黒龍モード、体験してみようか」


その言葉と共に、伊月から異質な力が流れてきて、タツキの体が・・心が・・どす黒く変貌する。

・・・う、うう「姉妹達をどう思う」・・・こ、ころし「わたしのことは?」・・・殺した、あ「この世界は?」・・・すべて・・が・憎い!壊したい!!!

その瞬間、伊月からの力が霧散して元の状態に戻るタツキ。

伊月は呆然とするタツキを抱きしめながら、声を掛ける。

「どう、暗黒龍になりたい?」

・・・あ、あんなの絶対いやじゃ!!!殺意しか感じなかった。

タツキにははっきりと感じられた。間違いなく嫌いなものを皆殺しにしていった結果だと。

このままの思考で進めば間違いなく訪れる未来だと。


タツキは知ることはないが、これは伊月が幼少期に親達を嫌悪・憎悪していた果てに得た、ただただ闇深い、ねっとりと陰湿で嫌悪を駆り立てる堕ちた暗黒属性だ。

当時の伊月には、無意識だが守るべきものもあったし、この闇をきちんと理解し、見事に制御して高貴な暗黒力に変えられるだけの強固な意思があった。だがタツキにはそんな耐性も意思もない。

行き着く先は、全てを憎悪する腐臭漂う暗黒龍になっていた事だろう。


ボロボロ泣いて、ようやく落ち着いてきたタツキに

「あんたは、氣力をどんどん強化しなさい、そうすれば神聖魔法は使えるから」

「そして、その力は【守るときに】そしてその敵に対して【全力で】力を使うのよ!」

・・・でも、それだと敵を殺してしまうかも。あとで後悔したくないのじゃ!!!

タツキの叫びに、伊月は不思議そうな顔をして

「何言ってるの?【皆を守るために】悪い奴らを、あなたの【全力】でぶっ飛ばすだけ。その結果、敵が死のうがどうでもいいのよ」

・・・えっ!?何を言われたのか分からないタツキ。それって結局皆殺しでは!?


・・・でも、それじゃわたしが暗黒龍になっちゃう、いずれ、大事なみんなも殺しちゃうのじゃ!!!

更なるタツキの叫びに、伊月はまたまた不思議そうな顔をして

「いい?相手を【倒す・殺す】ではなく、仲間を【守る】ために力を使うの、暗黒龍なんかになるわけないでしょ」

思わず伊月を見ると、それはそれは悪ーい、黒ーい顔をしていた。これが本物の暗黒龍!?と一瞬思ってしまったのは内緒だ。


「要は心根の問題なんだよ。憎悪と殺意を持って倒すか、仲間を守るために戦った結果、あれ?相手死んじゃった?こいつ修行が足りなかったんだ、なら自己責任、仕方がないよね。とね」

こじつけみたいな伊月の話しにボーゼンとしていると

「そうじゃないと神罰を下す神様もみんな真っ黒になるでしょ。神なんて人間=そこそこ使える不良品→不要になった→燃やさないゴミ出し(抹殺)位に思ってるよ」

・・・確かに!神が神罰を乱発したらみんな悪神になるのでは!?でもそんな事実はない。

「あんたは、神聖な心根を持ち、善良な者たちを守るために戦う龍、だから神聖闘氣龍なんだよ!種族名に沿った生き方してなにが悪いの!?」

目からウロコのタツキだった。詭弁のように・・実際詭弁のようなものなのだが、タツキには効果があったようだし、それが世界の理でもあるのだ。


要するに心根の問題なのだ。殺すことを目的にしたり、仄暗い思考で相手を殺していけばその思考に魂が穢れる。善意で相手に相対していき、結果相手が死んでも心根は善良のままで魂の輝きは汚れない。


「まあ、やりすぎちゃったら【アリス姉様〜後始末よろぴく!】で万事OKよ!これでシスコンはいちころだよ!」・・・やっぱりお母様が暗黒龍に見えるのじゃ。


強化案をまとめると

 ①氣力増量:氣力の保有量増加 ※吸収リング追加

 ②氣力操作:氣力の精密操作

 ③魔力操作:魔力の精密操作、神聖属性の習得・強化

 ④ブレス強化:気功砲【熱線仕様】他、もろもろ


「とりあえずこんなところかな!まず神聖魔法しっかり練習すること! じゃ、しっかり漬かりなよ!おやすみ!」

・・・ふふふ、守るために相手を薙ぎ払う・・心根は善のまま・・なら遠慮不要。面白いのじゃ!さすが母様なのじゃ!

その後、ゆっくりと意識を無くしていくタツキだった。


<ムースサイド>


金糸に絡め取られ、繭に閉じ込められ、そこに金色の液体が満たされて、意識を失う。


気がつくと、伊月と向かい合っていた。

「う〜ん、ムースは魔力強化は当然だけど、魔力特化だとしたら移動は大事だよね?」

・・・母上、不出来の娘で申し訳ございません「へ?なんの事???」

・・・母上の魔力は濃密な濃紫でござるのに、私は体色が銀色と魔力量が低いでござる

「!?ああ〜、ムース勘違いしてるよ。ちなみに、今の自分の姿見てごらん」

・・・なっ!?私の体が紫色でござる。なぜ!?

「私は、魔力より氣力のほうが強いのよ。だからムースに譲渡する分の魔力にも混ざってたんだよ」

母上の言葉に、体の力が抜けていくのを感じる。

「それにさ、初めて出来た妹に過保護な姉が力を・・・あまり言うと怒られそうだから、ここまでね」

・・・そうか、氣の化身、タツキ姉上が守って下さっていたのでござるな。

「あんたは、まだ生まれて間もないけど、これからのことを考えると早めに力を付けたほうがいいよね」

・・・御意、私も同意でござる

「とりあえずは魔法特化で強化するとして・・・あとは移動速度を上げないと、今のままだといい的だよ」

・・・確かに、今のムカデの体では動きの早い強い魔物が現れたら、狙われ放題でござる。

「だからさ、大気に満ちる魔力を使って自由自在に〇〇するってのはどう!?そうすると体は〇〇〇がいいと思うんだよね。なにより可愛いし」

・・・これなら狙われることもなくなりそうでござる

「ふふふ、順調にすくすく育ってくれてうれしい!ついでに過保護な姉達を驚かせましょう!」


強化案をまとめると

 ①魔力増量:魔力の保有量増加 ※吸収リング追加

 ②魔力操作:魔力の精密操作、全属性習得

 ③種族変更


「とりあえずこんなところかな!今後も魔法の鍛錬はしっかり続けてね! じゃ、しっかり漬かりなよ!おやすみ!」

・・・母上、ありがとうございます!自信を持って進めそうです。

その後、ゆっくりと意識を無くしていくムースだった。


<絆サイド>


気がつくと、伊月と向かい合っていた。「う〜ん、絆はしっかり漬かるだけで問題ないか」

・・・ままよ!いきなりあんな濃厚なエネルギーに漬けやがって、死ぬかとおもったじょ!

「あんた、私の魂にくっついてるんだから、仕方がないでしょ!?」

・・・せめて事前におねがいちょー「無理、忘れてたし」

・・・ひどー


「とりあえず、しっかり漬ってれば強化されるよ!しっかりおやすみ!」

・・・ははよ幻獣達との扱いに差を感じるPー抗議するpー

「あんたに助言はないかな?元々スキルなんだし、なりたい自分になりなさいな」

・・・ハハをおどじょろかせてみせるがーーーー

その後、ゆっくりと意識を無くしていく絆だった。


<四天王サイド>


四天王一行はポータルを渡り、天界マーキュリーに到着。

ガイアより数倍は規模の小さい世界樹の周りは、先の見えな原生林が広がるばかりだ。


「・・・これは、こんな魔物の気配が濃厚な森を抜けるのかい?」

「ねえ、みんな。それよりもあっちに伊月ちゃんの気配あるよ?・・・今までと比べ物にならない気配だね、すぐに分かったよ」

「これは・・・さすがに恐ろしく感じるな」

「予想以上ね?といいますか、もう人ではありませんよね、あれは。どうしたら短時間であんな事になるのかしら?」

「あれを感じると、森の気配もかわいく感じるね」


皆でボーゼンとしていると、『来たか』という声とともに、目の前の空間から金糸が湧き出した。それが4人を拘束し、それぞれ繭に包まれた頃にはみな意識を失うのだった。


金糸の襲撃に気づいた文明調査チーム36名が慌てて繭に近づくも、何をしてもびくともしない、しかも動かすことも出来ず、途方に暮れるのだった。




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